2020/09/07 コラム

トラックの迷惑駐車にもワケがある…業界あるある6選|現役トラック運ちゃんの本音|

運送業界に入って2年、この間にひととおりの運送業務は担当したが、「これが常識なんだ?」と驚かせられることがそこかしこにある。そんな実例を、思いつくままに挙げてみよう。

1)430運行〜4時間走って休憩はたったの30分〜


「トラックドライバーの労働時間等の改善基準」として厚生労働省労働基準局が定めたもの。運転開始後から4時間以内、または4時間経過直後に運転を中断して30分以上の休憩等を確保しなければならないという決まりというか縛りのようなものがある。つまり430とは、4時間走って30分休憩の略だ。これによってドライバーは輸送業務と厄介な板挟みになる。このほか、1日の業務での拘束時間は13時間が上限(延長は週に2日以内、最長16時間まで)などの決まりもある。


●我々ドライバーの勤務状況を把握し、健康を守るはずのデジタルタコグラフは、時に容赦ない音声指示でドライバーを苦しめる。4時間走って休憩せよと音声で言われたら、とりあえず従うしかない。また同機器には運転手自身で荷積み、荷卸し、休憩、待機を都度申告するボタンなどもあるが、忙しいと操作を忘れることもある

2)妙な(迷惑な)ところに停車、駐車するトラック


特に首都圏の幹線道や脇道など、「こんなところに駐車すんなよ」という場所によくトラックが止まっている。道の駅も、大型車駐車対応のコンビニもない都心は、渋滞がひどく、それでも荷の受け取り場所(ないし卸し場所)に向かわなくてはいけない場合が多い。そんなとき、前述の430運行のギリギリまで運転して時間アウトとなる場合があり、苦肉の策でトラックが駐車するとこうなる。幅に余裕のある側道脇、幹線道への合流路脇などが急場しのぎで利用される。

3)トラックの迷惑停車、もう一つの事情


繁華街、駅前からほど近いところの大型電気店、ディスカウントショップはお客様には便利かもしれない。だが、こうした繁華街の大型店には、まともな納品口がないことも多々ある(●●●カメラとか、●●ド●キーなどなど)。トラック1〜2台がギリギリ入れる搬入口が混雑する場合は、当然付近での電話呼び出し待機だ。トラックから離れることもできず、かと言ってあまり離れた場所での待機だとすぐに到着できない。だから嫌だなぁ、迷惑になってるよなぁと思いつつ、繁華街の路肩に停車するトラックは多い。小売店側の考えの浅い出店計画で、搬入のことをちゃんと考えていないと言う悪例は多々ある。

4)早着もダメ、遅着はもっとダメ


荷物の受け取り場所も荷卸し場所も、ほとんどの場合到着時間の指定がある。朝8時着の指示ならば、指定の30分前くらいに周辺に行き、積み地の様子を見ることが多い(時間前に入ってもよさそうかどうか)。つまりあまり早く着きすぎても、受入側の用意ができていなかったり前の積み車がいたりで迷惑かもしれない。そこで様子見の余裕がある時間に到着すると大体30分前くらいになるのだ。反対に指定時間を過ぎてしまうとどうなるのか。これは早着よりも印象が悪い。常習化すると出入り禁止になるかもしれない。そんなわけで、特に積み地の周辺では待機の路上待ちトラックが多い場合がある。

5)荷積み・荷卸しはトラックドライバー任せ


そもそも運送ドライバーは、荷物を積み安全かつ時間通りに荷を届けるのが仕事。運送代もその料金で計算されているはずだが、荷受け場所でも、荷卸し場所でも、荷物を積む業務が丸ごとドライバーに任せられることが多い。そしてパレット積みでなく荷物が、何百箱とバラで積まされる場合が多々ある。その場合は荷積み、荷卸しだけでそれぞれ1〜2時間を要して運転に支障が出るほど体力を消耗する場合も多く、こうした事態が高齢化が進む運送業界の問題点ともなっている。また、荷役はあくまでサービス。適正な料金が払われることはない。

6)なるべく下道(一般道)で移動


案件にもよるが、首都圏を移動する輸送では高速道路料金を依頼先が負担する場合は意外と少ない。輸送運賃の他に高速料金の請求も可能な場合もあるが、多くの場合「輸送運賃の中に高速料金が含まれる」条件だ。要は使う場合は運賃から削って使ってくださいというわけ。だから、その場合行ける範囲は倍の時間がかかっても一般道で行く。これもドライバーの勤務時間が長くなる原因になる。勤務先はこの勤務時間超過を嫌い「高速を使って移動せよ」と指示することもあるが、かと言って会社が高速代を負担してくれるわけではない。結局は自分の取り分(稼ぎ)も減ることを意味する。

これ以外にもまだまだあるが、とりあえず今回はトラックドライバーにとって時に悩ましい、業界の基本常識をピックアップしてみました。

〈文=坂 和浩〉

ドライバーWeb編集部

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