2021/04/22 コラム

ハンドルカバーが大事! D型ハンドルはNG? 女性のクルマ選びの基準

●ハンドルカバー(イメージ)

クルマのハンドルは円型が一般的。だがハンドルの下部が直線になっている、いわゆるD型ハンドルの採用が増えている。D型のハンドルは、昔からレーシングマシンなどに採用されてきた。狭いコックピットから乗り降りしやすく、つまりヒザとのクリアランスを確保するために考案されたと言われている。その後、市販車でもスポーティなモデルに多く採用されているのはご存知のとおりだ。

日産では、ノートやセレナ、キックスなどにD型ハンドルを採用している。特に国内向けにはD型を共通で採用、と決まりごととして訴求しているようだ。


●日産キックスのハンドルはD型だ

国内向けといえば軽自動車。そこで日産の軽、デイズ/ルークスのハンドルを見てみると…円型だ。聞けば「D型で共通」という縛りを取り払い、コストの厳しい軽自動車においてステアリングを新規に起こしたというのだ。


●写真は日産の軽自動車、デイズのハンドル。スイッチ類は共通だが、ハンドル形状は丸型なのだ

なぜそんなことを? 女性開発担当者(発売当時)に話を聞いた。

───:軽自動車はやはり女性ユーザーが多いですよね。デイズ/ルークスでは女性が運転しやすい工夫が多いとか?
担当者:そうですね、リヤウインドーをできるだけ大きくしたり、視界をよくするのはもちろん、方向感覚が掴みやすいようウインドーをなるべく長方形にしました。
───:大事なことですよね。
担当者:また、なかにはバックしているうちに、タイヤがどっちを向いているのかわからなくなる方がいます。そのためメーターのなかにタイヤの向きを表示するようにしました。例えば、バックするときに後ろを振り向かない方もいらっしゃいます…。振り向いても、そのままバックする方は少ないようで、インナーミラーやアウトサイドミラーに、景色がどのように映るのかはかなりこだわって見やすくしています。
───:女性は男性と体型が違うので、シートベルトをしたまま振り返るのが大変なんですよね。
担当者:運転しやすくするための工夫としてもう1つ、日産のステアリング形状はD型が多いのですが、デイズ/ルークスは丸型です。女性や、運転に不慣れな方でも運転しやすくするためです。

───:ハンドルカバーも関係してるという噂を聞きました。
担当者:日産としては、ハンドルカバーは安全面を考えて推奨していません。それを前提としての話になりますが、ハンドルカバーを使う人が多いのも確かです。車内の見た目にこだわって装飾する、これはお客さまの選択肢の1つですよね。
───:そうなんですか!!
担当者:アンケートを取ると、驚くことに今自分が使っているハンドルカバーが付けられないのならクルマを買わないなんて意見も! D型だと、ハンドルカバーが付けられなくなってしまいますから。軽自動車に乗っているお客さまの半数近くがハンドルカバーをつけている地域もあるんですよ。
───:自分の好きなキャラクターやデザインでクルマを装飾しているわけですね。
担当者:現在、弊社ではD型のハンドルを採用しているモデルが多いこともあり、その形を軽自動車のために変えるのは大変でした。軽自動車だけ違う型を使うことになるとコストもかかります。本当に丸型じゃダメなの?と何度も社内聞かれましたが、運転のしやすさと使い勝手、お客さまを第一に考えました。

お気に入りのハンドルカバーを付けられるかどうかが購入の決め手となるなんて!

なおハンドルカバーは滑るととても危険。取り付けには十分に注意していただきたい。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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