2021/01/19 コラム

なぜ危険な場所にバス停が数千カ所もある?…しかし法律上は「安全」とされる理由

危ない場所にバス停があるという事実


以下は2020年12月28日付け読売新聞の、記事の一部だ。



【独自】危険なバス停、36道府県で7300か所超…8か所で人身事故
横断歩道や交差点のそばにある危険なバス停が、36道府県で計7325か所にのぼることが、国土交通省の調べでわかった。停車したバスが要因となった人身事故が、静岡、埼玉、広島、滋賀の4県の8か所で起きていたことも判明。危険なバス停での人身事故の状況が初めて明らかになった。同省は安全対策を急ぐとともに、今後、残る11都府県分を公表する。https://www.yomiuri.co.jp/national/20201228-OYT1T50117/



「おいおい、ちょっと待て。横断歩道上はもちろん、横断歩道や交差点から5メートル以内はそもそも駐停車禁止だぞ。なんでそんな場所にバス停をつくったんだ!」
「いや、バス停が先にあった。あとから横断歩道をつくった奴が犯罪者だ!」

普通はそう思うよね。確かに道路交通法(以下、道交法)第44条第1項が、横断歩道上はもちろん、横断歩道の前後5メートル以内、交差点の側端から5メートル以内などを駐停車禁止としている。違法な停車を日常的に行わせるバス停と横断歩道の組み合わせ、そんなのがなぜ何千カ所もあるのか。答えは簡単。じつは第44条には第2項があり、その第1号がこう規定しているのだ。



2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するとき。



これにより、横断歩道上も、横断歩道の前後5メートルも、交差点から5メートル以内も、路線バスは停車OKなんだね。バス停を設置できる場所は限られているから、危険でもしょーがない? んなわきゃない。法律上、危険はありえないのだ。

道交法第38条の、まず第1項を見てください。長くてややこしいので、私なりに重要と思う部分を赤い文字にしよう。



車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない



シンプルに翻訳すれば「横断歩道に接近したとき、横断しようとする人がいないことが明らかな場合を除き、徐行せよ。横断しようとする人がいたら停止せよ」ってことだ。

ドライバーWeb編集部

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