2020/07/03 新車

空力で走りはホントに変わる? 新旧フリード モデューロXを徹底比較!!

ホンダの純正コンプリートカー、フリード モデューロX。2019年10月のマイナーチェンジに合わせ、モデューロXも顔がチェンジ。って、変わったのは顔だけじゃない。走りの質も、グンとアップしたのだ!

モデューロXのココが進化した!
・直進安定性が格段にアップ
・旋回性が向上
・1つ上の乗り心地へ


エアロ効果はふだん走りでも


ホンダの純正アクセサリーを企画、および生産を行うホンダアクセスが手がける「モデューロX」。ベースモデルに対して内外装のデザインが見直され、走りの性能についても熟練のエンジニアが感覚にこだわってチューニングを実施。運転を楽しめるクルマであると同時にパッセンジャーが快適に過ごせる乗り味を追求したコンプリートモデルである。

そんなホンダアクセスの最新作が「フリード モデューロX」だ。フリードと言えば2019年末にマイナーチェンジが行われており、従来型にもモデューロXが設定されていた。その出来栄えも侮れないものだが、2020年5月に登場した新型は持ち前の“上質でスポーティな走り”をさらに深化させたという。いったいどこがどんなふうに新しくなったのか? 今回は新旧フリード モデューロXを持ち出して両車を比べてみることにした。





エクステリアはマイナーチェンジに伴ったフロントマスクの一新と専用バンパーの装着などにより、イメージがかなり変わった。従来型も相変わらずスポーティな印象を受けるが、“X”をモチーフとしたフロントエアロバンパーを装着した新型は一段とインパクトのある仕上がり。

単なるデザインだけではなく、バンパーに設定され「実効空力デバイス」と名付けられた3つのフィンが空力性能に貢献。日常使う領域でも空力効果が得られ、直進性やコーナリング時の安定感、さらに乗り心地を向上させたという。ホンダアクセスでは“実効空力”と呼んでいるが、果たして体感できるのだろうか?


新旧の明確な違い


まずは高速道路から。従来型のモデューロXに試乗してみる。従来型モデューロXにもボディ下部にエアロガイドフィンを、さらにディフューザー形状のリヤロアスカートを採用する。さらに専用サスペンションの効果もあって、高速クルーズでは安定感のある走りが確かめられるのだ。標準モデルと比べれば、これでも十分な性能だと思う。

途中のサービスエリアで新型に乗り替えてみた。本線への合流後は100km/hを保ったクルージングで走行。高速ではフロントバンパー中央下面に設置された「エアロスロープ」が威力を発揮するという。車体下中央に速い空気の流れを作り、これが風のレールとなってリフトバランスを最適化。従来型モデューロXよりもステアリングの据わりがよく、専用のアルミホイールとサスペンションも含めて直進安定性を一段と向上させている。




ワインディングではフロントバンパー両サイドに設置された「エアロフィン」、フロントバンパー下面左右に設置された「エアロボトムフィン」が旋回性能に貢献。これらはボディ側面の風の流れを整えることでクルマの動きを安定化させる。従来型でもコーナリング能力についてはミニバンらしからぬ実力を発揮するが、新型は四輪の接地性が向上、さらによく曲がる印象を受ける。

しっかりと走るクルマの場合、乗り心地がある程度犠牲になるのは仕方のないことと思いがち。スポーティモデルならば妥協はできても、家族を乗せるミニバンとなると快適性は無視できない。従来型モデューロXでもゴツゴツとした感触は比較的抑えられてフラットな乗り味が得られた。しかし、同じシーンで乗り替えると、新型は路面からの突き上げがよりマイルドに感じられる。操縦性を向上させながらしなやかな足まわりも手に入れているのだ。


価値に見合う出来栄え


インテリアはシート表皮の素材を一新。新型はシートメイン部の素材をファブリックからスウェード調に変更することでホールド性を向上。カラーもブラウン系からブラックとしたことで、スポーティさや上質感が高められている。

標準モデルに対してはステアリングが専用本革巻きとなり、加飾パネルもピアノブラック調が装着される。フロアカーペットもアルミ製エンブレムの付いた専用品だ。シートアレンジや荷室スペースはベースモデルと変わらず、セカンドシートはキャプテンもしくはベンチシートで選択可能。使い勝手のよさ、実用性の高さはベースモデルと何ら変わらず、優れた経済性もそのままだ。

今回試乗したのはガソリン車だったが、モデューロXはハイブリッドにも設定されている。先進安全装備のホンダセンシングは標準で価格はガソリン車で300万円を下まわる。普段はファミリーユースとして活用し、1人で乗る際には小気味よい走りが楽しめる。乗れば納得、まさにファインチューンと言える出来栄えなのだ。





●タイヤは標準仕様と同じ185/65R15・88S。エコタイヤにもかかわらず、ワインディングでも安定感のある走りを見せる。組み合わされるアルミホイールはモデューロX専用


3つのエアロフィン、「実効空力デバイス」が決め手だ!


エアロフィン

旋回力がアップ!
フロントバンパーサイドのフィンがホイールハウス内の乱気流も抑えて旋回姿勢へスムーズに移行。挙動の安定化にも貢献


エアロスロープ

安定感バツグン
フロントバンパー下のエアロスロープが車体下中央に速い空気の流れを作り、リフトバランスを最適化。安定した走りをもたらす


エアロボトムフィン

乗り心地もGOOD!
バンパー下左右の風の流れをスムーズに通すことでホイールハウス内の内圧を低減。サスの動きをよくし、乗り心地を向上させる


実効空力って何?




空力の効果を体感できるのは高速走行などの速い流れだけと思われがち。しかし、ホンダアクセスは日常使う速度域で得られる空力効果に着目、それを「実効空力」と呼んできた。フリードモデューロXでは3つのフィンが走行性能のレベルアップに貢献している。


見た目はどこが変わった?


Xを強調したフェイス


●従来型も精かんなマスクだが、Xをモチーフとした新型はよりインパクトある仕上がり


よりシックになったインパネ


●デザイン的に大きな違いはないものの、新型は全体がブラックで統一される

ズレを減らしたシート


●メイン素材をファブリックからスウェード調に変更。滑りにくく、ホールド性もアップ

フリード モデューロXの詳しい情報はこちら


モデューロXブランドサイトはこちら



〈文=一条 孝 写真=佐藤正巳〉

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