2021/04/08 新車

トヨタ、自動運転機能を搭載したLSとミライを発売。なぜレベル2に留まったのか?



2)Advanced Driveの機能
Advanced Driveは、高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステムだ。ナビゲーションで目的地を設定すると、ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援。車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら、目的地に向かって分岐までの運転を支援する。

ドライバーはアクセル、ブレーキ、そしてステアリング操作からも解放される。またカーブや渋滞、追い越しなど走行中のさまざまなシーンに応じた自然で滑らかな走りを実現する。

【人に寄り添った運転支援】
・走行状況に応じた細やかな支援
周辺を走行している車両との並走・追い越し時に、左右の感覚を十分に確保した状態で車線維持を実施。例えば全幅が広い大型車を追い越す際、右に寄りながら走行するなど車両間の距離が近く不安を感じるような状況を回避してくれる。

・合流してくるクルマへの配慮
合流地点では、本線に合流してくる車両に対して、早めに減速して車間距離を確保し、相手車両のスムーズな合流を支援する。

・車線変更/追い越し
システム側が周辺の車両状況と道路環境を考慮したうえで車線変更可能と判断した場合は、ドライバーがステアリングを保持し車線変更先を確認、承認操作を行うことで自動的に車線変更を行う。また、ドライバーがターンレバー操作をすれば、システムに車線変更動作を要求することも可能。

・ドライバーモニターカメラ
ドライバーの顔の向き、目の開閉状態、視線方向、運転支援からドライバーの運転状況を検知し、ドライバーの脇見・閉眼状態をシステムが検知した場合ドライバーに警告を行う。

また、ドライバーの安全確認行動をシステムが確認することで、安全に車線変更支援を実行する。さらに眠気の兆候も推定、運転への関与度合いが低下し始めているとシステムが判断した場合は、ブザーによる警告やシートベルトの振動、ヘッドアップディスプレイ表示の点滅、いたわり案内アプリによる対話などにより対処する。

つまり、“アイズオフ”での自動運転は今のところ不可である。

【事故の防止】
・緊急ブレーキ
従来のミリ波レーダーとステレオカメラに加えて、望遠カメラ、ライダーと高精度地図に基づく情報を組み合わせることによって、従来のプリクラッシュセーフティの検知対象よりも遠くから自車進路上の前方車両の検知を実現、ドライバーによる回避行動を支援する。

衝突の可能性があると判断した場合は、カラーメーターやカラーヘッドアップディスプレイの表示とブザーでドライバーに知らせ、衝突の可能性が高いと判断した場合は、高い制動力を発生させ、ドライバーの回避行動を支援する。

・ドライバー異常時対応システム
ドライバーの運転姿勢が大きく崩れた場合、システムの警告に応答せず無操作状態が継続した場合には、システムはドライバーの運転継続が困難と判断。ハザードランプの点滅など周囲に警告を行いながら緩やかに減速し、車線内または路肩に停車する。また、停車後にドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請も行い、早期のドライバー救命・救護に寄与する。

【ユーザーと共に育てていくクルマ】
・ソフトウェア・アップデート
無線通信、または販売店での有線接続により、つねに最新のソフトウェア(制御ソフトおよび高精度地図ソフト)に更新される。購入後もクルマに新たな機能が追加され、また性能が向上し、最新の運転支援技術を備えたより安全・安心なクルマへと進化するという。

・最先端のハードウェア
ソフトウェアアップデートのベースとなるハードウェアとして、認識、演算処理、信頼性(もしくは冗長性)などにおいて、高性能、かつ最先端の製品を装備。これらのハードウェアにより、ユーザーに最新の安全技術を提供していく。

◇ ◇ ◇

トヨタが強調するのは、クルマとのチーム感。任せっきりになるのではなく、互いが尊重し合いながらより安全で快適な走行を実現している点だ。レベル3の実現は、まだまだ難しい面もある。「安全技術は普及してこそ」と考えるトヨタは、今回のミライ/LSを皮切りに、Advanced Driveをさまざまなモデルに展開していくのであろう。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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