2021/02/09 コラム

交通違反の点数は加点?減点? これがファイナルアンサーだ!



行政処分は、過去の処分歴により基準が異なる!



ところが、違反者たちの間では昔から「減点」が主流だ。減点派はよく「持ち点」という語を使う。「持ち点は15点。今回の減点は12点だから大丈夫」なんて形で。だが、はっきり言っておこう、持ち点などそもそも存在しない。まっさらなところに違反点数が登録されるのだ。

登録されて積み重ねられ、基本的には6点で30日の免許停止処分の基準に達する。15点で免許取り消し処分(欠格1年)の基準に達する。「達する」けれども必ず基準どおりの処分を執行されるわけじゃない。30日免停は処分猶予もあり得るし、欠格1年の取り消し処分は「意見の聴取」の手続きを経て180日免停に軽減されることもある。

また、「初心運転者講習制度」というのがある。免許取得後1年間に累積点数が合計3点以上になると(1回で3点は除く)高額な講習の対象とされる。講習を受けなかったりすると免許(その違反をした免許)は取り消される。


●警視庁のWebサイトにある「行政処分の基準点数」の一部。累積何点でどんな処分になるか、処分の前歴の回数により異なる。 https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/torishimari/gyosei/seido/gyosei20.html


つまり、免許取り立ての人は3点、6点、15点の「持ち点」を同時に持つことになるわけだ。しかも行政処分は、過去の処分歴により基準が違う。処分歴1回なら4点で60日停止、10点で欠格1年の取り消しだ。これらを「持ち点」で把握するのはややこしい。存在しないものを持ち出してややこしくするのは、得策ではないだろうと私は思う。

加えて、私は思うのだ。「減らされることを前提にした点数を警察から持たされ、取り締まり受けて減点される、ヤバイぞ」って、猫に支配されてチューチュー逃げ回るネズミみたいじゃないですか? 格好悪くないですか? いやネズミさん、ごめんなさい。

とにかくね、免許をとってハンドルを握るとき、持ち点など持たされおらず、我々は“真っさら”なのである。堂々と安全運転でいきましょう。

〈文=今井亮一〉
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行。

ドライバーWeb編集部

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