2020/10/26 コラム

日本に再び帰ってきた人気者を接写!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第10回〜ラッコ」

ドライバー3月号(2020年1月20日発売号)からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国を最新SUVで駆けまわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第10回は、愛らしい顔立ちと海にプカプカと浮かぶポーズで大人気の「ラッコ」。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します。

三好秀昌のニッポン探訪 第10回 ラッコ

ラッコが再び日本に帰ってきた

日本近海では絶滅したとされていたラッコだが、北方領土辺りでは生き残っていた。だから、たまに流されて日本にたどり着くラッコが道東の海では見かけられていたそうだ。
野良ではないラッコが確実に北海道・霧多布(きりたっぷ)岬に住みつき始めたのは2012年ごろかららしい。
 
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このあたりの漁港にラッコがいるという話は聞いていたが、霧多布で“野生のラッコに赤ちゃんが生まれた”という情報を得て「これは行かねば!」と駆けつけた。
 
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地元で聞くと、「いますよ~。たぶん見られますよ」ということで確かにいるらしい。しかし、波間にプカプカ浮びながら流されていくので、岸からは遠い。写真を撮るにもじーっと待って近づいてくるのを待つしかない。
 
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近づいてきたころには太陽が沈みかけていたり、逆光になったり、曇ったりと、運と運がかけ合わされなければ、なかなかいい感じの写真が撮れない。
しかし長い時間見ていると、今年生まれた赤ちゃんにお母さんが授乳するシーンとかも観察できたのでオイラは運がいいのだろう。
 
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しかしこのラッコ、想像以上にデカい。小さくて愛らしい動物と思っていたが1m30cm~1m40cmぐらいの体長で下半身デブなのである。
 
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また、泳ぐ姿はアザラシに見えるし、岩の上を歩く姿はイタチやヌートリアみたいにも見える。意外と七変化の動物だ。
 
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顔も白っぽいのから黒っぽいのまでいて、濡れると毛が逆立って目鼻がハッキリしない。遠目に見ていると、どこを向いているのかわからず、シャッターチャンスも捉えづらい。

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かわいらしい表情なのだが、それを的確なタイミングで写すのは難しい。
何の気なしに見ていると、手を上げたポーズで漂流したりしているからおもしろいのだが、これを写真で伝えようとしても、目鼻がわからない写真になったりする。別の要因は海上で光が強いからコントラストが強く、海の色をきれいに出す露出に合わせるとアンダーっぽくなり、ラッコは暗くなってしまうのだ。

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というわけで、なかなかいい写真を撮るのとは別で、ラッコたちのかわいいしぐさは満喫できた。
皆さんもタイミングが合えば、ぜひGo To トラベルキャンペーンでも使って“生”ラッコを見に霧多布岬まで足を運んでください。

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YouTube動画も要チェック!
「野生のラッコに赤ちゃん誕生!」
 


「撮影裏話&テクニック」

流し撮りで写真にバリエーションを 

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岬の高い所からしか撮影できないので、海の上に浮いているだけの写真になりがち。バリエーションにかける。
そこで、オイラは流し撮りにトライすることにした。泳いでいるときは上下動はあるし、スピードが遅いのでクルマのようにきれいに流せはしないが、運よくタイミングが合えばおもしろい。
 
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[撮影データ]

機材:SONY α9Ⅱ
レンズ:FE600mm F4 GM OSS
シャッタースピード:1/40秒
絞り:F9.0
ISO:160
 
あとはなんとか陸地が入る位置に来るのを待った。周りに岩や緑が入るだけでだいぶ雰囲気が違う写真になる。

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岬では大きな望遠レンズは風をまともに受けるのでカメラブレが大きい。大型の三脚でもレンズが風をまともに受けては、なすすべもない。風がやむのを待つか、できるだけ速いシャッタースピードを選択するしかない。あとは超望遠レンズで遠くのラッコを狙うと、大気の揺らぎでピントが合っているのかどうかもわからないこともある。
これを最大限避けるには、空気が冷えている朝がチャンスだ。

 

「今回のSUV……三菱 デリカD:5」

寝袋と機材を積んで旅に出たくなる度MAXの1台 

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2019年2月のビッグマイナーチェンジのリリース写真を見たときには“やっちまった”感を強く感じたのだが、実車と対面すると“ダイナミックシールドコンセプト”と呼ばれるシャープで直線を基調とした新しいデザインは、力強さと洗練さがあってなかなかいい顔だと思った。写真と実車でこうも違うものなのかという驚きがあった。
 
