ルノーは2020年10月15日、コンパクトハッチバックモデル「ルーテシア」を刷新し発売。11月6日より全国のルノー販売店で販売を開始する。価格は236万9000〜276万9000円。
ルーテシアは、1990年の登場以来、第4世代となる先代モデルまでの累計販売台数は1500万台にもなり、二度の欧州カーオブザイヤーを獲得するなど、欧州のコンパクトカー市場で絶大な人気を誇るモデルだ。
先代のよさを踏襲しながら
ダイナミックに進化したエクステリア
今回5代目となる新型ルーテシアは、先代で好評だった「LOVE」をテーマとした官能的なエクステリアデザインを踏襲しながら、精密さやダイナミズムを感じられる直線表現を付加、精緻に造り込まれたディティールにより、スポーティで洗練された印象を与える。
フロントマスクは先代のイメージを色濃く残しつつも、ボンネットフードに施される直線のプレスラインやグリルの拡大、Cシェイプ型デイタイムランプを備えたLEDヘッドライトの採用などにより、力強さを強調。フロントバンパー両端には、空気抵抗抑制&燃費向上に効くエアディフレクターを新たに設置。これが視覚的にワイドかつローフォルムを演出する。兄貴分のメガーヌとも共通する“最新ルノー顔”へと進化した。
ボディサイドの印象も先代モデルの流れるようなフォルムを継承しつつ、フロントまわりに入れた直線基調のプレスラインや、ドア下部のクローム処理されたプロテクションによりシャープな印象を際立たせている。上位グレードのインテンスにはさらに上質感を高めるクロームのウインドーモールが備わる。
リヤまわりは、ボディ外側に配したヘッドライト同様のCシェイプを強調するリヤコンビランプがワイド感とシャープさを強調。リヤゲートとバンパーを一体化した造形により、丈夫さと高品質感を演出する。
ボディカラーは「LOVE」のデザインテーマを連想させるルージュフラムMのほか、新色のオランジュバレンシアM、同じく新色のブルーセラドンM、ブラングラシエ、ブルーアイロンM、ノワールエトワールMの6色を用意する。
ちなみにオランジュバレンシアMは、自動車では初となるオレンジ色のトップコートを使用することで、これまでにない深みと輝きのあるボディカラーを実現した。
先進感漂うインテリア
インテリアには人間工学に基づき、広く、機能的な造形を施すとともに、質感の高さを感じられる空間としている。
新型ルーテシアでは、人間工学に基づきデザインされたコックピット空間「スマートコクピット」を採用。コックピットまわりは、ドライバー側に傾けられ、センターコンソールも操作性を考慮して高い位置に設置することで、運転に集中できる環境を作り出している。
波のような曲線と直線基調を取り入れたダッシュボードは、広く見通しのよさを演出する。
乗員が触れる部位にはソフト素材を配することで、質感の高さを感じられるように配慮。さらに各パーツの組み付け精度を高め、スイッチ類には細かなデザインを施すなど、細部の仕上げにこだわることで、視覚的な高品質感を高めている。
本革巻きステアリングホイール中央には小型化したエアバッグシステムを装着。メーター類の視認性が向上している。また、マニュアルでの変速操作でスポーティな走りが楽しめるパドルシフトを装備。ステアリングヒーターも備える。
メーターまわりは、新たに視認性が高く、豊富な情報をシンプルかつ直感的に表示する7インチデジタルディスプレイを採用。「ルノー マルチセンス(インテンス、インテンス テックパック)」と連動して、選択した運転モードに応じたイルミネーションカラーになる。
インストルメントパネルのセンターにはフローティング構造の7インチのマルチディア EASY LINK(イージー リンク)を搭載。スマートフォンと接続することで、タッチスクリーン上でスマートフォンの各種アプリが利用できるほか、最新のインフォメーション技術や、3つの運転モード(My Sense/Sport/Eco)をセレクトできるルノー マルチセンスに簡単にアクセス可能だ。
センターコンソールは高めの設定で、シフトレバーも短くなり操作性を高めた。今回新たにオートホールド機能付きの電動パーキングブレーキを装備。コンソール下部の収納部にはスマーオフォンのワイヤレス充電機能が備わる。
前席シートは座面長を長く取り、包み込むような形状でサポート性を向上させたほか、シートバック形状を工夫することで、後席乗員のヒザまわりのスペースにゆとりを持たせた。ユニークな薄型形状のヘッドレストにより、後席からの視認性も高めている。
使いやすさを追求した荷室スペース
荷室スペースは積載性を考慮してスクエアな形状とし、積載量は1クラス上に匹敵する391Lを確保した。これは先代の330Lに比べ61Lも増えているのだ。荷室フロアは2段構造を採用、上段にフロアボード装着した上で後席を倒すと、フラットな荷室空間となり日常の使い勝手にも優れる。
軽量・高剛性化を進めた新プラットホームを採用
そして、もっとも注目すべきは、ルノー・日産・三菱のアライアンスにより新開発されたモジュラープラットフォームであるCMF-Bプラットフォームの採用だ。先代よりも約50kg軽量化しながら、高剛性化により高出力のパワーユニットに対応するとともに、しなやかなサスペンションの動きや正確なハンドリングに寄与する。加えて、静粛性や遮音性を高めるとともに、安全面や空気抵抗の軽減策を施すなど高い基本性能を実現している。
また、先代よりもボディサイズがコンパクトになったことで、空気抵抗を抑え燃費低減や軽量化が省燃費化に貢献。ボディサイズはコンパクトになったが、室内空間は先代よりも広くなっているというから、扱いやすさや快適性は十分期待できる。
ステアリングのギヤ比は、先代モデルの15.2から14.4とクイックされ応答性が向上。フロントアクスルの高剛性化も図られ、直進安定性や正確なハンドリング、走行安定性も向上している。
また、シャシー全体のバランスとリヤアクスルの設定を見直すことで、高い速度でカーブを曲がる際の安定性も高まっており、ロール量も減少している。バンパーやスプリングも見直したほか、ブレーキも踏み込み量を減らすなど素早く制動するようセッティングされている。
1クラス上の動力性能
新開発の1.3L直噴ターボエンジンは、ルノー・日産・三菱のアライアンスにより開発されたもの。最高出力は131ps/5000rpm、最大トルクは240Nm/1600rpmを発揮。これに7速DCTが組み合わされる。
新開発エンジンは、燃焼の効率化を図る直噴の採用に加え、シリンダー内を特殊コーティングすることで摩擦を低減するなど、燃費向上策が施される。WLTCモード燃費は17.0km/L(フランスの試験機関UTAC測定値)だ。
トランスミッションは先代の6速から7段に多段化され、シームレスな変速感と快適性を高めると同時にCO2排出量の削減にも寄与する。パドルシフトを活用すれば、ダイレクトな変速により、スポーティな走りも楽しめる。
先進の運転支援システムを搭載
新型ルーテシアは多彩な先進運転支援システムを搭載。追従機能付きクルーズコントロールと車線中央維持支援機能を組み合わせたハイウェイ&トラフィックジャムアシストにより、長距離の高速走行や渋滞時のドライバーの疲労を低減する。
また、360°カメラによる俯瞰映像を7インチディスプレイに表示することで、車庫入れや縦列駐車のほか、発進・後退時の周囲の状況確認がしやすくなる。前方・広報・左側方を表示するモードもある。
予防安全技術も進化
歩行者・自転車検知機能付きアクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)のほか、ブラインドスポットワーニング(後側方車両検知警報)、レーンデパーチャーワーニング(車線逸脱警報)、トラフィックサインレコグニション(交通標識認識)、セーフティディスタンスワーニング(前方車間距離警報)を搭載。安全装備が大幅に進化している点も見逃せない。
見た目のイメージは先代を彷彿するも、中身は完全進化を遂げた5代目。欧州で人気の理由が知れるルノー“イチ押し”モデルは、日本でもブレイクする要素は十分に秘めていそうだ。
[ルーテシアの価格]
〈FF・1.3Lターボエンジン・7速DCT〉インテンス テックパック:276万9000円
インテンス:256万9000円
ゼン(受注生産):236万9000円
[インテンス(FF・7速DCT)主要諸元]
【寸法・重量】全長:4075mm
全幅:1725mm
全長:1470mm
ホイールベース:2585mm
トレッド:前1505mm/後1495mm
車両重量:1200kg
【エンジン・性能】型式:H5H
種類:直4DOHCターボ
ボア×ストローク:72.2mm×81.4mm
総排気量:1333cc
最高出力:96kW(131ps)/5000rpm
最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1600rpm
使用燃料・タンク容量:プレミアム・42L
WLTCモード燃費:17.0km/L
最小回転半径:5.2m
乗車定員:5人
【諸装置】サスペンション:前ストラット/後トーションビーム
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後205/45R17
〈文=ドライバーWeb編集部〉