2020/04/08 Q&A

トラックの前輪ホイールはなぜ凸で、後輪はどうして凹んでいるのか?

物流を支えるトラックたち。大型から小型なものまでさまざまだが、それらの足元をまじまじと観察したことがあるだろうか?

足元、そのなかでもホイールに注目すると、前輪は外側に出っ張っている「凸」。対して後輪は、内側に奥まっている「凹」。例外はあるものの、日本を走っているトラック(バス)のほとんどは、こういった形状になっている。


●フロント側のホイールは外側に出っ張っている

●リヤ側のホイールは内側に凹んでいる

なぜなのだろうか? トラックやバスを製造している、いすゞ自動車の広報部に問い合わせてみた。


●いすゞの大型トラック、ギガ。後軸2本に装着されているホイールはやはり凹んでいる

「まず、乗用車のように人の移動が目的のクルマとでは車両の重量がまったく異なります。仮に、乗用車のようにタイヤ4本だけだった場合、たくさんの荷物を積んで走ったらすぐにパンクしてしまう恐れがあります」

その対応策として、荷物の荷重がかかる後輪のアクスル1本につきタイヤは4本履くことがマストとなった。だが、片側に2本セットで履かせるためにはどうしたらいいのか?

そこで考案されたのが、ダブルタイヤだ。ツインタイヤ、デュアルタイヤなどとも呼ばれ、おもにトラックやバスで用いられるタイヤの装着形態のひとつだ。凹凸を付けたホイール2本を、凸部を合わせて1セットにして固定、装着している。だから、後輪ホイールは凹んで見えるのだ。


●後軸に装着されたタイヤをのぞいてみると、たしかに2本。凸部を合わせて固定されている

では、なぜ前輪ホイールが凸に見えるのか? その理由は簡単、後輪用を引っくり返して装着しているからだ。タイヤの偏摩耗などを防ぐため、後輪に履かせていたものを前輪に、といった具合にタイヤのローテーションを行う。そのとき前後輪のホイールが異なる形状だとタイヤの取り付け位置が制限されてしまうため、前輪ホイールも後輪ホイール同様に凹凸のホイールが取り付けられるように。前輪に装着する際は、凸部が外側で、凹部がアクスル(内)側に向くように設計されている。

つまり、例えばアクスルが前後で2本のトラックだったら、前に2本、後ろに4本、合計で6本同じホイールが付いていることになる。同じホイールでありながら、凹凸があるためフロントとリヤで見え方が違うのだ。

安全性、そして経済性が最優先となるトラックにおいては、タイヤのマネージメントが非常に大事。シングルタイヤの場合はどれかひとつパンクしてしまったらすぐに走れなくなってしまうが(前輪がパンクしたらアウト)、ダブルタイヤであれば片方がパンクしてもある程度の距離を走行し、安全な場所に停車できる可能性が高くなる。という意味でも、ダブルタイヤは必要不可欠なのだ。


●ミシュランは、X One(エックス・ワン)とのブランドで幅広のシングルタイヤを市場投入。軽量化につながるなどメリットをアピールしている

とはいえ、後輪用の幅広なシングルタイヤも開発されている。これまで荷重を支えるのにタイヤが2本必要だったのに対して、幅広のタイヤ1本で重さに耐えられるタイヤだ。その場合、一軸当たり4セット必要だったタイヤ&ホイールが、2セットになる。シングルタイヤを導入すると、一軸当たり約100kgもの軽量化につながり、燃費の向上や積載量の増加により運送効率が上がるとされている。ただ、前輪に装着するには幅広すぎて、フロントとリヤのローテーションは基本的に行えない。

ダブルタイヤは比較的安価だが、幅広のシングルタイヤは割高。ただ後者は、ランニングコストを抑えられるメリットがあるなど、一長一短である。

〈文=driver@web編集部〉

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