2021/02/25 コラム

世界でも珍しい温泉に浸かる野生ザルを激写!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第14回〜ニホンザル」

ドライバー2020年3月号(2020年1月20日発売号)からスタートした連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国を最新SUVで駆けまわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第14回は、冬の寒さのなかで温泉や雪遊びを楽しんでいる『ニホンザル』。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します。
 

ニッポン探訪_ニホンザル

 


取っ組み合い、かけっこ、電車ごっこ、そしてラグビー
 
「エテ公」って蔑称かと思ったら違うんだね。ビックリ。
サルは「去る」につながるから縁起が悪いっていうんで、「去る」の反対の意味の「得て」を当て込んだらしい。「公」は擬人化した親しみを込めた言葉なんだってさ。
「得て公」いいね。しゃれが利いてる。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
エテ公を含めた野性動物の行動すべてには必然性があり、ムダなことはしないんだそうだ。
だから、「おい、何すんだよ~」、「しゃれだよ、しゃれ!」、「ふざけんな、しゃれになってねーんだよ」なんていう落語のくだりのようなイタズラは人間だけの特権らしい。
 
野生の世界では必要なことしかしない。イヤなことはしないはずなのだが、サルは人間に近いせいかちょっと違う。子ザルの遊びも社会性を学ぶという大事な要素なんだそうだ。
 
そして、サルは水にぬれるのを嫌うが、真冬、寒くてしようがないとき、水が嫌いなのを超越して、温泉でひとっ風呂浴びるのである。
さすが日本のサル。日本人のように温泉好きとは!
それが世界でも珍しい地獄谷温泉のサルたちだ。
 
ここは日本以上に海外で話題になったようで、こんな山の中なのにコロナ前までは訪問者の半数以上が外国人というユニークな場所だった。
以前、行ったときには雪に囲まれた遊歩道を、多種多様の言語をしゃべる人たちが進んでいく光景はなかなかおもしろかった。
 
サルというと凶暴なイメージがあるが、ここのサルたちは人間に対してはいたって温厚だ。というよりは、無関心という感じだ。
撮影していても、その横すれすれを何事もないようにすり抜けていくし、なかなかカメラ目線にもならない。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
だが、子ザルになると多少、人間やその持ち物に興味があるようで、向こうから寄ってきたり、もの珍しそうに数匹でリュックサックに触ったりもする。
 
その子ザルたちの仕草はとてもかわいらしく、アクティブですばらしい撮影対象だ。
取っ組み合い、かけっこ、何匹か連なって電車ごっこ、そして雪玉を作ってラグビーのような奪い合い。このころの知能は人間の乳幼児と同じぐらいあるのではと、どーでもいいことを考えてしまう。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
それぐらい人間の子供と同じような遊びをしている。
 
そして、風が吹いたりして寒さが厳しいとみられる現象に「サル団子」というおもしろいものがある。人間でいえば「押しくらまんじゅう」のようなものだ。体を寄せ合う姿が上から見ると、まるで茶色いまんじゅうのようなのだ。
そこに雪が積もると砂糖をまぶしたまんじゅうだ(笑)。
その雪を飛ばすためにたまに頭をグルグル回す。それをスローシャッターで捉えると顔がグニャングニャンに写る。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
ふだんじっくりとサルを見ることはないが、なかなかしぐさがおもしろくていい被写体だった。
 
■サルたちの動画
https://www.youtube.com/watch?v=LYIO-V6kVqI
 

「撮影裏話&テクニック」
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
被写体と同じ高さから臨場感や一体感を出す
 
子ザルたちは高い位置からカメラを構えると、やはりプレッシャーのようですぐに逃げてしまうが、こちらが体を低くしてじーっとしているとすぐにリラックスして遊び始める。
そこで、モニターを駆使してローアングルで撮影。子ザルたちと同じ目線の写真のほうが臨場感や一体感が出る。やはり被写体を同じ高さから見るのが一番だ。
 
SONY α9Ⅱ+FE 24-105mm
 
[撮影データ]
機材:SONY α9Ⅱ
レンズ:FE 24-105mm F4 G OSS
撮影モード:マニュアル
シャッタースピード:1/250秒
絞り:F8
ISO:1000
 

「今回のSUV……ボルボ XC90」
すごく速いのに快適で、車中泊も積極的にしたくなる!
 
