2021/02/25 新車

ドイツで発表された新型Cクラスを詳細解説! その衝撃的な内容は、まさに「プチSクラス」!



PHEVもラインアップに追加


4WDシステムの4マチックも進化。フロントアクスルドライブが新しくなり、より理想的な前後駆動力配分と前輪への高トルク配分が可能になったほか、軽量化や摩擦損失低減も実現している。またサスペンションは、フロントが新しい4リンクで、リヤはマルチリンクを採用。高い快適性と俊敏なハンドリングを一層高いレベルで両立させたという。オプションでは電子制御連続可変ダンパーとスポーツサスペンションが用意される。

新型Sクラスに続いてリヤアクスルステアを搭載したのもトピックスのひとつだ。後輪は車速が60km/h以下で前輪と逆位相に、60km/h以上では同位相に最大2.5度ステアし、取りまわしの良さと操縦安定性を両立させた。最小回転半径は5.3m程度と、かなり小回りが利くので、大きくなったボディを意識せずに走れそうである。

Cクラス

PHEV(プラグインハイブリッド)モデルの進化ぶりも凄まじい。発売が後日となっているので、まだ詳細は明らかになっていないが、どうやらEクラスと同様にガソリンPHEVとディーゼルPHEVの2種類が用意される模様である。

現時点でスペックがある程度判明しているガソリンPHEVは、200馬力/320Nmを発揮するM254型2L直4ターボに、129馬力/440Nmを絞り出す強力な永久励起同期モーターを組み合わせ、システム合計で313馬力/550Nmという高性能を実現した第4世代PHEV。メルセデス・ベンツAGが自社開発した高電圧バッテリーは25.4kWhもの大容量で、ひと昔前のBEV並みの大きさだ。EV走行時の最高速度は140km/h、航続距離は新型Sクラスと同様に約100kmで、日常的には、ほぼEVとして使えそうである。

バッテリーの充電は、家庭用AC電源を使用した出力11kWのウォールボックスを使用した三相充電のほか、55kWのDC充電器による急速充電にも対応。55kWで充電すれば、約30分でフル充電可能となっている。なおこのPHEVには、バッテリーレベルを維持する「バッテリーホールド」モードはあるが、エンジンでバッテリーを充電するチャージモードは付いていない模様だ。

このPHEVは、セダンとステーションワゴンの両方に用意される。従来モデルはラゲッジにバッテリーが飛び出していたため、使い勝手に難があったが、新型ではラゲッジの段差は解消され、ステーションワゴンではラゲッジフロア長が従来より63mm長い1043mmに拡大。荷室高も高くなり、使い勝手が大幅に向上しているという。なおPHEVのリヤのみにエアサスペンションが標準となる。

Cクラス

しかし100kmものEV航続距離が、PHEVにはたして必要なのかという疑問が湧くのも正直なところ。確かに航続距離が長いに越したことはないが、つねに重たいバッテリーを積んで走る事になる。燃料代は節約できるかもしれないが、電気代は無視できない。その点をチーフエンジニアのクリスチャン・フリュー氏に訊いてみたところ、「バッテリー性能の向上が100kmの航続距離を実現しました。CO2削減要求や購入補助金制度の点では、現時点で必ずしも100kmは必要ではないが、ロングレンジは顧客に喜んでもらえる大きな要素なので、顧客のために100kmとしました。今後数年間はPHEVのベンチマークになるとも考えています」との回答を得た。

確かに日本でも、「EV航続距離100km」はインパクトがある。状況に応じてエンジンと電気を使い分け、また組み合わせて走る事ができるニューCクラスのPHEVは、なかなかクレバーな選択かもしれない。走行中の充電はできないものの、国産モデルにも影響を与えそうだ。ぜひセダン、ステーションワゴンとも導入してもらいたいところである。

ドライバーWeb編集部・青山

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