2021/04/05 コラム

沖縄のダンプカー重大事故、あのオービスはダミーだった

●奥の方にオービスが見える



今回崩落した浦添市のあのRS-2000は、稼働していたのか、ダミーだったのか。稼働しているなら、かならず保守点検(特に定期点検)をしているはず。違反者が測定値を否認したとき、有罪にするためには定期点検の成績書が最低限必要だからだ。そこで私は、沖縄県のRS-2000の、過去5年間の保守点検の契約書等を、情報公開条例にもとづき開示請求してみた。


●これが最新の契約書。2016年3月29日に契約し、委託期間は2016年4月~2017年3月末。税込み194万4000円だ

ご覧のとおり、最新の契約は2017年3月末で終了している。定期点検をせずに取り締まりを行うとは考えにくい。あのRS-2000はいわゆるダミーだったようだ。ダミーのせいで尊い命が奪われた! そう考えるとやりきれない気持ちになる。

だがしかし、「オービスがあれば減速する。なければかっ飛ばす」という運転者も一定程度いる。ダミーを残し続けた沖縄県警を一概には責められないと私は思う。また、そもそも高抑は単なるオービスではない。光学式などのセンサーで通過車両の速度をすべて測定し、制限速度をかなり超えた車両に対し電光掲示板で警告する。警告しても速度を落とさない場合、その先の門形構造の上から改めて測定し、写真撮影する。だから高速走行抑止システムというのだ。


●浦添市のRS-2000の電光掲示板。これも礼田計氏が2016年3月に撮影したものだ。アメリカの軍人向けか英語表記がある。ずっと先にレーダーアンテナとカメラ&ストロボが小さく見える

現時点では確認できていないが、2021年2月11日当時、電光掲示板での警告はおこなっていたのかもしれない。取り締まりのためのレーダーアンテナとカメラ&ストロボを撤去しては、警告の効果が弱まるので…。

なんにしても、中央分離帯がある場所で対向車線から猛スピードのダンプが突っ込んでくるとは、誰にとっても想定外だったのではないか。合掌するほかない。

〈文=今井亮一〉
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行。

ドライバーWeb編集部

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