2020/04/23 Q&A

三菱ミラージュは英国ミニを参考にしたクルマだった!?【車名の由来Vol.011】

数百の案から名前を選定
読み方にもこだわった

ギャランΣ(シグマ)のヒットに続き、三菱の商品主導のクルマ造りが最高潮に達したのがミラージュだ。一切の妥協をしないという久保富夫社長の指揮のもと、開発陣が一体となって進めたプロジェクトがミラージュだった。


1970年代になると低公害・安全対策、1973年には第一次オイルショックが襲う。省資源・省エネルギーが叫ばれるなか、さまざまな課題を満足させながら、乗る喜びを感じさせる魅力を備えた小さくて安いクルマを目指して企画がスタートした。開発陣はスエズ動乱による原油価格上昇という同じ境遇で生まれた英国のミニに着目。スペース効率に優れ、世界の小型車の主流になりつつあったFF方式の2ボックスタイプのパッケージングを採用した。世界戦略車として提携先のクライスラーの小型車「オムニ」、「ホライゾン」とバッティングを避けるため、当初よりやや小型のサイズになったという。


●空力性能向上のために凹凸を減らし平滑で美しい面構成とした。ピラー(柱)を細くして窓の面積を拡大することで明るい印象に仕上がっている。1978年9月には4ドア車を追加発売した

1974年春から始まったプロジェクトは、“絶対に他社の真似をしないこと”をモットーに取り組み、走りと経済性に優れた副変速機を備えたスーパーシフト、プレスドアの採用によるスタイリッシュなデザインなど、さまざまな極限を追求したという。

1.2L、1.4Lの新型コンパクトカーの登場に合わせ、新しい販売チャンネル「カープラザ」を展開するなど意欲的だった。そしてやはり車名にも特にこだわった。その決定に際して、数百にものぼる候補名のなかから、イメージテストや記憶テストなどを実施したうえで決定された。

ミラージュとは、フランス語で「神秘」、「ロマンチックさ」、「蜃気楼」などを意味する言葉。「鏡などに映して見る」という意味のフランス語mirerからの派生語で、英語のmirror「鏡」とも語源が共通している。三菱の資料では、車名の由来について『ミラージュ(MIRAGE) フランス語で「神秘さ」、「ロマンチックさ」などを表す言葉で、乗るたびに新しい良さが発見できる神秘的な車。また、ロマンを求めて、どこまでも静かに逞しく走り続ける車…などのイメージから命名されました』と説明している。


●ミラージュ発売時には68ページのポイントブックを作成。車名にちなんで、アメリカ・ロサンゼルスからクルマで約2時間半のエル・ミラージュ湖で撮影

フランス空軍が誇る有名な主力戦闘機にも同名のもの(1959年ミラージュ系列戦闘爆撃機)があり、新型車がそのスタイルに似ているため名付けられたというウワサも聞かれる。今岡和彦著『ミラージュ物語』(日本リクルートセンター出版部)によると車名決定は1977年6月とのことで、その時点ではデザインはすでに終了している。むしろ『平和な生活の道具である車に戦闘機のイメージがオーバーラップされるのはどんなものか』(前出書)という不安があったという。

ちなみに、ミラージュという商標は 1963年に「MIRAGE」と「ミラージ」の2つを同時に出願。車名決定後の1977年7月にカタカナ表記の「ミラージュ」を出願している。親しみやすく発音もしやすい名前として語尾をアレンジしたのであろう。


●2012年8月にミラージュの車名が(ディンゴの生産中止から)約10年ぶりに復活。コンパクトハッチバックとしてのイメージが合致したためだった。緑と黄色は初代ミラージュがモチーフだ

https://driver-web.jp/articles/detail/31757/

〈吉川雅幸著『車名博物館PART1』(八重洲出版)より〉

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