2020/04/13 Q&A

V字型に意味はある? オールシーズンタイヤのトレッドパターン。じつは……

なぜ、オールシーズンタイヤはVシェイプなのか? 日常的に使えて突然の降雪でも走行でき、年間を通してはき続けられることで人気が高まっているオールシーズンタイヤ。オールマイティな性能は魅力的だが、今回注目するのはブロックパターンだ。夏用や冬用タイヤと、特別な違いはあるのだろうか?




「V」は性能よりもイメージ戦略!?

オールシーズンタイヤのパイオニアであるグッドイヤーのベクターの印象が強いのか、オールシーズンタイヤのトレッドデザインは、他メーカーを含めてV字型のブロック配列、いわゆるVシェイプを採用するモデルが多い。特に乗用車用では現在のトレンドとなっている。

あるタイヤメーカーのプロダクトマネージャーに聞いたところ、ヨーロッパでも乗用車用オールシーズンはVシェイプのほうが人気が高いという。このメーカーは過去にスタッドレスタイヤに似たトレッドパターンのオールシーズンタイヤを発売したことがあるが、売れ行きはいま一歩だったという。そこでパターンデザインをVシェイプとしたモデルを発売すると一気に人気が高まったという。

ドライやウエット路面を軸とする性能を持たせた夏用タイヤと、積雪時に走行可能な冬用タイヤの性能を併せ持った全天候型タイヤであることアピールすることを目的として、特徴的なVシェイプのトレッドパターンが与えられた。オールシーズンタイヤにはユーザーへの説得材料が求められていたのだ。これはスポーツ走行を楽しむ人に向けたハイパフォーマンスタイヤとも似ている。タイヤの“顔”であるトレッドで“走りを予感”させるわけだ。


●グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズハイブリッド」

もちろんVシェイプのドレッドパターンは単なるイメージだけではない。メリットを、オールシーズンタイヤをいち早く日本に導入したグッドイヤーの担当者によると、V字を構成するグルーブによって高い排水性が得られるという。同社のベクター4シーズンズハイブリッドの場合はストレートグルーブがないが、太いラグパターンに近いデザインによってサイドに排水することでウエット性能を高めているわけだ。

バックに弱いってホント?

V字型のパターンを採用するオールシーズンタイヤはタイヤの装着方向を指定している。降雪時の圧雪路でも走行も可能だから、前進時のグリップ力は得られるが、バック(後退)時のグリップが悪いと思っている人もいるようだ。じつのところ前後方向のグリップ力は変わらない。実際に圧雪の坂道をバックで走行したことがあるが、グリップ力は進行方向と変わらずスリップすることはなかった。


●「ベクター4シーズンズハイブリッド」は、欧州市場向けに開発されたものでV字型のパターンが特徴

お国事情が生む需要の違い

グッドイヤーの担当者に聞いた話で興味深かったのが、欧州と北米のユーザーニーズの違いだ。欧州は降雪地域が多く、特にアルプス地方などでは高低差が激しいためオールシーズンタイヤでもスタッドレスタイヤに近いスペックが要求されるという。また、ドイツでは冬季は冬用タイヤの装着が義務化されているため、スノーフレークマークが付いたタイヤが必要となる。


●北米向けに開発された「アシュアランス オールレディー」

●「アシュアランス オールレディー」は細かなサイプが刻まれるも夏用タイヤに近いブロックパターンを採用

これに対して北米のユーザーは多少の雪でも走ることができれば気にしないようなのだ。これは新車時に装着されている純正タイヤの影響が大きいようで、北米では約90%がオールシーズンタイヤを装着。リプレイス用の市場構成比もほぼ同じだという。これはオールシーズンタイヤのほうがサマータイヤより一般的という、北米市場ならではの事情があるからだ。

〈文=丸山 誠 写真=山内潤也〉

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