2020/04/08 新車

新型アコード。乗ればよさがわかるが、ちょっと高い気も?

日常域ではほぼEV感覚

新型となったアコードはプラットフォームを一新。先代に対して全長を短く、全高を抑え、ホイールベースを延長した。低重心や安定感を印象づけるプロポーションへと進化を果たし、シビック セダンやインサイトにも通じるクーペルックとなった。



実車を目の当たりにすると、なかなかスポーティ。フロントマスクは好みの分かれるところだが、エッジの効いたサイドラインやなだらかに傾斜するリヤビューは、視覚的にも走りのよさを感じられる仕上がりだ。


国内仕様のパワーユニットは2Lのi-VTECエンジン+2モーターのハイブリッドシステム「e-HEV(イー エイチイーブイ)」のみ。従来型i-MMDの進化版で、IPU(※)は32%小型化されている。
※インテリジェントパワーユニット。リチウムイオンバッテリー(バッテリーセル72個搭載)と制御用ECUなどを一体化した電源ユニット


●エンジンはおもに発電に徹し、幅広い領域でモーター駆動。先代は「スポーツハイブリッドi-MMD」を名乗ったが、新型からフィットと同じく「e:HEV」に呼称変更。スムーズかつ高効率が売りで、経済性もクラストップレベルになった

このユニットはエンジンが発電、バッテリーに蓄えた電力でモーターによるEV走行を基本とする。ここまでは日産のシリーズハイブリッド「e-POWER」と同じだが、e-HEVにはエンジン直結クラッチをつないだエンジンドライブモード(おもに高速走行時)、もしくはハイブリッドドライブモードも設定される。


●中空構造のレゾネーター(消音装置)により路面の継ぎ目や粗い路面で発生する共鳴音を抑える「ノイズリデューシングアルミホイール」を採用。試乗車のタイヤは235/45R18サイズのブリヂストン レグノGR-EL

となると、エンジン始動時のノイズや振動が気になるところ。しかしそれらは低く抑えられていて、走りはスムーズそのものだ。日常使用ではモーター走行の割合が高く、バッテリーにある程度の残量があれば、発進時にアクセルを深めに踏み込んでもモーターのみで力強く加速する。ふだん使いではEV感覚にごく近い走行フィールが得られるのだ。 

乗り味はスッキリ系

操縦安定性と乗り心地はどうか。アコード初採用の「アダプティブ・ダンパー・システム」は4輪それぞれの回転速度や車両挙動などを常時センシング。500分の1秒単位で最適な減衰力を算出し、ダンパー内のオイル流量をコントロールする。


スポーツモードを選ぶと路面のトレース性が高まり、さらにアクセル操作に対するパワーの出方が他のモードより機敏になる。エンジン音もよりスポーティな演出を、さらにパワステの設定もダイレクトさを重視した重めの設定に変わる。いずれのモードもステアフィールはスッキリ系で、ボディの大きさを感じさせない。


●スイッチ操作で「スポーツ」、「ノーマル」、「コンフォート」からドライブモードを選択可能。アダプティブ・ダンパー・システム、パワーユニット(HVシステム)、パワーステアリング、アジャイルハンドリングアシストなどを統合制御する

●ドライブモードでスポーツを選択するとメーター内の表示(パワートレーンやサスペンションのアニメーション)が赤に変わる

乗り心地は、コンフォートモードがしなやかで快適だ。235/45R18サイズとやや太めのタイヤを装着するものの、高速道路の継ぎ目や舗装の荒れた状況でも突き上げをうまくいなしてくれる。後席にも座ってチェックしてみたが、座り心地もよく、もしかすると助手席よりも居心地がいいかもしれない。

→セダンらしい使い勝手が進化した

居住空間・荷室ともに広い

居住空間の広さは申し分ないレベル。先代より全高を15㎜下げながら新型低重心プラットフォームの採用により、前席のヒップポイントも25㎜低下。スポーティなドライビングポジションと高効率パッケージングを両立させた。クーペ的なルーフラインにもかかわらず、後席ヘッドルームにも余裕がある。


●レザーインテリア(本革シート)が標準。内装性はブラックとアイボリーを用意

●前席は座り心地やペダル操作に配慮し、部位ごとに特性の異なるウレタンを採用。背もたれも先代より90mm高められ、サイズも大柄だ

●後席スペースも十分で、特に足元に余裕がある。先代より背もたれの角度を傾け、高さを50mm延長するなど着座姿勢の適正化が図られた。座面や背もたれのフィット感も良好で座り心地がいい。後席シートヒーターも標準

また、先代では後席とトランクルームの間に置かれたバッテリーを小型化するとともに、新型は制御用ECUと一体化した電源ユニット(IPU)として後席下に収めたことでトランクスルー機能が新設された。これによりトランク容量も573L(先代は424L)を確保。ハイブリッド車でありながら、セダンとしての実用性を犠牲にしてしない。


●ハイブリッドシステムのバッテリー(IPU)を後席座面下に設置し、サスペンションの張り出しを抑えたことでクラストップの大容量を確保。一体可倒式のトランクスルー機構付き。背もたれを起こした状態でも長尺物を収納可能なアームレストスルーも装備

カムリと比較してみると?

