2021/05/06 新車

4WDじゃなきゃスバルじゃない? インプレッサ初のSTIスポーツ、FFモデルに乗ってみたら

写真=山内潤也

2020年10月の改良でインプレッサ スポーツに追加された最上級グレード「STIスポーツ」。STIのチューニングにより快適な乗り心地とスポーティな走りを高次元で両立。さらに「STIスポーツ」シリーズ初のFFモデルをラインアップするのもトピックだ。今回は日常・非日常シーンで軽快な走りを楽しめるFFモデルを改めて確かめた。



エントリーSTIと侮るなかれ



STIスポーツは先代レヴォーグで登場以来、スバルの新しい最上級グレードとしてファンにはすっかりおなじみだ。スバル車を知り尽くした“ワークス”のSTIが手がけた、シンプルながら勘どころを押さえたシャシーチューンに、機能と質感を高めた内外装。ベース車と同じ量産ラインの生産で、コンプリートカーよりグッと手ごろな価格も見逃せない。



昨年10月、インプレッサ スポーツにお目見えしたSTIスポーツは、その魅力をいっそう幅広いユーザー層に訴求する、言わばエントリーSTIの位置づけだ。

同時に行われた一部改良で、スポーツを名乗る5ドアは2Lのエンジン体系が少しだけ複雑になっている。AWD車はマイルドハイブリッド(HV)が主力になったが、STIスポーツは従来の2.0i-Sアイサイトと同じくNAを搭載。一方、FF車はNAのみでHVは設定していない。そして、FFにもSTIスポーツをラインアップ。FRは初代BRZで登場しているが、FFではインプレッサが初めてになる。シャシーには、フロントサスペンションにショーワのSFRD(周波数応答型ダンパー)を装備。STIスポーツ初の採用だ。



ただし、リヤダンパーも合わせてチューンしているものの、専用アイテムはこれだけ。コンプリートカーより点数を抑えた先代レヴォーグやWRX S4でも、フロントにビルシュタイン製ダンプマチックⅡと専用スプリングを採用。ステアリングはクランプスティフナーで剛性を高めていたから、メニューを見るだけではもの足りなさを覚える人もいるかもしれない。


●フロントにSTIチューニングのショーワ製メカ式減衰力可変ダンパー「SFRD」を採用。しなやかな旋回性能と快適な乗り心地を両立

しかし、インプレッサSTIスポーツのシャシーは、トータルバランスで少なくとも先代レヴォーグを明らかにしのいでいるのだ。

とにかく乗り心地が抜群にいい。タイヤは2.0i-Sアイサイトと同じく225/40R18のヨコハマ アドバンスポーツ。だが、低扁平の硬さはまるで感じさせない。舗装の荒れた路面でも、室内に伝わる突き上げはじつにマイルドだ。この上質さはクラストップレベルと言っていい。


●225/40R18タイヤはヨコハマ アドバンスポーツを装着。ダークメタリック塗装のアルミホイールが足元を引き締める

サスペンションはばね下がとてもよく動き、優れた路面追従性を発揮する。そのヒミツがSFRDだ。

路面から伝わる振動の周波数に応じて減衰力を自動調整する、電子制御に頼らないメカニカルな可変ダンパー。縮み側でストロークに依存しない減衰力を発揮するとともに、STIが特に強調するのは伸び側のしなやかさだ。

実際、ターンインの初期操舵からフロント全体が吸いつくような接地感は、内輪も伸びやかなストロークで路面を捉え続ける懐の深いクルマに共通のフィーリング。旋回時にイン側をしっかり接地させるSTIの理念に合っている。

ステアリングの小気味よくスッキリとした操舵感、タフなロール剛性と滑らかな乗り心地を両立したしなやかそのものの足まわりは、STI自慢のパフォーマンスパーツ「フレキシブルシリーズ」を装着したSTIコンプリートカーをもほうふつさせるのだ。

ドライバーWeb編集部

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