2020/11/20 新車

ホンダ新型N-ONEが発売。見た目をほぼ変えなかった理由とは

ボディパネルが一緒だった!



驚いた。すでに夏ごろからN-ONEのフルモデルチェンジはアナウンスされ、ティザーサイトに掲載された写真は、2012年11月に発売された初代とほとんど変わらなかった。いや、写真で判断するかぎり灯火類やバンパーの変更はあるものの、ボディパネルはそのままに見えたのだ。


●RS


●RS

新型車の事前説明会で実車を見てさらに驚いた。やはりボディパネルは初代とまったく同じだった(正確には、15年のマイナーチェンジで登場した低全高モデル)。こういったフルモデルチェンジは、今まで聞いたことがない。ヒットモデルなら「デザインはキープコンセプト」という話はよく聞くが、今回のように外板パネルが同じとは前代未聞だ。


●N360

初代は1967年に発売されたホンダ初の市販軽乗用車「N360」をモチーフにした。初代が掲げた目標は、「これからの日本に新しい乗り物を提案したい」、「長く愛されるクルマを提案したい」というもの。つまり初志貫徹というところだろうか? 2代目は長く愛されるであろう、初代のままの姿で登場した。


●初代N-ONE

初代の販売計画台数は月間1万台が目標。登場当初は売れたが、大ヒットを飛ばした兄弟車のNボックスには遠く及ばなかった。軽プレミアムとして一定のユーザーに支持されていることは確かだったが、ホンダとしては初代の販売は思惑どおりのものではなかったはず。着実に売れはしたものの、全面刷新で存続させるべきか、大いに悩んだに違いない。

N-ONEのユーザーマインドを探ると「移り変わる流行に流されない安心感から普遍的な本質価値のあるモノ選びが見直される」と答えを導き出した。「車と楽しむ暮らしのために末永く愛せるクルマを」が、2代目のコンセプトになった。

そこで考えられたのが、ボディパネルを変更しないという決断だった。金型も同じものを使うことで、開発と製造コストを大幅に引き下げることができる。だが開発陣に聞くと、そう簡単なことではなかったようだ。

見た目そのままに最新モデルに



というのも、走行性能などを高めるために、新型(現行型)N-BOX系の新しいプラットフォームを使うことが決まっていたからだ。プラットフォームは新しいがボディはキャリーオーバー。単純に組み合わせられるわけはなく、苦労したという。


●オリジナル


●オリジナル

「末永く愛せるクルマを」という開発目標はそのとおりだったと思うが、N-BOXのような販売台数が見込めないN-ONEを存続させるためには、この手法しかなかったのではないだろうか。いずれにしてもN-ONEが好きなユーザーにとっては、デザインが変わらずに最新装備や先進安全装備を手に入れられるようになったのはうれしいことだと思う。


●プレミアム


●プレミアム

実際、ヘッドライトなどは最新デザイン。軽自動車初のLEDデイタイムランニングランプを搭載した。丸いヘッドライトは初代からのアイコンだったが、新型はさらにくっきりした瞳に見え、愛くるしい表情になっている。ちなみにリヤコンビランプもフルLEDに刷新された。

「デザインはそのまま、装備は最新」。今回のフルモデルチェンジの手法は今後増える可能性もある。

--{インテリアはどうだ?}--

一新されたインテリア



新型N-ONEは、外観がキャリーオーバーされたことばかりに注目が集まるが、インテリアは刷新されている。注目点はインパネのデザイン。センターディスプレイが内蔵式からフローティングタイプになり、さらに助手席前に横長の大きなカラーパネルをレイアウトした。これによって水平方向のワイド感が増していて、かなり開放的になったように感じる。


●新型(オリジナル)


●先代

さらによく見ると、助手席のフットスペースが大幅に広くなったことも、開放感を高めているポイントだとわかる。実際インパネデザインは助手席側をかなり小さく、コンパクトにまとめた。室内側への張り出し量を少なくするとともに足元の出っ張りも小さくすることで、大柄な人が乗っても足を組めるほどくつろげる空間を実現している。

シートはよりドライビングに集中できるようにホールド性を向上。従来はアームレスト付きのベンチシートタイプを採用していたが、新型はホールド性を重視するためにセパレートタイプに変更した。後席も座り心地はアップしたが、ヘッドクリアランスが少し減ってしまったのが残念な点。これは先代の途中に追加した低全高ルーフ仕様がベースであること、またプラットフォームが新世代になってヒップポイントが変わってしまったからだ。わずかな差だが、後席に身長が高い人を乗せる機会が多い人は入念にチェックしたい。


●オリジナル

新型の注目点は、新たなパワートレーンの採用だ。RSグレードには6速MTを新設定した。組み合わされるエンジンはもちろんターボ。このトランスミッションはS660やN-ONEのものを流用し、N-ONE用に最適化して搭載している。FFターボと6速MTの組み合わせは軽自動車初だ。価格はギリギリ200万円を切る199万9800円に設定されているから、注文が殺到するかもしれない。ホンダの販売構成予想ではRSが18%、オリジナルが23%、プレミアム系が59%だが、初期受注はRSがもっと伸びる予感もする。


●RS(6速MT)。シフトノブはS2000をベースに専用デザインとしている

先進安全装備も最新版に


先進安全装備のホンダセンシングも最新にアップグレード。ACCは渋滞追従機能付きの全車速タイプになり、レーンキープも装備されるようになった。うれしいのはRSの6速MTを選んでもACC(渋滞追従なし)とレーンキープが搭載される点。もちろんパーキングブレーキは電動タイプで、オートホールド機能も採用されていて便利だ。

そのほかでは、リヤシートリマインダーの設定にも注目。これはリヤドアの開閉を行った後にエンジンを切ると、メーターパネルに「後席への置き忘れに注意してください」と表示する機能だ。荷物だけでなく、子供の車内への置き忘れを防げる。


●荷室はシンプルな5:5の分割可倒式。後席座面はチップアップ機能あり

N-ONEは特異な手法でフルモデルチェンジされ、初代から続くタイムレスデザインには外板パネルまでも引き継がれた。車種数を維持しながら開発コストを圧縮するのは、ユーザーメリットにもなる。N-ONEの成否によって、軽自動車の開発が見直される可能性も? 「デザインは昔のままで装備は最新」。少子高齢化社会での軽自動車のあり方を、見直すきっかけになるのかもしれない。



〈文=丸山 誠 写真=山内潤也〉

ドライバーWeb編集部

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