2021/01/13 コラム

無免許運転の罰則とは? お金で済まされない…前科があると執行猶予なしの懲役刑!


無免許運転する人、建築関係の「ひとり親方」に多い?



徳島地裁で懲役9月の判決を受けた78歳の男性は「無職」だという。けど、私が傍聴してきたなかでは無職の被告人はあまりいない。建築関係の人、特に「ひとり親方」がけっこう多い。道具や材料を積んで現場へ行くにはクルマを使わざるをえず、奥さんもアルバイトも都合が悪くて自分しか運転できる者がおらず、免許取り消し中の身だけども…。それが基本パターンと言える。

『点数制度の実務 六訂版』(啓正社)に「処分期間中に違反行為をした場合」という解説がある。例えば処分の前歴が0回、累積15点で欠格1年の取り消し処分を受けた者が、その処分期間中に無免許運転(25点)で捕まると、点数は15点+25点=40点と計算される。15点による取り消し処分は受け終わっていないので前歴にカウントされず、前歴0回、累積40点の立場になり、欠格4年の取り消し処分の対象とされる。ヤバイですぞ。

無免許運転の被告人はよく「事故を起こさなければ大丈夫と思った」と言う。だったらおとなしく慎重に運転すればいいのに、携帯電話使用や右折禁止違反などで取り締まりを受け、無免許が発覚してしまう、そんな人がほんとに多い。たとえ事故は起こさなくても、自分の免許を、ひいては自分の仕事を、家族の生活を守る、ということについて危機管理能力が低いと言わざるをえない。

事故を起こさない運転をするのは当たり前! そのうえで、事故とは関係なく、取り締まりを受けない運転を心がけることが大事なことと、私の立場からは申し上げておきたいです。

ちなみに私は若いころ、アパートの建築現場へ資材を運んだり、ひとり親方さんの手元(てもと)として雑用をやったりしたことがある。あんときゃお世話になりました。

〈文=今井亮一〉
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行。

ドライバーWeb編集部

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