ニッポン探訪_ニホンザル

ニッポン探訪_ニホンザル
 
まず最初にこのクルマの正式名称を記すと、ボルボ XC90 リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプションととても長くなる。だから文中ではXC90とだけ記す。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
すんごく速いクルマである。姿形からは想像できない豪快な加速を体験できる。
3000回転からトルクが一気に弾け、クロスした8速ATのギヤ比で隙間ない加速を続ける。
2L直4DOHC16バルブエンジンにターボチャージャーとスーパーチャージャーが付いて318馬力を発生し、さらに電動アシストも加わるというのだから速いわけである。
 
なんか覚えのあるエンジンパッケージだと思ったら、究極のグループBラリーマシン、ランチア デルタS4とほぼ一緒だ。
35年前のマシンと同じようなのが最新のプラグインハイブリッド(PHV)として登場してくるなんておもしろい。
 
PHVだからフル充電すると約40kmをモーターの力だけで走れる。フロント46馬力、リヤ88馬力のモーターだが市街地では何のストレスもない。フルパワー時とは対照的に、静かで穏やかな走り心地だ。
 
ニッポン探訪_ニホンザル

ニッポン探訪_ニホンザル
 
かなり大きなクルマだが、視界とボンネット形状がいいせいか、狭いところでも取りまわしやすかった。
 
ドライブモードによって車高を変化させるエアサスペンションは穏やかな乗り心地で、「パワー」にしてもコーナリング中の踏ん張りは上がるが乗り心地に硬さはない。
雪道でも装着されていたスタッドレスタイヤ(ブリヂストン ブリザック)の性能が高いので不安は感じなかった。
 
ただ、このような滑りやすいところではドライブモードを「コンスタントAWD」にしておくのがいいようだ。日常の運転で使う「ハイブリッド」ではアクセルのオン・オフ、ステアリング+ブレーキングなどで、挙動にややシャープな面があった。リヤモーターの駆動タイミングの差で起こるのかもしれないが、「コンスタントAWD」のほうが安定したトラクションが得られる。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
安全装備やオートクルーズコントロールといった快適装備が充実したXC90での旅の締めくくりは雪の高原での車中泊とした。
 
リヤシートの背もたれを倒すと広いフルフラットの空間が生まれる。
そこに寝袋を敷く。
トノカバーのフレームは飲み物やスマートフォン置き場に便利な机のようだ。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
氷点下10℃まで下がった高原ではPHVの恩恵を最大限に受けた。
騒音や環境を考えると、寒いからと言ってエンジンをかけっぱなしにできない。だが、プラグインハイブリッドならバッテリーでエアコンを回し続けられる。これは静かかつ快適で、ご機嫌なものだった。そして、サンルーフには満点の星空。近くに天文台があるぐらいだから星がよく見える環境なのだ。
 
そして早朝、朝焼けの富士山がサイドミラーに映る。
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
車中泊というとちょっと貧乏臭いが、PHVならではの快適性があればこれはアリだ。
というより、クセになる気持ちよさなのだ!
あとは雪の草原にお目当ての動物が登場するのを待つだけだ!!
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
■主要諸元
ボルボ XC90 リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション
(8速AT/4WD)
全長×全幅×全高:4950mm×1960mm×1760mm
ホイールベース:2985mm
最低地上高:180mm
車両重量:2370kg
パワーユニット:直4DOHCターボ+スーパーチャージャー+モーター
総排気量:1968cc
エンジン最高出力:233kW(318ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2200〜5400rpm
モーター最高出力:前34kW(46ps)/2500rpm、後65kW(88ps)/7000rpm
モーター最大トルク:前160Nm(16.3kgm)/0〜2500rpm、後240Nm(24.5kgm)/0〜3000rpm
燃料/タンク容量:プレミアム/70L
WLTCモード燃費:12.8km/L
タイヤサイズ:275/40R21
価格:1139万円
 

「世界的観光スポット」
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
長野県下高井郡の地獄谷温泉にある野性のニホンザルが観察できる公園。冬、温泉にサルがつかることで世界的に有名な場所だ。 
 
地獄谷野猿公苑
住所:長野県下高井郡山ノ内町大字平穏6845
TEL:0269-33-4379
https://jigokudani-yaenkoen.co.jp/
開園時間:8:30〜17:00(4〜10月ごろ)/9:00〜16:00(11〜3月ごろ)
休園日:無休
入園料:大人800円(18歳以上)、子供400円(6歳以上) ※6歳未満は無料。障害者手帳所持者、20人以上、学校団体は割引あり
駐車場:あり
 
 

「温泉王国・長野の名温泉」
 
ニッポン探訪_ニホンザル
 
渋温泉には9つの外湯がある。
8つは宿泊者しか利用できないが9番は有料で入浴できる。ここは趣のある大きな温泉で、ある意味ここだけ入れば十分という感じだ。いくつかの温泉は強烈に温度が高く、やけどしそうになった。「やけど注意」とは書いてあるけど、芸人の熱湯風呂どころじゃない温度なのだ。ビックリ!!
 
渋温泉
https://www.shibuonsen.net/
 


〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている
YouTube「Maddogチャンネル」

ドライバーWeb編集部

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