アコードの好敵手といえばカムリ。こちらも北米で大人気のミドルセダンで、2017年に登場した現行型はアコードと同じく10代目となる。


●2018年に追加されたWS。専用フロントグリルやシートなどを装備。2トーン色も設定

TNGA化によるワイド&ローのフォルムとインパクトのあるスタイリングは日本でも話題となり、現在も月平均で1000台以上も売れている。国内では新型アコード同様にハイブリッドのみの設定だが、FFのほか電気式4WDのE-Fourをラインアップ。それぞれ「WS」、「G」、「X」の3グレードを用意している。


●低重心化を図りながら、思いのほかコンサバなノッチバックスタイル

 

アコードと価格が近いのは最上級グレードのWSレザーパッケージ(445万円)。ダンパーロッドの動作速度をチューニングした専用の足まわりはしっかりとした乗り味が確かめられる。操縦性もスポーティな設定だが、アダプティブダンパーシステムを備えたアコードのほうが路面や走りに対する適応力に優れ、乗り心地はさらにしなやかだ。

ハイブリッドシステムについても、日常走行ではほぼEV感覚で走れるアコードに対し、カムリはアクセルを深めに踏み込むとエンジンが即座に始動する。どちらもEV走行時の静粛性はさすが。ただし、エンジンノイズの目立たないアコードのほうが全般的に静かな印象を受ける。

インテリアの質感、高級感もアコードが一枚上手だ。カムリも悪くはないが、実用セダンとしての車格を意識したまとまりのように思える。どちらも取りまわしのしやすさはもうひとつ。でもそれぞれ視界は広く、大きさに慣れれば運転しやすい。


●インパネデザインはユニークな左右非対称型。ディスプレイオーディオは全車標準でレザーパッケージにはナビも備わる

●後席の広さはこちらも十分。アコードと比べ、シートサイズはやや小さめ。居心地のよさではアコードに軍配が上がる

●HVバッテリーを後席下に据えたトランクルームは524Lを確保。トランクスルー機構も装備。背もたれは分割可倒式だが、アームレストスルーは備わらない

アコードで気になるのは選択肢がないこと。初期受注は好調のようだが、465万円の価格は欧州プレミアム勢とも競合する。買いやすいグレードを設定して、セダン市場の活性化を図ってみてはどうだろうか。


■主要諸元 アコード EX(FF・電気式無段変速機) カムリ WSレザーパッケージ(FF・電気式無段変速機)
●寸法・重量
全長×全幅×全高 mm 4900×1860×1450 4910×1840×1445
ホイールベース mm 2830 2825
トレッド 前/後 mm 1590/1605 1580/1585
最低地上高 mm 130 145
車両重量 kg 1560 1600
乗車定員 人 5 5
●パワートレーン・性能
エンジン型式・種類 LFB・直4DOHC A25A-FXS・直4DOHC
総排気量 cc 1993 2487
ボア×ストローク mm 81.0×96.7 87.5×103.4
最高出力 kW(ps)/rpm 107(145)/6200 131(178)/5700
最大トルク Nm(kgm)/rpm 175(17.8)/3500 221(22.5)/3600〜5200
使用燃料・タンク容量 L レギュラー・48 レギュラー・50
モーター種類  交流同期電動機 交流同期電動機
最高出力 kW(ps)/rpm 135(184)/5000〜6000 88(120)
最大トルク Nm(kgm)/rpm 315(32.1)/0〜2000 202(20.6)
動力用主電池種類 リチウムイオン リチウムイオン
WLTCモード燃費 km/L 22.8
JC08モード燃費 km/L 30.0 28.4
最小回転半径 5.7 5.9
●諸装置    
サスペンション 前/後 ストラット/マルチリンク ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ 前/後 Vディスク/ディスク Vディスク/ディスク
タイヤサイズ 235/45R18 235/45R18
●価格 465万円 445万円

〈文=一条 孝 写真=澤田和久〉

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