2020/12/22 コラム

4軸(8輪)車と3軸(6輪)…なぜ10トンカーゴトラックの車軸数はまちまちなの?


低床4軸と高床3軸、走行性能はどう違う?



8輪の小径タイヤで支持される低床4軸は、荷室部の高さはもちろん、車軸位置も低くなって重心も低くなり、走行安定性に優れると言われる。加えて、路面に接地する車輪が単純に2輪増えるから、その分接地感が高いとも言われる。だが、これには異論もありそうで、車輪径の大きな高床3軸のほうが走行安定性がよく、悪路走破性が高いという意見もある。この辺はぜひ、低床と高床、双方のドライバーの意見を聞いてみたいところ。

ただし、ひとつ言えるのは小回り性能の違いだ。操舵輪が1軸で比較的前方にある高床3軸車は、回頭性がよく、切り始めからスパッと曲がりやすいという意見は多い。一方、低床4軸車の操舵の中心点は、1軸目と2軸目の操舵輪の中間にあり、その分だけ頭の振り出しは遅い印象とも言われる。低床4軸でのハンドルの一切り目は車体全体が横にスライドする印象で、高床3軸車と同じ要領でハンドルを切り始めると、曲がり切れないこともあるとかないとか。

上記のような意見がある一方で、筆者の周囲には「低床4軸でも高床3軸でも、大差ない」というドライバーもいて、なんとも一概に言い切れない。そして筆者はと言えば、低床4軸しか経験がないため、高床3軸の感覚がわからない。これも両方を知るベテランドライバーに、旋回性能の差を聞いてみたいところだ。

そんなわけで、現在大型カーゴトラックは、低床4軸、高床3軸が共存していて、なるべく荷物を多めに積めるメリットから低床4軸の比率は高まっているように見える(ちなみに、低床/高床とも一般的に言って最大積載量は大差がない)。けれど、タイヤも車軸も2輪/1軸分多い低床4軸車は、当然ながら車両価格、ランニングコストもその分割高になる。この辺の車両代の初期投資、稼働中のランニングコストを相殺して、低床と高床の差はどうなのか、これは実際に両方を使い分けている経営側にも聞いてみたいところだ。


●高床3軸車・軌跡


●前2軸タイプ3軸車・軌跡


●低床4軸車・軌跡

3タイプの曲がり方の軌跡図。いずれもいすゞ・ギガのもの。各メーカーにより多少の数値差はあろうが、最小回転半径の数値を見ても、高床3軸車が小回り性能が高いのがわかる(いすゞHPより)


●高床3軸車・外観


●前2軸タイプ3軸車・外観


●低床4軸車・外観


いすゞ・ギガを例にした、荷台の高さを含めた各3タイプの寸法。操舵輪が最も前側に位置する高床3軸車は小回りが効く一方、リヤオーバーハング(後輪から最後端までの長さ)が長めで、ケツの外側への振り出しが大きくなる。なお、最近の物流センターは4トン車の接車も含め、プラットホーム(業界では、バースと言う)の高さを低床車に合わせているところが多い傾向だ。

〈文=坂 和浩〉

ドライバーWeb編集部

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