2021/01/30 ニュース

トヨタの自動運転技術を開発する「ウーブン・プラネット・グループ」。その社名はトヨタの過去と深い繋がりが!

2021年1月より新体制に移行したWoven Planet Group(ウーブン・プラネット・グループ)は、オープニングイベント「The Genesis(ザ・ジェネシス=創世記)」を1月29日にオンラインで開催した。



2018年3月に自動運転技術の実用化に向けた高品質なソフトウェアを提供するため、トヨタ、デンソー、アイシンの共同出資により「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社」を設立。トヨタのソフトウェア開発力を結集・強化し、自動運転や高度安全支援といった最先端の技術開発を進めてきた。

次のステージとして今後の成長やスピード、品質を達成するためには、事業をさらに拡大・発展させる必要があり、新たに「ウーブン・プラネット・グループ」が設立された。グループは、持株会社の「ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社」、事業会社の「ウーブン・コア株式会社」、「ウーブン・アルファ株式会社」、投資ファンドの「ウーブン・キャピタル」の4社で構成される。自動運転技術、ロボティクス、スマートシティなどの分野において、新しいイノベーションの創出とパートナーシップの拡充を通して、人々の働き方や暮らしを変えていくという。「Mobility to Love, Safety to Live」がビジョンで、人を中心に据え、人々に健康と幸せを提供する。クラフトマンシップと細部までのこだわりを生かし、クオリティの高いハードウェアとソフトウェアを作り、素晴らしい商品とサービスを世界へ届ける。

ウーブンという名前に込めた思い


新たに設立された4社すべてに「Woven(ウーブン)」という名前が冠されている。Wovenとは英語で「織り込まれた」という意味。新しい街に作られる“編み込まれたように交差する道”に由来するという意味もあるが、じつはトヨタ自動車のルーツである織物を編む自動織機にもちなんでいる。

トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎氏の父である豊田佐吉氏が、苦労する母親の姿を見て「母を楽にさせたい」との一心から自動織機を発明。喜一郎氏は「国産車で日本を豊かにしたい」という思いから、自動車の製造に足を踏み入れた。このようにトヨタのルーツには「誰かを喜ばせたい」、「誰かに幸せになってほしい」という思いがあるという。

静岡県裾野市にトヨタが建設予定の実証実験都市を「ウーブン・シティ」と名付けたのも、「他の誰かの幸せのために」という思いを、これからも忘れずにいたいと考えたからである。



そんなトヨタが描く未来を実現する役割を担って、設立されたのが「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社」だったが、今回、ウーブンの名前を冠して「他の誰かの幸せのために」という思いをさらに強めて新たなスタートを切ったのである。ウーブン・プラネットのプラネットは「ウーブン・シティ」のシティを遙かに超えた規模の「惑星」の意味を持ち、大きな視点で未来の幸せを考えていくという思いを込めている。

トヨタの名前をあえて外しているが、トヨタが大切に紡いできた「誰かの幸せのために」という思いを「ウーブン」という言葉で継承。トヨタの未来を新たに切り拓く会社であることをアピールしている。



ウーブン・コアとはどんな会社か?



トヨタグループの自動運転技術の開発を引き続き担当。ウーブン・プラネット・ホールディングスの事業のコアとなる最先端の自動運転技術や先進安全技術など、新たなモビリティに必要な技術開発を担う。世界で一番安全なクルマを世の中に送り出し、すべての人に移動の自由を届けることを目標に開発。2021年にはチームメイト(トヨタの将来の自動運転へとつながる新たな先進技術)テクノロジーAdvanced Driveを搭載したモデルを発売予定(ミライとレクサスLSから導入予定)。



ウーブン・アルファとはどんな会社か?


アルファには「未知」や「計り知れない」という意味があり、ファイナンスの世界では予測を遙かに超えるリターンを指す。ウーブン・アルファはあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「ウーブン・シティ」など、ウーブン・プラネットのイノベーションを代表し、未来を実現するための研究開発を行っていく。新領域に対する事業拡大の機会を探索し、革新的なプロジェクトを立ち上げ、推進する。ウーブン・コアの技術の強みを取り入れ、日本の精緻なモノづくりとシリコンバレー流のスピード、機敏性を組み合わせていくという。プログラム可能なクルマづくりを目標にしたオープンなソフトウェアプラットフォーム「アリーン」や自動地図生成プラットフォームなどがおもなプロジェクトである。

ウーブン・キャピタルとはどんな会社か?


運用総額8億米ドル(約879億円)のグローバル投資ファンド。革新的な技術やビジネスモデルを開発している成長段階の企業に投資することによって、ウーブン・プラネット・ホールディングスの事業、製品・サービスの成長をサポートする。投資の対象となる領域は、自動運転モビリティ、自動化、人工知能、機械学習、データ分析、コネクティビティ、スマートシティとなる。世界中に暮らす人々の豊かなダイバーシティを反映した企業に投資するという。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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