2020/04/13 新車

やんちゃな雰囲気が薄れた!? 新型ハリアー出現【2020年6月全チャンネル発売】

今も国産高級SUVの代表格として君臨するハリアー。4代目となる新型の発売は6月。正式デビューを前に、スペック含めて詳細が判明した!



全販社を納得させる仕上がり

新型コロナウイルス感染拡大により、自動車業界も工場の休止など大きな影響を受けている。そんな暗いニュースばかりの昨今、「おお!」と声を上げたくなる新車情報が飛び込んできた。そう、新型ハリアーだ。

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今回の情報は、トヨタが4月13日にリリース。「6月ごろに新型ハリアーを発売する」という内容で、外観や内装のみならず、おもな装備に加えてスペックのほとんどを公開。不明なのは価格とモード燃費ぐらい。異例と言えるほど情報が豊富なのだ。

新型と先代、そしてRAV4との諸元比較はこちら


その理由として、5月のトヨタ販社チャンネル統合が深く関わっている。ハリアーはこれまでトヨペット店で販売されてきたが、5月以降は全販売店扱いとなる。そこで、これまでハリアーに触れてこなかったトヨペット店以外の販社に詳細な情報を早めに届けて、6月の発売までに準備してもらおうという狙いだ。チャンネル統合後の、最初のニューモデルがこの新型ハリアーとなる。


つまり、これはトヨタの気合の表れ。ハリアーには、高価なのに売れてしまう“ブランド力”がある。チャンネル統合には販社などからの反対も大きかったようだが、統合のメリットとしてハリアーのような利幅の大きいクルマを自分の店で販売できると、ある意味納得させるためのモデルでもあるからだ。

早速、新型の情報を見てみると、ハリアーらしい高級感はもちろん、新しい提案が盛り込まれている。しかも、プラットフォームをクルマとして完成度の高いRAV4と共有。売れない理由は見つからなそうだ。

ボディサイズは若干アップ


●1997年12月に登場した初代。都市型SUVの先駆けだ。3LV6と2.2L直4をラインアップ。後期型は直4が2.4Lへ。初代、2代目と海外ではレクサスRXとして大ヒット

●2003年2月に登場した2代目。新開発の3.5Lエンジンに加え、2005年には3.3LV6ハイブリッドを追加設定。トヨタ初の緊急自動ブレーキ搭載で安全性もアピール

●2013年11月にデビューした3代目。国内専用車としてダウンサイジング。2Lと2.5Lハイブリッドを設定した。後期型では2Lターボを追加。このエンジンは新型には継承されなかった

初代以来、都市型SUVとして新たなジャンルを切り開いてきたハリアー。今回の新型は、見て、乗って、走り出した瞬間に心に響く感性品質を重視。実用性や数値一辺倒ではない、人の心を優雅に満たしてくれる存在を目指したという。つまり、SUVというカテゴリーを超えて、人生を豊かにするパートナーになるという強い思いが込められている。


そんなメッセージが端的に表れているのが、やはりエクステリアデザインだ。一見すると、「先代よりもシンプル」と思わせるが、それはこれみよがしな演出に頼っていないからと思われる。フロントアッパーグリルから目力を増したヘッドライトへと流れるような連続性に違和感はなく、サイドビューも豊かさを表現しながらもシンプルに構成。それでいて存在感あるスタンスとし、絞り込まれたキャビンのおかげで、リヤショルダーの張り出しがたくましいプロポーションを作り出している。


●新型

サイドビューを先代と比較すると、新型の伸びやかさが際立つ。全長は15mm延長された4740mm、全高は30mm低い1660mm。ホイールベースも30mm長くなった。ちなみに全幅は20mm広い1855mm。最低地上高は先代よりも高い190mmとした。グラスエリアが薄くなり、クーペのようなフォルムを目指したデザインだ。


●先代

そういえば、トヨタ特有のガバっと開いたフロントグリルが目立たない。これは、公開された写真のカラーがブラックだからだろう。外板色は写真のプレシャスブラックパールがメインカラーで、ほかも彩度を抑えたカラーを用意。美しい陰影の変化を楽しめる設定だ。


●テールランプは先代と比較して細く、鋭く。ストップランプも横長で、夜間でも存在感を主張。またキャビンは絞り込まれ、ショルダーの張り出しがさらに強調された

●二重のL字型に発光するデイタイムランニングランプを採用。特徴的な見え方で個性をアピール

 

あのエンブレムがなくなった!

