2020/07/07 コラム

高速道路上でも神出鬼没!? 新たなオービス「半固定式」の存在が明らかになった

■新種のオービスの存在

びっくりスクープ文書をゲットした!  きっかけは、あるマニア氏からの情報だった。「平成31年度行政事業レビューシート(警察庁)」という文書に「事業名 速度違反自動取締装置」とあり、小さく「都市高速上に半固定式の装置を更新整備することによる警察装備費の増」と記載されていた。

半固定式? 半分固定する? なんだそれ! その装置のことがわかる文書を、私は情報公開法により警察庁に開示請求してみた。いったいどんなものが出てくるのか。わくわく待った。2週間ほどで、以下のような「行政文書開示決定通知書」が郵送されてきた。


●行政文書開示決定通知書。同封の「行政文書の開示の実施方法等申出書」に必要事項を記入して提出し、開示を受けることになる。ちなみに本件の手数料は300円

「新たな中央処理装置付速度違反自動取締装置(半固定式オービス)の導入(高速)」とある。「半固定式オービス」なんて初めて聞く。私は大興奮した。

「いやいや、半固定式って前からあるでしょ。聞いたような気がする」という方もおいでかもしれない。なるほど、オービスの呼び方をネットで検索すると、すでに「半固定式」はある。だがそれは「半可搬式」の別の呼び方としてだ。オービスについては、ほかに「移動式」「移動」「無人移動」「固定式」「新固定型」「仮固定式」「可搬型」「可搬式」「半可搬式」などさまざまな呼び方が飛び交っている。

これまで私がゲットしてきた大量の警察文書等から整理すると、従来のオービスは、道端や道路上に頑丈に固定された固定式(自動速度取締機、略して自速機)と、ワンボック車に積んだ車載式(移動式とも呼ばれた。現在はない)だけだ。そして2013年6月、警察庁は「新たな速度違反自動取締装置」の導入へと動きだした。装置的にも運用的にも「新たな」であり私は「新型オービス」と呼んでいる。新型オービスは可搬式半可搬式固定式の3種類が発表されたが、目玉は可搬式と思われる。それら以外は、ネットで独自に飛び交っている呼び方といえる。


●新型オービス3種。可搬式の右側が東京航空計器のLSM-300。固定式はSensys Gatso GroupのMSSS

半固定式オービスは全く新しい。初めて登場する名称だ。いったい何なのか! 私は警察庁へ行き、開示を受けた。文書は以下の1枚のみだった。

■半固定式は5分で載せ替え可能


●今回開示された「新たな中央処理装置付速度違反自動取締装置(半固定式オービス)の導入(高速)」と題する1枚ものの文書

「新機器の概要」としてこうある。

・一般道で導入されているスキャンレーザー式オービスを高速道路で使用できるように改良したもの。
・オービス構成機器のうち、電源部、回線部のみを路肩等に固定し、計測部、撮影部等の端末を簡易に設置、取り外し可能な半固定式。
・固定部分(電源部等の拠点)を増設することにより、他の地点に容易に展開が可能。
・機器の重量が軽いため、大規模な固定用支柱の設置が不要。

「主な仕様(開発中)」として掲げられている「寸法」は、縦横高さとも東京航空計器の可搬式オービス、LSM-300の本体部とぴたり一致する。「スキャンレーザー式」はLSM-300の測定方法だ。さらに、「運用方法(例)」にある「撮影部」の画像はずばりLSM-300の本体部だ。

つまり! 道路のあちこちに、警察庁舎内の「中央処理装置」とつながった「固定部分」を多数設置して「拠点」とし、LSM-300の本体部を「約5分以内」で載せ替え、神出鬼没に取り締まろうというのだ。確かにそれは面白いアイデアだ。

ネットでは新型の固定式も含めて「移動式オービス」「移動オービス」と呼ばれる。そのため、固定式は本体部をひょいひょい載せ替えて移動するのだという驚きの誤解もあった。そんな誤解情報を警察庁の東大法学部卒の若いキャリア官僚氏がネットで見て、半固定式オービスを思い付いたのか? とすればネット情報、おそるべし。

■半固定式にMSSSが採用されたら…

しかし…。「可搬式オービス「LSM-300」が使い物にならない実態が明らかに!2019年の全国取り締まり件数が少なすぎる?」で述べたように、LSM-300はどうも使い物にならないようだ。今年に入り、警察庁はLSM-300にハッキリと見切りをつけたように思われる。現時点では、半固定式については開示された文書が1枚あるのみ、契約書等はまだなという。半固定式は不発に終わるのではないか。

とはいえ速度違反の常習者諸氏よ、安心はできませんぞ。新型オービス3種のうち固定式(世界的企業Sensys Gatso GroupのMSSS)は半固定式に向きそうだ。MSSSの脅威の優秀性は、さいたま地裁での否認裁判でばっちり立証されている。もしもMSSSが半固定式に転用されたら、脅威となるだろう。首都高速のルーレット族は姿を消すかもしれない。どうなっていくのか、今後もマニアックに見張っていこう。

〈文=今井亮一〉

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