2020/11/18 旧車

ああ懐かしのセリカも今年で50周年。車名の初案は「シグナス」だった!?

50周年を迎えたセリカ。社長の感性が生んだ車名の名作



2020年はセリカの誕生(1970年10月23日発表、12月1日発売)から50年の節目にあたる年。2006年4月の生産終了から約15年の月日が過ぎた。

フォードが量産のファルコンをベースに、スポーティな外観を組み合わせたマスタングで一世を風靡。いわゆるスペシャルティカーというカテゴリーが生まれたが、その日本初のモデルがセリカである。

トヨタの技術の将来性を考えると、量産でのDOHCと5速MTの組み合わせ展開が必要不可欠。そこへ、スペシャルティカー(セリカ)とトヨタ店販売系列向けのファミリーカー(カリーナ)の要望が来た。あくまで量産にこだわり抜いて企画をまとめ上げたのがセリカ/カリーナ。今では1つのプラットフォームからセダン、ハッチバック、ミニバン、SUVなど多くの車種を派生させる手法は当たり前になったが、その日本での嚆矢がセリカ/カリーナだったのである。

車名はスペイン語で「天の」、「天国のような」、「神々しい」、「こよなく美しい」という意味。おもに詩などの文章に使用される格調の高い言葉である。車名は社長決裁で兄弟車のカリーナはすんなりと決まったが、スペシャルティカーの案はすべてボツに。豊田英二社長(当時)の発案によりセリカと決定したという(『技術の友』、第39巻第2号)。

セリカには“天駆ける龍”をモチーフとしたエンブレムが付いているが、これは前の車名案のモチーフに由来するという(前掲書)。このデザインと当時トヨタが所有していた商標から推測すると、「CYGNUS(シグナス=白鳥座)」がもともとの車名案だったと思われる。これは後にチェイサー発売時の有力案と噂され、ランドクルーザー100系の上級仕様車としてようやく日の目を見た。

神秘的で男性的な宇宙のイメージと天空を駆け巡る未来のクルマというイメージを結びつけたセリカのネーミング。豊田英二氏の感性が生み出した車名の名作といえるだろう。


●国産初の本格的なスペシャルティカーがセリカだ。その頂点がDOHCの2T-G型ユニットを積んだGTだ


●ユーザーの好みに応じて、エンジン、ミッション、外観、内装などを選択できるという画期的な「フルチョイス・システム」を採用


●STは「スポーツ・ツーリング」の略。GT以外は1400ccのT型、1600ccの2T型、1600ccツインキャブの2T-B型のエンジンが選べた

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING