2020/09/28 コラム

トラックドライバーの負担が大きすぎる? 荷物の積み卸しに見える業界の力関係

大型トラックで運ぶということは、荷物の数は1個や2個ではない。それこそ荷室の中へ積めるだけ、数百個から千個以上というレベルだ。そうした大量の荷物を、どんな形態で運んでいるか、というのが今回のお話です。

(1)どこから積み、どこから卸すか?


これだけだと、何のことだかわからないだろうが、多くの4トン車以上(10トン車も含む)のウイング付き箱型トラックの場合、荷物を出し入れする場所が複数ある。後部の観音開きのドアからか、横側左右の上に向かって開くウイングを上げ(さらにアオリを下げて)、横側から荷積み荷卸しをするかである(保冷車など、ウイングを持たない大型トラックもあるが、ここではウイング車の場合を紹介する)。



左右ウイングは、主に大きな荷物の出し入れ、パレット積みの荷物をフォークリストで卸す場合に使われるが、荷の出し入れで作業面積を取る。一方後方の観音扉からだと、出し入れ作業の面積を取らない。だが、荷室の前のほうに積んだ貨物を後端まで動かす手間があり、バラ積みの箱などの積み下ろしでは、労力がかかる。

(2)パレット積みとバラ積み(手積み)の大きな違い



先の項目でも少し触れてしまったが、トラックの荷台に乗せて輸送する場合の荷姿には、大別して上記の2つがある。パレットとは荷物を載せるための荷役台のことで、これに荷物を一定量積み重ねて荷台に載せる(荷崩れ予防に、周囲に業務用ラップを巻いて固定したりもする)方法で、これをパレット積みという。利点はパレットに積載したまとまった量の荷物を、フォークリフトを使ってトラックの荷台から積み卸しできること。荷積み地でも卸し地でも、フォークリフトがあれば短時間で作業が終わる。



一方のバラ積みとは、例えば1個ずつケースに入ったいわゆる”バラ”の荷物を荷台に直接積み重ねていくもの。利点はパレットに載せる場合よりも、物理的に個数を多く積めること。その反面、積み下ろしに時間がかかる。例えば20〜30個の荷物を一気に荷積みできる(パレット積み)のと、1個ずつ箱を積む(バラ積み)のでは、手間と労力、所要時間の差は歴然だ。また、現状で荷役まで担わされることの多いトラックドライバーは、上記2タイプの荷積み&卸し形態の違いで、体力の消耗度は大変異なることとなる。

(3)バラ積みが存在する理由



荷積み荷卸しの時間効率を上げるためには、パレット積みの荷物をフォークリフトで動かすほうがはるかにいい。なのに効率の悪いバラ積みが存在するのはなぜなのか? これにはいくつかの理由がある。



(A)前述したが、パレットサイズ分の厚みや広さ、重量が取られない分だけ、バラ積みのほうがトラックの荷台に多めにフレキシブルに荷物を詰め込める。
(B)荷主側の都合だが、パレットの後日回収の手間を省ける。載せたパレットは一応自社の資材(財産)だから、まとめて空のパレットを回収するための戻り便を後ほど手配しないといけない。また一方で、パレットで納品された方(受け取り側)は、送付用のパレットが溜まってくると、自社の作業スペースが圧迫されてきてパレットが邪魔になるという不都合が生じてくる。

(4)そこで生まれた、パレット積み&バラ卸し



荷主側と荷受け側、双方の都合から生まれたのだろうかと思う手法が、パレット積み&バラ卸しである。荷積み場所ではパレットで効率よく積み込み、荷卸し場所ではバラで卸すという場合がある。受け取り側は卸す時間がかかってしまうのが難点だが、代わりに空のパレットを、輸送したトラックドライバーが荷主側に戻す作業まで請け負ったりする。こうした戻す作業に対し、戻り便として運賃が上乗せされる場合もあるが、うやむやの場合もある。なお、卸し地でバラを卸す労力は、大概の場合ドライバーの無償のサービスである。つまり、どんな場合もドライバーの立場が忖度(!?)されることはない。また、荷物の卸し場所では、効率よく卸せる作業が優先されるため、作業時間の長いバラ卸しのトラックが、後回しにされることも多々ある。

(5)どんな荷積み、荷卸し形態が理想なのか?



荷積み、荷卸し場所での効率のよい作業には、パレット積み、フォーク卸しが理想的だ(物流センターなどではない小口の荷積み荷卸し、2トン車くらいまでの物量は例外だが)。前述したパレットの回収は、ある程度まとまった数を回収便として手配し、荷主側に戻すのが理想だ。実際にこの方法で回している物流センターもあるのだが、割合で言えばそんなに多いとは言えない。

なぜそうなっているのか? 繰り返しになるが、荷物は極力ぎっしり積んでなるべく多く運んでもらいたい(パレットスペースも惜しんでいるのだ)荷主側の思惑、パレットを持ち出されたくないし、回収の手間も負担したくないという、これも荷主側の都合があるからだ。だがそれが通用しているのは、トラックドライバー(運送会社)側が、素直に手間を請負っているから。運送会社は面倒見がいいって思うだろうが、そうではない。力関係で立場が弱いのだ。大手運送会社の場合はわからないが、あまたある中小の運送会社は手間を惜しまず、荷主側の言い値の運賃で仕事を請け負うことで成り立っている、弱い立場なのだ。その辺の事情については、また別の機会で紹介できたらと思う。

以上、今回はトラックの荷物はどんな方法で積むか、そこから見える業界の力関係、トラックドライバーに担わされる負担の多さについて紹介してみました。

〈文=坂 和浩〉

ドライバーWeb編集部

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