2020/04/20 新車

最速はどれだ? フィット vs ヤリス vs ノート全開加速テスト

速さも“王者”の
ノートe-POWERに立ち向かう

2017年から3年連続でコンパクトカー(2018年は総合順位)のベストセラーに輝いた日産ノートe-POWERは、driver誌のフルテストで0→400m加速16.97秒をマーク。本格ホットハッチのスズキ  スイフト スポーツ(1.4Lターボ)を除けば、日系Bセグメントでトップレベルの駿足の持ち主でもある。


●driver誌でのテストではBセグメント最速クラスとなるタイムを叩き出しているノートe-POWER

王座奪還に燃えるフィットは、ノートと同じく基本的にシリーズ方式のe:HEV(イーエイチイーブイ)を新搭載。モータースペックも最高出力は109馬力でまったく同じ、25.8kgmの最大トルクもわずか0.1kgmの違いだ。


フィットe:HEV

●ヤリスHV

車重はフィットが若干軽い。かたやヤリスも、THSⅡ(トヨタハイブリッドシステム2)が新世代に進化。世界最高レベルの低燃費達成だけでなく、システム最高出力も従来の100馬力から116馬力に強化された。しかも、車重はフィットよりさらに100㎏も軽量だ。ガソリン車にしても、フィットはベーシックな1.3Lのみとなったが、ヤリスはこれも120馬力にパワーアップされた新型1.5Lを主力に据える。

400m“まで”はノートが最速


●今回はdriver6月号(4月20日発売)から一部テストデータを抜粋してお届けしている

フィットとヤリスの速さはどれくらいなのか!? そこでノートもあらためて連れ出し、JARI(日本自動車研究所)でフルテストを実施した。結果はdriver誌2020年6月号(4月20日発売)に詳しいが、ここに紹介する発進加速テストだけでも興味深いデータが示された。

0→400mの最速は、またもやノート。今回のテストでは17秒は切れなかったが、ニューカマーの2台を見事返り討ちにした。しかし、さらに先の高速域ではノートが頭打ち気味になり、形勢が逆転。ゴールの1000m地点でトップをさらったのは、後半の追い上げでHVをかわしたヤリスのガソリン車だ。

この発進加速データから1秒ごとの加速G、つまり瞬間加速度を算出しグラフにしたのが、この加速度曲線(下記参照)。こうして比較・検証すると、各車の加速特性やパワートレーンの特徴がさらによくわかる。0→40㎞/hは1位がフィットHVで2.65秒、2位はヤリスHVの2.75秒、3位がノートで2.85秒の順。だが、発進直後にはこの数値に表れないドラマが隠されていた。


●加速度曲線のグラフはこちら。このデータからいろいろなことがわかってきた

発進後1秒でまず飛び出したのは、フィットe:HEVだ。それに続いたのはガソリンのヤリス1.5で、内蔵の発進用ギヤによって出足の鈍さを改善したダイレクトシフトCVTの効果が表れている。3番手はヤリスHVとノートが横並び。その後1秒でフィットe:HEVが今回のテストで最大となる約0.45Gに達し、ヤリスHVもその最大値近く一気に加速度を高める。ヤリス1.5は逆にいったん下降。

HVの3台はいずれもその発進後2秒がピークで、そこから下降に転じる。ノートで特徴的なのは、加速Gの最大値は2台に及ばないものの、その後の下降線が緩やかな点だ。Gは発進後4秒で5台中もっとも高くなり、それを6秒までキープする。到達速度タイムを見ても0→60㎞/hは4.39秒で、フィットe:HEV(4.44秒)、ヤリスHV(4.46秒)を抜きトップに立つと、0→80㎞/hではそれぞれ6.59秒、6.94秒、6.85秒と差を広げはじめている。発進からライバル車より息の長い加速力が0→400mを制した秘密だ。

400m通過後は加速の
伸びがなくなるノート

日産がEV開発で培った、「1万分の1秒単位」を謳う緻密なトルク制御の威力か!? 実際、モータードライブの力強く滑らかな加速感は、フィットe:HEVよりも日産リーフなどのピュアEVに近い。しかし、加速Gは400m通過から約3秒の発進後20秒で5台中もっとも低くなり、28秒からはほぼゼロになる。あらためて欧州より実用車速域が低い日本最適を狙ったパワートレーンと言えるだろう。


発進直後に加速Gがいったん下降し、2~3秒から再び上昇に転じるのは、ヤリス1.5とフィット1.3に共通するガソリン車の特性。ヤリス1.5が発進後4秒過ぎで下降に転じるのは、約60㎞/hで発進ギヤからCVTに切り換わるポイント。7秒からは5台中もっと高い加速Gをキープし続け、前半の後れを取り戻す。0→120㎞/hではヤリスとフィットのHV勢をかわし、2位に浮上。フィット1.3もスタートダッシュを左右するトルクの違いはあるものの、パワーバンドが生きる終盤にはヤリス1.5と同等の加速Gを維持している。

フィットe:HEVとヤリスHVが120㎞/h以上の高速域でもガソリン並みを維持する加速性能には、海外戦略も大きく関係している。欧州市場は2020年からCAFE規制(企業別平均燃費)が厳格化され、フィット(現地名ジャズ)は今やe:HEVの設定のみ。ヤリスもHVが主力なのだ。年内デビューともウワサされる次期ノートe-POWERは、果たしてどのような進化を遂げるのだろうか。

〈文=戸田治宏〉

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