2021/03/22 モータースポーツ

一旦は開発凍結も…攻めたホンダF1の新しい内燃エンジン。浅木PU開発責任者に聞いた


八方塞がりを打開する力



ホンダがF1を戦う意味は、まさにここにあると言っていいだろう。そう、技術者の育成だ。

浅木氏が現職に就いたのは2018年。マクラーレンと組んで惨敗し、仕切り直しで当時のトロロッソとのパートナーシップを結んでからのことだが、じつは浅木氏は、1981年に入社して間もなくホンダ第2期F1活動のメンバーとしてエンジン開発に邁進していた。

「設計とテストという大きく2つの部署のうちテストの方に配属され、上司と2人で取り組む何もないところからスタートして、常勝と言われるようになっていったんです」

その後、市販車部門に移った浅木氏は初代オデッセイの開発推進などさまざまなプロジェクトに関わった後、Nシリーズの開発責任者となる。「寸法、排気量などの制約が大きい軽自動車は、いわばレギュレーションの厳しいF1と同じ」と、柔軟な発想で生み出されたNシリーズが、ジリ貧だったホンダの軽自動車事業を見事立て直したのは皆さんもご存知のとおりだ。

「自分の技術者人生で『なぜ、これまでこんなことができていたんだろう』と振り返ってみて頭をよぎったのは、入社したときの原体験でした。F1でポルシェ、BMW、フェラーリ、ルノーと戦って勝ってきたことが技術者としての自信につながった。八方塞がりでも何とか打開する原動力になってきたんです」

このまま勝てずに撤退となったとき、F1に関わってきた若い技術者たちはどうなるのか。その思いが、じつは定年まで半年というところでオファーされたHRD Sakura センター長を引き受ける原動力となったのだ。

「今年チャンピオンをとって、技術者たちが世界一になったという自信を背景にして、今度はカーボンニュートラルに向けて、八方塞がりの中でもチャレンジし続ける人材に育ってもらいたい」

ドライバーWeb編集部

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