2020年3月9日より始まったサポカー補助金の申請受付。「サポカー補助金」制度とは、65歳以上の高齢運転者による衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置が搭載された安全運転サポート車の購入を補助するもの。補助の対象となる車種、装置などはさまざまだが、ちょっと「ややこしい」ことになっている。
そのややこしさとは、「サポカー」もしくは「サポカーS」に適合していたとしても、サポカー補助金がもらえないクルマがあるというのだ。
補助金の対象となるクルマとそうではないクルマの違いとは何か。それは、衝突被害軽減ブレーキが「対車両」に限った機能で、「対歩行者」には働かない装置を搭載したクルマは補助金の対象にならない。
「サポカー」とは、「セーフティ・サポートカー」の略。サポカーは、政府が高齢運転者の交通事故防止の一環として、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置などを搭載するクルマを指すもの。これがいわゆる安全運転サポート車=サポカーである。
サポカーは搭載する機能により「サポカー」と「サポカーS」の2つに分かれる。「サポカー」は衝突被害軽減ブレーキを搭載するもので、すべての運転者に推奨するクルマ。「サポカーS」は衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制装置などを搭載した車両が該当し、特に高齢運転車に推奨するクルマ。
「サポカーS」はさらに衝突被害軽減ブレーキの機能に応じて以下の3つの区分が設けられている。
●ベーシック:低速衝突被害軽減ブレーキ(対車両)
●ベーシック+:衝突被害軽減ブレーキ(対車両)
●ワイド:衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)
上記の3区分すべてにペダル踏み間違い急発進抑制装置も搭載。「ワイド」はさらに車線逸脱警報と先進ライトを搭載したクルマが該当する。
ということで、「サポカーS」であってもサポカー補助金を受けられるのは、衝突被害軽減ブレーキが歩行者も検知して被害を回避もしくは被害を軽減する「サポカーSワイド」であることが最低限の条件となるわけだ。
ペダル踏み間違い急発進抑制装置を搭載しない「サポカー」でも、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキであれば、額は少ないがサポカー補助金をもらえる。何ともややこしい。
〈対歩行者の衝突被害軽減ブレーキのみ搭載〉
・登録車:6万円
・軽自動車:3万円
・中古車:2万円
〈対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ+ペダル踏み間違い急発進抑制装置を搭載〉
・登録車:10万円
・軽自動車:7万円
・中古車:4万円
新車でサポカーに該当するけれど、サポカー補助金をもらえないクルマは以下のとおり。おもにスポーツカーや登場から年数が経った末期モデルで、衝突被害軽減ブレーキが対車両のみのクルマだ。(1グレードでもサポカー補助金の対象となる車名は除く。国内自動車メーカーのみ掲載 ※2020年3月10日時点)
〈レクサス〉
・LC
・LX
〈トヨタ〉
・センチュリー
・プレミオ
・アリオン
・カローラアクシオ/カローラフィールダー
〈日産自動車〉
・シルフィ
〈ホンダ〉
・S660
・Nワン
・Nボックススラッシュ
〈三菱自動車〉
・ミラージュ
〈スズキ〉
・バレーノ
・SX4 Sクロス
あれ、「レクサスとセンチュリーは対歩行者にも対応してるんじゃ?」と思った人はするどい。じつは上記には「サポカーSワイド」でサポカー補助金の条件を満たしていても対象外となるモデルがあるのだ。それは、車両価格が税抜きで1000万円を超えるクルマ。なので、レクサスLCとレクサスLX、トヨタ センチュリーは、全グレードで税抜き1000万円超なので対象外となっている。
このほか、レクサスLSはすべてのグレードがサポカーSワイドに対応しながら、ほとんどのグレードが税抜き価格で1000万円以上なので補助金の対象外。1000万円未満のLS500(FR/4WD)およびLS500 iパッケージ(FR)のみがサポカー補助金をもらえる。
中古車を購入してサポカー補助金をもらう場合は、新車購入と同じで2020年4月1日までに満65歳以上となる高齢運転者が使用することを条件に申請が可能だ。ただし、申請できるのは2020年3月9日以降に中古新規登録(登録車)または中古新規検査届出(軽自動車)、もしくは移転登録された車両に対してで、3月9日より前に登録したものに関しては対象外となる点に注意したい。
また、もらえる補助金は、登録車と軽自動車で変わらず、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキのみ搭載する車両が2万円、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキに加えペダル踏み間違い急発進抑制装置を搭載する車両は4万円と、新車に比べて少ない。
補助金をもらうと1年間の使用義務が生じ、これに満たない期間で手放した場合は返納しなければならない。
中古車を購入してサポカー補助金をもらおうと思っている人は、対象となる年式や装備内容に注意したい。
まず、装備の条件として対歩行者の衝突被害軽減ブレーキを搭載する車両が条件となるのだが、発売当時は「対車両」だったものが、改良などで「対歩行者」に対応したモデルもあるからだ。加えて注意したいのは、オプションで対象装備を装着しているか否かということ。モデルによっては、標準装備されている対象となる装備がレスオプションで省かれている場合もある。
サポカー補助金が受けられる中古車は、メーカーが公表しているのでそれをチェックするか、実際にお目当てのクルマを取り扱っている販売店で確認しよう。
「サポカー」とうたっていても、サポカー補助金の対象にならないモデルがあることがおわかりいただけただろうか。あらためて対象となる条件などを下記にまとめるので参考にしてほしい。
●対象者
・2019年度中に満65歳以上となる人が対象(誕生日が2019年4月1日〜2020年4月1日の人)
・65歳以上の高齢運転者が購入車両の使用者(車検証の使用者欄に記載)であること
・自家用車は1人につき1台まで補助
●サポカー補助金の対象車
・衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)搭載車。もしくは衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)とペダル踏み間違い急発進抑制装置の搭載車
・車両本体価格が税抜き1000万円以下の車両
・新車は2019年12月23日以降に登録された車両。中古車は2020年3月9日以降に移転登録した車両。後付けペダル踏み間違い急発進等抑制装置は認定された店舗などで、その店舗が認定日以降に設置したもの
・サポカー補助金を利用して購入した車両は1年間の使用が義務づけられる。使用者を変更するなど1年未満でクルマを手放すと補助金は返納しなければならい(一定の条件を除く)
●サポカー補助金の補助額
〈対歩行者の衝突被害軽減ブレーキのみ搭載〉
・登録車:6万円
・軽自動車:3万円
・中古車:2万円
〈対歩行者の衝突被害軽減ブレーキに加えペダル踏み間違い急発進抑制装置を搭載〉
・登録車:10万円
・軽自動車:7万円
・中古車:4万円
〈後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置購入補助〉
・障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進抑制装置など:4万円
・ペダル踏み間違い急発進抑制装置など:2万円
●「サポカー補助金」制度の期間
・補助金の総予算額は約1127億円。予算がなくなりしだい募集を終了する。予算が続けば次年度への繰り越しを予定。(2020年3月9日より申請受付開始)
〈文=driver@web編集部〉
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