それよりも衝撃的だったのが、ハリアーの象徴でもあるフロントの「チュウヒ(鷹の一種)」エンブレムが消えてトヨタマークになっていること! ハリアーは「飛翔する」といった意味で、チュウヒのエンブレムを初代から使ってきたのだが…。


●先代のフロントエンブレム

●新型はフロントのエンブレムがトヨタマークに。ハイブリッドモデルは青いエンブレムとなる

どうやら新型は、世界展開を考えている模様。先代は、レクサスRXと切り離されて国内専売モデルとして誕生したが、新型はまたもや海を渡る。そのために、あえてチュウヒのエンブレムを捨てたのではないだろうか? ちなみに「ハリアー」は戦闘機の意味もあり使いにくいため、海外では別の名前を名乗る可能性も大だ。

とはいえ、エンブレム周りの縦桟グリルのデザインは新型でもしっかり継承。ハリアーらしさは忘れていない。全体的にはちょっとやんちゃな雰囲気は薄れ、高級感を増したともいえる。でも、ずっと見ているとさらにワルい感じにも見える…。購入する層が広がりそうな、絶妙な色気がほとばしっている。 

憎らしいほど、隙がない

先代の内装は全体をレザー調素材で覆い、滑らかさで高級感を主張するタイプだったが、新型はガラッと雰囲気を変えた。横基調のシンプルな造形で、たくましさも感じられる意匠…。ん? インパネの構成がRAV4に似ているではないか。



それもそのはず。新型はRAV4と基本骨格も共有する。とはいえしっかり差別化され、レザー調素材をふんだんかつ自然に配置。ハイライトは、馬の鞍をイメージした、幅広く堂々としたセンターコンソールだ。


●カップホルダーの底面とフロントドアスピーカーなど各所に共通のモチーフとしてバイアスボーダー柄を採用。トータルコーディネートは細部にまで至る

●インパネパネルやドアトリムはパイピングオーナメント+金属留め具加飾でさりげなく上質感を演出する

プラットフォームは、件のRAV4と同じTNGA思想で開発されたGA-K。重厚感としなやかさを併せ持つ乗り味を追求し、徹底的に走り込んでチューニングされている。


極微低速域でもスムーズなストロークを確保したダンパーを採用し、走り出した瞬間や高速走行時の車両挙動の収束性を向上。接地感豊かでフラットな乗り心地に期待が高まる。

パワートレーンは、2Lターボは廃止され最新の2Lガソリンと2.5Lハイブリッドの2種類に。いずれもFFと4WDが用意されるのはRAV4と同様だ。ハイブリッドにFFが設定されるのはハリアーとして初となる。

先進安全・快適装備は、トヨタ最新版。歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼間)を検知対象に加えたプリクラッシュセーフティ採用の「Toyota Safety Sense」を装備。駐車場など低速走行時のおける衝突緩和、被害軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]など安全・安心をサポートする装備も充実している。また電化製品が使えるAC100V/1500Wのアクセサリーコンセントもハイブリッド車に設定。センターディスプレイはTFTタッチの12.3インチ。ヤリスに備わる駐車支援以外は全部盛りといった感じだ。

正式デビューは6月。買い替え需要も高まっているうえ、全チャンネルでの販売も後押し。これはかなり売れそうだ。

価格を予想してみる


主力となるハイブリッドの価格を予想。先代は2.5Lハイブリッドが約384万円〜で、最上級は500万円超。新型の最上級も軽く500万円を超えてくるはずだが、RAV4譲りのFF・2.5Lハイブリッドが加わったのがポイント。ハイブリッドでも比較的安価になることは必至で、レザー調仕様のハイブリッドでも450万円程度になるだろう。全体としては10魔年程度の価格アップにとどめてくるはずである。

新型の凄い装備①
「調光可能なパノラマルーフ」


●シェードオープン(調光状態)

●シェードオープン(透過状態)

●シェードクローズド状態

パノラマルーフは、電動シェードの開け閉めに加え、調光機能によりシェードが開いている状態での調光・透過をタイムラグなしに切り替えられるスグレモノ。調光時には障子越しのような柔らかい光が差し込む。トヨタ初採用だ。

新型の凄い装備②
「前後方録画機能付きのデジタルインナーミラー」


車両後方カメラの映像をインナーミラー内に表示。切り替え操作でヘッドレストや荷物などで視界を遮らず後方確認できる先進のインナーミラーを装備。これ、しかも走行中の前後方映像をインナーミラー装着のSDカードに録画できてしまうのだ! もはや、ドラレコいらず?

〈文=driver@web編集部〉

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