2020/09/15 新車

ドイツで鍛えた足まわりがワゴンであることを忘れさせる! 新型レヴォーグ サーキット試乗

新型レヴォーグの動的質感をサーキットで試す



10月15日の正式発表に先駆けて、8月20日に先行予約がスタートした2代目スバル レヴォーグ。正式な数字はまだアナウンスされていないが、すでに相当数の予約が入っていると言われている。8月初旬に、日本自動車研究所(JARI)城里テストセンターで行われたプロトタイプ試乗会で受けた衝撃を考えれば、その人気ぶりも納得である。



しかし、前回のJARIはあくまでもテストコースである。新世代のアイサイトXの機能を体験するには最適な環境だったかもしれないが、動的な部分を味わうにははっきり言って物足りなかった。

だがそこはさすがスバル。約1カ月後の9月上旬に、千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイで、メディア向けに「新型レヴォーグ・プロトタイプ試乗会(動的体感編)を開催したのだ。わかってらっしゃる!

今回は、新型レヴォーグのGT-HおよびSTIスポーツ、そして従来モデルのSTI スポーツ アイサイトで、それぞれ4周ずつのサーキット走行がメイン。パドックでは高速域からのプリクラッシュブレーキのデモンストレーションと、前側方軽快アシスト+対歩行者プリクラッシュブレーキの体験などが行われた。

CVTなのにトルコンATのようなダイレクト感


我々はまずサーキット走行へ。1台目は新型のGT-Hだ。GT-HのタイヤサイズはSTIスポーツと同じ225/45R18だが、足まわりにコンベンショナルなショックアブソーバーを装着。またドライブモードセレクトの代わりにSI-DRIVEを搭載したモデルだ。



1周目は軽く流してコースを確認。この時点ですでに軽く吹け上がるエンジンが気持ちいい。そしてメインストレート手前からSI-DRIVEをSモードに入れて加速体制に入る。

メインストレートでは軽やかな加速を見せ、150km/h強に到達。177ps/300Nmのエンジンスペック、そして車両重量1570kgの車体に撮影スタッフと2人で乗車していたことを考えればまずまずだ。

ブレーキングから右へ90度曲がる第1コーナーへ進入する。とてもスムーズに狙ったとおりの走行ラインをトレースできる。そのままフル加速して大きな右コーナーから中速の右複合コーナーへ進んでも、4WDのクセを感じるどころか、速度域や加減速状態に関係なく、ステアリングの正確性が全く失われない。コース後半にある大小の180度ターンも正確にクリッピングポイントにつくことができる。


CVTであるリニアトロニックの制御もいい。Dレンジでもまずまずのダイレクト感があるが、マニュアルモードに入れれば、今どきのトルコン式の8速スポーツATと比べても遜色ないスポーティなフィーリングが得られる。

ただ、GT-Hはサーキット走行を全力で楽しむには、若干足まわりがソフトだ。もちろんダンビングはしっかり効いていて、コーナーで不安を感じるようなことはないし、ロールスピードも上手く抑えられているが、基本的に快適性を担保したセッティングである。とはいえそれでも十二分に軽快な走りを楽しむことができた。

スポーティ一辺倒ではない動的質感


次はいよいよ新型のSTIスポーツだ。専用18インチアルミホイールや専用ステアリングホイール、レッドステッチをあしらったボルドー/ブラックのレザーシートなどがおごられたSTIスポーツは、ZF製の電子制御ダンパーとドライブモードセレクトを装備した、現時点で最もスポーティに仕立てられた仕様だ。



ドライブモードセレクトをスポーツ+に入れ、リニアトロニックをマニュアルモードに切り替えてコースイン。走り出しから足まわりのしっかり感がまるで違う。軽く流しているだけでも、シートやステアリングからGT-Hより一段上のスポーティネスが伝わってくる。

先ほどと同様に、2周目からクルマに鞭を入れる。加減速にGT-Hとの差はないが、引き締まった足まわりがロールやピッチングをさらに抑え、ステアリングの正確性も一層高められている。ステアリングレスポンスもほとんど遅れを感じさせないが、過敏だったりオーバーステア気味だったりと言うことはなく、ワゴンであることを忘れるほど、とてもダイレクト感のある走りが楽しめる。スポーツ+では前後駆動力配分がほぼ50:50になるという4WDによるトラクション性能の高さも感じられ、まさにクルマが意のままに動いてくれる感覚だ。



だがスポーティ一辺倒というわけでもなく、あらゆる動きにしなやかさが感じられる。その辺がボディ剛性向上や構造用接着剤の使用範囲拡大などで、NVHを徹底的に低減させた新型レヴォーグの真骨頂なのだろう。俊敏でスポーティネスと上質感が見事に融合した走りは、間違いなく世界に通用するレベルである。

最後に従来モデルのSTIスポーツ アイサイトでも走行したが、SI-DRIVEをSモードに入れても、あらゆる動きが感覚にリンクせず、クルマの動きがとてもチグハグな印象を受けた。新型STIスポーツのように、クルマが手足のように自由自在に動く感覚を体感した後では、なおさらだ。デビュー当時は決してそんなことはなく、十分にスポーティだったはずだが、2世代くらい前のクルマに感じてしまったというのが正直な感想だ。

おべっか抜きにドイツ勢を脅かす乗り味


では新型レヴォーグの出来栄えは、同クラス(Cセグメント)のドイツ車と比べて、どのあたりになるのか。VWゴルフ7(GTI除く)よりは上で、エンジン性能に差はあるが、特にSTIスポーツのシャシーの完成度はアウディS3(8V)にかなり迫るレベルにあるという印象。まだゴルフ8や新型アウディA3には試乗できていないのでなんとも言えないが、新型BMW1シリーズやメルセデス・ベンツAクラスのリアサスがマルチリンクのモデルともいい勝負をしそうである。



今回の取材で、開発トップの五島 賢氏から興味深い話を聞いた。それはZF製の電子制御ダンパーに関することなのだが、ZFのエンジニアは、新型レヴォーグ用の電子制御ダンパーの開発を、ドイツメーカー向けのものと全く変わらない手法で行ったのだそうだ。つまり、新型レヴォーグは、現時点では国内専用モデルだが、足まわりはドイツの道で鍛えられたのだ。走りが抜群にいいのも納得である。

これほどのクルマが300万円ほどで手に入るのだから、新型レヴォーグは間違いなくお買い得だ。あとは一般道でどんな走りを見せてくれるのかが気になるところだが、早いタイミングで手に入れたいなら、事前予約するべきかもしれない。





〈文=竹花寿実 写真=山内潤也〉



ドライバーWeb編集部

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