エンジンは2.2Lディーゼルターボ。高速道路の走行シーンではエンジン音は気にならないが、低速域ではエンジンノイズがちょっと高め。だが、パワフルで元気なエンジンである。
 
乗り心地は全般的にマイルドで、林道など少し荒れたところでも硬めの横揺れは起きないので疲労度は少ない。
コーナリングではやはりロールが大きい。たぶんスタビライザーのレートを下げ、低速域の荒れた路面での乗り心地を考えたのだろうから、しょうがないところだ。
 
運転席を含めた室内は広くて開放的。セカンドシート、サードシートも適度なレッグクリアランスがあるからファミリーユースには最適なサイズだ。
個人的には、2列目と3列目のシートを倒してすごく広くなった空間に寝袋と機材を積んで旅に出てみたい。そんな気分にさせられる度MAXのクルマなのである。
 
4WDは3つのドライブモードを選択できる。通常走行では燃費特性に優れる2WD。雨や横風が気になる状況、雪などでは4WDオート。これにしておけば、路面状況に応じてリヤにトルクを増やしていってくれる。
 
そして特徴的なのが4WDロック。50:50に近いトルク配分で、一番タイヤにパワーを伝えられる設定だ。大きな段差や深い雪での走破性が格段に上がる。
SUVとミニバンの両方のテイストを備えているこのD:5の一番の特徴は、この4WDシステムによる悪路走破性だと思う。
特に荒れた路面での走破性、トラクションの力強さはディーゼルエンジンのトルク特性と相まって心強いのだ。
 
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■主要諸元

三菱 デリカD:5 P 8人乗り
(8速AT/4WD)
全長×全幅×全高:4800mm×1795mm×1875mm
ホイールベース:2850mm
最低地上高:185mm
車両重量:1980kg
エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:2267cc
最高出力:107kW(145ps)/3500rpm
最大トルク:380Nm(38.7kgm)/2000rpm
燃料/タンク容量:軽油/64L
WLTCモード燃費:12.6km/L
タイヤサイズ:225/55R18
価格:437万1400円
 

霧多布岬とその周辺 

灯台

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地名のとおり霧が多いところで、そんな夜の灯台の光は幻想的だ。ただ、どこかに連れていかれそうな妄想も抱いてしまい、ふとした瞬間に恐怖を感じたりもする(笑)。
 
 

コンブ漁

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浜中町のコンブ漁は毎年6月に解禁になる。6月は2日間、2時間だけの操業なので、朝5時の出漁の合図ともに50艘以上の船が一斉に出港する。時間との勝負と、一番いい漁場を確保するために、スタートはまるでレースのようで見ていて迫力がありおもしろい。
操業情報は浜中町HPに出ている。
 
 

フレンドリーな仔馬

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霧多布岬の少し手前、道沿いに牧場がある。牧場というよりもかなり自然な原生花園風の野の花が咲くきれいな所だ。ここに馬の親子がいた。仔馬はやけにフレンドリーで、手をたたいて呼ぶとのんびりとこっちへ近づいてきた。
 
餌をくれると思ったのか、頭をなでているうち、油断したらオイラの服の裾をかじってた(笑)。それでもまあ、おとなしくかわいらしい。なんといっても、呼んだら来てくれて、オイラと遊んでくれたのが最高。
 
 

簡易軌道 

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浜中町にはかつて簡易軌道という鉄道が存在した。これは道を作るのが困難な泥炭地や湿地にレールを敷いて、入植者の利便を図るという目的の鉄道で、ここも含めて多くは馬車鉄道だった。浜中町営軌道はそのなかでも規模が大きく、存在意義も大きくなったようで、内燃機関(ディーゼル機関車)を導入し、昭和47年まで生きながらえた。

残念ながらオイラは走っているのを見たことはない。
その機関車が町はずれにポツンと置かれていた。湿原の中のよれよれのレールの上を走ってくる姿を見てみたかった。
 
 

えとぴりか村

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霧多布岬に一番近いペンション。ここのオーナーの片岡さんは長年、ラッコを観察してきて写真集も出されている。奥様ともどもこのあたりの動植物に詳しく、ラッコの撮影にあたって、おふたりには貴重なアドバイスをいただいた。
 
この宿のすごいところは、庭に普通では人の近くには来ないハイタカやトラフズクといった猛禽類が遊びに来ることだ。
 

カントリーハウス えとぴりか村

住所:北海道厚岸郡浜中町湯沸157
TEL:0153-62-2202
http://www5b.biglobe.ne.jp/~pirika/
宿泊料金:4300円(1泊2日・軽朝食付き)~

 

〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている

ドライバーWeb編集部

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