2021/04/26 コラム

【F1】予選で3選手が同タイムという珍事! 1997年シーズンを振り返る【連載第23回目:熱田護のF1勝手に片思い】

●1997年シーズン最終戦、ヘレスサーキットで行われたヨーロッパグランプリのスタート

F1とともに世界を転戦する熱田 護カメラマン。そのファインダーは極限の世界で巻き起こるドラマを捉え続ける。今回は、1997年シーズンを写真とともに振り返ります。

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この写真は、最終戦のヘレスサーキットで行われたヨーロッパグランプリのスタート。
ポールポジションは右前のジャック・ビルヌーブ選手、2位が左前のミハエル・シューマッハ選手、3位がハインツ・フィレンツエン選手。
この3人の予選タイム、なんと1分21秒072で同タイムという珍事! そして、チャンピオン争いといえばシューマッハ選手がビルヌーブ選手に対して1ポイントリードで迎えた、というレースでした。



チャンピオン争いは、ビルヌーブ選手に決定。
シューマッハ選手とビルヌーブ選手は48週目の6コーナーで接触。その際にシューマッハ選手が故意にビルヌーブ選手のマシンに当てるというあってはならないことがありました。

その影響でシューマッハ選手はリタイヤし、ビルヌーブ選手はそのまま走り続けました。6位までに入ればチャンピオン確定というレースで3位に入賞、チャンピオンを獲得したわけです。

この行為により、シューマッハ選手はこのシーズンのドライバーズポイントを剥奪されてしまいます。

ぶつけて2台ともリタイヤになれば自分がチャンピオンという計算がシューマッハ選手にあったのかどうか…。
本人が評議会で語った内容からいくと、「故意ではあるけれど、悪気はなかった」ということになるのでしょうか。
1994年にも、デーモン・ヒル選手に対して同じような場面もありました。

シューマッハ選手の勝ちたい、チャンピオンになりたいという気持ちの結果だと思うのですが、外から見ているのと本人の気持ちは想像するしかないので…いいとか、悪いとかは、僕などが論ずる立場ではない思います。

でも、僕の個人的なシューマッハ選手に対しての気持ちは、このような出来事やふだんのパドックで立ち振る舞いなどを見ていた積み重ねで、一歩引いたところで見るようになっていきました。



ビルヌーブ選手のお父さんは、ジル・ジルヌーブさん。伝説のフェラーリドライバーです。
その息子がチャンピオンに。F1界にとってはビックニュースでもありました。

結局、この1度しかチャンピオンは取れずに引退してしまうのですが、現役の時から歯に衣を着せぬ物言いで、時々物議を起こしていますが、僕は、そんなジャックがいいと思います。



この年から、ブリヂストンが参戦しました。
日本のタイヤメーカーの活躍は、単純にうれしかったです。
供給チームはアローズ、プロスト、ミナルディー、スチュワートの4チームでした。



有力チームは、グッドイヤーを装着していました。
しかし、このようにタイヤ内の熱問題でブリスターが発生してしまって耐久性に苦しんでいました。



そんな中、ブリヂストンタイヤを装着したアローズの前年チャンピオン、デーモン・ヒル選手がハンガリーグランプリで最終ラップまでトップを走るというレースを展開。しかし惜しくも油圧のトラブルで2位となりました。

エンジンもヤマハで、日本が大きく関与しているチームの初優勝か!という、未だに記憶に残るいいレースでした。



そのハンガリーグランプリ後にヒル選手と話す、ヤマハの木村さん。
あと、1周持ってくれれば優勝という。惜しい…本当に残念。

ヤマハにとっても、結局、この2位がF1参戦での最上位のリザルトでした。しかし、残念でしたね。

そんな思い出もあるので…2021年のホンダの最終年、ぜひ、チャンピオンを獲得して欲しいです!



ブリヂストンの浜島さんとプロスト監督。
耐久性、耐摩耗性に優れるブリヂストンは、ピットストップを少なくするなどの作戦を取れる優位性を存分にアピールして、プロスト無限ホンダのランキング6位獲得という好成績を残すことになります。



ティレルのマシンに装着された、Xウイングと呼ばれた空力部品。
見た目が良くないとか当時言われていましたが、F1っぽくて僕は好きでした。



ゲルハルト・ベルガー選手。この年で引退でした。



満員の観客席には、シューマッハ選手と、ベルガー選手の応援旗。

次回は1997年の日本人選手です。

〈文と写真=熱田 護〉

ドライバーWeb編集部

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