2020/08/24 コラム

自転車違反、兵庫県は全国の約半数!新型コロナで増えた自転車違反、警察はどんな違反を取り締まっている?

新型コロナの影響で自転車”違反”がブームに?


新型コロナウイルス感染症の影響で自転車がブームだという。満員電車を嫌って自転車通勤に。今までクルマで行っていた買い物へ、運動不足の解消も兼ねて自転車で。そんな人が増えているらしい。東京ではウーバー・イーツ(いわば新型出前)の自転車をやたら見かけるようになった。通行量が増えれば必然的に事故も増える。6月5日、日本テレビが「利用者急増で自転車の一斉取り締まり」(https://www.news24.jp/articles/2020/06/05/07656595.html)と報じた。


●2020年6月5日付け日テレNEWS24のキャプチャー画像

「緊急事態宣言中に都内で発生した交通事故のうち、およそ4割が自転車に関連していて、4月には、配達員の男性が車にはねられ…」とある。7月29日には産経新聞が「【コロナ禍を生きる】脱3密通勤 自転車快走 交通違反も増加」(https://www.sankei.com/affairs/news/200729/afr2007290036-n1.html)と報じた。

自転車の取り締まり件数は、昔は年間だいたい数十件から3桁の前半だった。1996年なんか全国でたった10件だった。ところが近年ぐんぐん増えている。2015年になんと1万件を突破。2018年は1万7568件。2019年は2万2859件に。すごい増え方だ。2020年は3万件に近づくかもしれない。いったいどんな取り締まりが行われているのか、私の手元に2019年の都道府県別、違反別の自転車取り締まりのデータがある。以下だ。

違反数は兵庫県が圧倒的




●このデータは、固定式、可搬式オービスの整備数、取り締まり件数などと同様、警察庁は「発表」していない。こんなデータがあるはずだと予想し、情報公開法に基づいて手続きを踏み、手数料を払ってゲットしたものだ

毎年そうだが、都道府県別の件数は偏りが大きい。24道県が0件または1桁、13県が2桁なのに対し、上位はこうだ。

1位 兵庫県   1万1012件 
2位 大阪府    3872件
3位 東京都    1793件

すんごい偏りでしょ。なんと兵庫県は全国の総数(2万2859件)の約半分を占めている。尋常じゃない。兵庫県の違反別のトップは「信号無視」で6862件(全国合計は1万2472件)。2位は「しゃ断踏切立入」で2649件(同5931件)となっている。3位は「運転者の遵守事項違反」だ。具体的には“ながらスマホ運転”かと思われる。2017年はたった21件(同239件)だったのに、2018年は229件(同685件)、19年は592件(同1024件)へと大変な勢いで増えている。ながらスマホの重大事故が社会的な問題になったせいだろう。

しみじみ興味深いのは「酒酔い運転」だ。自転車は、酒気帯び運転(酔っていなくても呼気中のアルコールが0.15mg以上)については罰則が適用されない。取り締まりの対象ではない。けれど酒酔い運転は自転車もアウトだ。「酒酔い運転」の全国合計は109件。うち76件を埼玉県が独占している。東京で働いて酒を飲み、電車で埼玉県内の最寄り駅へ。駅前でまた飲んで自転車で自宅へ。そこを狙われたりして。じつは私も、大酒を飲んで自転車でヤバイ経験をしたことがある。大酒は控えましょう。

おや? となるのは少年(20歳未満)の取り締まり件数だ。全違反の全国合計は前出のとおり2万2859件。そのうち約1割、2203件が少年となっている。ところが静岡県は、460件の半分以上、242件が少年なのだ。静岡の違反別のトップは「指定場所一時不停止」で258件。うち少年が158件を占める。静岡には、少年が無視したくなるような一時停止場所が多いのだろうか。

以上は自転車違反の取り締まり件数だ。

警察庁所管の公益法人「違反Pay」が誕生する?


「自転車に対する指導警告票交付件数」というデータも私は毎年ゲットしている。こっちのピークは2012年でなんと248万5497件。その後、取り締まりのほうに力を入れたのか指導警告はどんどん減り、2019年は135万5714件となった。


●自転車に対する指導警告票交付数(2019年中)


●こちらは警視庁に開示請求した。「指導」(写真左)はいわば簡単な注意であり、「警告」(写真右)はもっと危険な違反に対して行うことが分かる。現場の警察官は「(控)」を持ち帰り、実績に数えられるのだ

2019年の自転車に対する指導警告が135万5714件というのは、自転車に対する取り締まりの約6倍だ。同年のクルマ、バイクに対する速度違反の取り締まり(約114万件)より多い。もちろん、危険で迷惑な自転車の違反はある。でもさ、クルマやバイクのほうが事故った場合の加害はずっと大きい。特に速度の高さは加害を甚大にする。取り締まり件数と指導警告件数は単純には並べられないとはいえ、限られた警察力を、指導警告ですませていいような自転車違反にそんなにも使っていいのか? いや、これは、新たな制度へ向けての予行演習だろうと私は見る。

自転車の違反に反則金の制度は適用されない。取り締まれば検察へ送致(いわゆる書類送検)することになる。検察はほぼすべて不起訴にする。たまに略式起訴をすると「当県で初めて自転車の○○違反が罰金刑に」とニュースネタになる。そういうのはもうヤメようと警察庁は考えてるんじゃないかな。自転車の違反にも反則金制度を適用する? そうじゃない。

すべての自転車をたとえばQRコードで登録、管理し、警察官または民間委託された“自転車監視員”が違反を現認、携帯端末でQRコードを読み取り、自転車の持ち主からさくっと“自転車違反金”を徴収するのだ。小中学生の違反は、自転車を買い与えて安全教育をしなかった親から違反金を徴収する。何より巨大な市場(=利権)が生まれる。警察庁所管の公益法人「違反Pay」が誕生したり、素晴らしいでしょ。そこへ向けての予行演習をやってるんじゃないか、私はそう見るわけ。今、コロナ禍で自転車利用が増え、自転車事故が増えている。新制度を持ち出すチャンスだ!

可搬式オービス(ネットで移動式、移動オービスといわれてるやつ)での速度取り締まりも、いちいち違反者を呼び出して調書を作成して取り締まるんじゃなく、違反車両の持ち主から“速度違反金”を徴収することになるはず。取り調べとか省き、納付命令書の郵送と違反金の振り込みで処理を終える。その制度を始めるには、「新型コロナの感染リスクを避けることができます」と言える今がチャンスだ!

コロナ後に世界は変わるとか言われる。日本では交通取り締まりが、がっちり変わるかも!

〈文=今井亮一〉

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