2020/08/27 新車

ホンダeは、なぜ駆動方式にRRを選んだのか?

●ホンダe。価格は451万円〜

街なかベスト、小回り性能重視



ホンダeのダイナミック・パフォーマンスのテーマは、使いやすさ、高性能、高質感だ。街なかベストとしてこだわったのは、小回りのしやすさ。それを実現するために、FFだった当初の駆動方式をリヤアクスルの後ろにモーターを積むRRに変更したのだから、こだわり度合いはハンパではない。なぜかといえば、FFにするとフロントオーバーハングが長くなり、ドライブシャフトの等速ジョイントの制約でタイヤの切れ角が大きくできないからだ。


●ホンダeのカットモデル。プラットフォームはスモールEV専用に新開発。フレームをストレート構造とし、オーバーハングが短くても衝突時の安全性を確保


●フロントにドライブシャフトがなくフレームに逃げが設けられているので、タイヤの切れ角は最大で約50度と大きく小回りが利く

RRとすることで、フロントオーバーハングが短く、スペースの余裕により大きなホイールハウスが確保でき、等速ジョイントが必要ないのでタイヤの切れ角を最大限に得ることが可能に。その結果、最小回転半径は4.3と軽自動車のN-ONE(現在は販売終了)よりも小さく、片側1車線の道でUターンができるという。


●モーターやPCU(パワーコントロールユニット)はリヤに搭載されるが、フロントまわりは補機類でギッシリ


●リヤアクスルの後ろに最高出力154馬力、最大トルク32.1kgmを発揮する駆動モーターを搭載。PCUは横置きされ高さを大幅に低減


そればかりか、モーターはアコードのe:HEV用と同仕様で、最大トルクが3Lガソリンエンジンに匹敵する32.1kgmに到達。したがって、そもそもホンダeのボディサイズを前提にすればRRのほうが駆動効率が高くなるわけだ。

4輪独立式サスペンション…走りもかなり楽しそうだ!



しかも、リチウムイオンバッテリーを床下に搭載するので低重心化が実現できる。なおかつ、前後重量配分は50:50だ。フロントのオーバーハングに重量物がないため慣性モーメントの低減も可能。つまり、基本性能の段階で、ダイナミックパフォーマンスを際立たせる要件が高次元で満たされているのだ。


●パナソニック製リチウムイオンバッテリーを含むIPUは強固なケース収められ、フロアのフレームと結合して衝突時の安全性を確保

開発陣は、なんと「だったら楽しく行こうぜ」と勢いがついたそうだ。スモールカーならリヤサスペンションは半独立式のトーションビームが常識だが、あえてストラットを採用してフロントを含めて4輪独立式としている。荷物スペースにサスペンションタワーが張り出すので、積載容量が犠牲になるにもかかわらずだ。


●後席背もたれは一体式。サスペンションタワーの張り出しが大きく、荷物スペースの容量は欧州仕様を日本式にならすと170Lと少なめ

さらに、EVとしての航続距離を延ばすために走行抵抗を低減するエコタイヤを履くのが約束事。ところが、ホンダeアドバンスはグリップ性能も重視した、かなりワイドなミシュラン パイロットスポーツ4を装着するほどだ。


●上級仕様のアドバンスは、ミシュラン パイロットスポーツ4を装着(17インチ)


●ベースグレードはヨコハマのブルーアースAを装着。こちらは16インチだ

街なかベストと言いながら、走りの楽しさにこだわる。なんだか矛盾しているようだが、かつての「ホンダらしさ」を取り戻したと確信できる開発ストーリーではないか!


●フロント、リヤともに黒い縁取りに丸いライト。全体から愛らしさが漂う
〈文=萩原秀輝〉

ドライバーWeb編集部