2021/04/19 コラム

新旧シビックを試乗!その2 史上最強FFスポーツ、タイプRの限定車は次元が違うって

ツインリンクもてぎ内のホンダコレクションホールにて2021年5月31日まで開催中の企画展「CIVIC WORLD 受け継がれるHondaのDNA」。これと合わせるように行われた、初代と現行モデルのプレス向け試乗会。約半世紀前に登場した初代シビックCVCCの貴重な動態保存車のイグニッションキーをひねり、ノスタルジーを感じた後に、現行型最終形態「タイプR リミテッドエディション」のスタートボタンを押し、エンジンに火を入れると……。

 

 
CIVIC TYPE R LIMITED

2020年10月発表のマイナーチェンジで登場したのが、国内は200台限定のリミテッドエディション。タイプRの起源に立ち返って軽さと速さを研ぎ澄ましたという、現時点におけるシビックの最終・最強兵器である。専用ボディ色のサンライトイエローⅡは、「ミラクル」で登場した初代をイメージしたものだ。
 
CIVIC TYPE R LIMITED

筆者はリミテッドエディションも初めての試乗になる。南コースを慣熟走行のあと1クール走ってみると、サーキット性能を重視したミシュラン パイロットスポーツ カップ2と、そのハイグリップに合わせたアダプティブ・ダンパー・システムとパワーステアリングの専用セッティングによって、シャシーはいっそうスパルタンな仕上がりだ。
 
CIVIC TYPE R 標準車
標準車

ただ、タイプRの標準車(これも予定販売台数が終了)には公道とJARI(日本自動車研究所)のフルテストで乗っているものの、試乗コースがまるで異なるため両車の印象と照らし合わせるのが難しい。そこで、慣熟の先導車を務めたタイプRの標準車にもあらためて乗ってみると、これがハンパなく違うのだ。
 
リミテッドエディションはサスペンションは減衰力が格段に引き上げられ、標準車は一番ハードな+Rモードでもスポーツ(デフォルト)やコンフォートモードに感じられるほど。パワーステアリングも操舵力がダイレクトな手応えを増し、標準車はスポーツやコンフォートが軽くて頼りなく思えてしまう。

CIVIC TYPE R LIMITED
 
カップ2のグリップは強力のひと言で、限界も明らかに向上。それでさえ、ボディのロールはノーマルより抑え込まれている。旋回姿勢は路面に張りつくように安定し、コーナリングスピードは目を見張る高さだ。横Gも強烈。試乗時間は2クール合わせて30分ほどだが、これ以上長かったら筆者の体が音を上げたかもしれない。遮音材の削減によって、耳に届く2L VTECターボのサウンドも標準車よりクリア。
 
これが鈴鹿でFF最速の座をルノー メガーヌR.S.トロフィーRから奪還した、今日における史上最強FFスポーツのすごさなのだ。
 
CIVIC TYPE R LIMITED
CIVIC CVCC


CIVIC CVCC

初代のノスタルジーと最新タイプRの超コンテンポラリーという、両極のシビックワールドをいっぺんに味わえた今回の取材会。冒頭に述べた“言わずもがな”とは、むろん次のステップに向かうプロローグである。
 
次期型シビック

北米では11代目となる次期型のセダンがプロトタイプとして公開済みで、間もなく発売予定。ハッチバックやタイプRのラインアップもアナウンスされている。
 
初代の誕生から、2022年7月でちょうど50年。まさしく国内で次期型に刷新する、願ってもないタイミングではないか! 少なくとも国内導入が現行ほど遅くなることはないだろう。
 
まだ見ぬハッチバック、そしてタイプRはどんな姿で登場するのか。現行型は残るハッチバックも一部カラーが選べなくなっており、モデル末期の状態。シビックへの関心は早くも11代目に集まろうとしている。

現行シビックハッチバック
 
 
〈文=戸田治宏 写真=岡 拓〉

ドライバーWeb編集部

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