2021/04/13 ニュース

一般道での自動運転はいつから? そのキモとなる高精度3次元地図データを作る会社とは

●2023年ごろには一般道の次世代HDマップが導入される

その精度は、すでに「cm級の高精度」を実現

ダイナミックマップ基盤という会社をご存じだろうか。自動運転には欠かせない日本の道路地図データを提供している会社で、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に参画する企業や国内自動車メーカーのトヨタや日産など10社の共同出資によって設立されている。


●ダイナミック基盤は4月7日に発表会を実施。今後の動きについて解説した

官民あげての会社という位置づけがわかれば、その重要度がわかるだろう。自動運転レベル3のレジェンドが街を走りはじめたが、こうしたクルマに欠かせない要素の1つが高精度のマップデータだ。道を案内するおなじみのナビゲーションとは異なり、ユーザーがダイナミックマップ基盤のマップを直接目にすることはない。このマップは運転制御システムに搭載されるもので、道路情報だけでなく信号機の位置はもちろん、高さなどの詳細なデータも入っている。


●大橋JCTの高精度3次元点群データ。膨大な量の計測データを結合して整備されたもの


●上の「高精度3次元点群データ」から道路の地物を抽出。属性情報を付加するなどで「高精度3次元地図データ(HDマップ)が完成する

今回、ダイナミックマップ基盤は国内初の一般道路まで収録した、次世代の高精度3次元地図データ(HDマップ)を2023年から導入することを発表した。すでに日産スカイランが採用するプロパイロット2.0やホンダレジェンドには、こうした高精度地図データが搭載されているため、高速道路でのハンズオフや渋滞時の自動運電が実現しているわけだ。そこに一般道のHDデータが加われば、ついに高速道路以外でも自動運転ができる可能性が高まる。


●高度な先進運転支援システムはもちろん、自動走行において重要とされる地物や属性情報を厳選。実在地物の信号機や規制標識、仮想地物の車線リンク(車線中心線)などを3次元データとして収録する

今後、高精度地図データの需要は確実に高まるわけで、自動運転レベルが高くなるほどより正確なHDマップが必要とされる。それに対応して同社は、すでに「cm級の高精度」実現していて、次世代のHDマップは日本の自動車メーカー各社が導入することになるだろう。そのため参画するメーカーとは共通仕様を策定しているという。

次世代HDマップは、一般道まで対応

HDマップは現在高速道路と自動車専用道が中心になっているが、次世代は一般道路まで対応。国道を中心に各地域で重要とされる幹線道路もデータに収録され、地図の機能としては一般道も自動運転が可能な領域になるわけだ。HDマップは23年度に約8万kmのデータをカバーできる予定だという。8万kmはほぼ全国の国道をカバーするイメージで、現在のデータと比較すると約2.5倍になるという。2024年度には約13万kmをカバーする予定で、これで主要な一般道にほぼ対応するという。



ということは23年度以降に発売される自動運転機能付きは、国道をレベル3で走れるようになる可能性があり、2024年度以降なら主要な一般道まで自動運転ができる可能性があるということだ。もちろんハードであるクルマ側の開発が進めばの話だが、地図データ的には、このようなタイミングで自動運転に対応できることになる。

自動運転のシステムに使う地図データだから、かなりデータ容量が大きくなるのでは? 開発者に聞くとメガバイトクラスのデータで、ギガというような大きなデータにはならないという。そのためシステムのCPUには大きな負担にならないらしい。また、自動車ユーザーとしてはHDマップを搭載すると自動運転のコストが高くなることを心配してしまうが、自動車メーカーには元データを提供して各車に搭載する予定のため販売(HDマップ搭載)台数が多くなればなるほどコストダウンになるという。

HDマップは23年度からリリースされることがわかったが、果たしてクルマ側のセンサーやシステムがどこまで追いつくかが今後の課題になる。23年度以降に一般道をレベル3以上で走ることができる自動運転車の登場を大いに期待したい。

〈文=丸山 誠〉

ドライバーWeb編集部

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