2020/02/26 ニュース

【カメラマンが見たWRC】第2戦ラリー・スウェーデン 雪不足のスノーラリーはまるで?

スタッドは意外にも問題なし

雪不足で開催が危ぶまれたラリー・スウェーデン。現地に着いてまず驚いたことが、東京と気温が変わらないこと。直前までいた旭川がマイナス10度℃以下だったので暖かく感じるほどでした。


●いつもならスーパーSSとして開催されるカールスタッドの競馬場だけど、今年はシェイクダウンとして開催

ステージの下見に行ってみると、もっとも北に位置するノルウェー側のステージには、雪と言うよりはほとんど氷だけど一応はスノーロードっぽい路面が残っていて、それっぽい雰囲気ではありました。だけど、ほとんどのステージは地面が露出していて、まるでグラベルラリー。ただし、朝晩は冷え込むからガチガチに凍結している場所もあったり。なので、スタッドタイヤでも問題ないとのこと。ただ、タイヤへのダメージは大きそうだなあと感じました。


●ほとんどのステージがまるでグラベルラリーのよう。だけどタイヤはスタッドタイヤです

アイテナリーは大幅に変更されました。金曜と土曜はまったく同じステージをそれぞれ1ループする構成です。路面にわずかに残った雪と言うよりも氷は、1度走ると消えるだろうなあと思ってたけど、意外と2日目も残ってました。

速そうに見えないエヴァンスが速い!

元々平均速度が高いスウェーデン。グラベル路面になってしまったステージはまるでラリー・フィンランドのようでした。雪に覆われた特殊なラリー故に北欧出身のドライバーが強いことで知られていましたが、ここ数年はふたりのセバスチャンに代表されるフランス人ドライバーが勝ちまくってました。ところが今年はイギリスのエルフィン・エヴァンスが絶好調。外から見てると速そうに見えないんだけど速いってことは調子がいい証拠ですね。


●果たしてこのままエヴァンスの快進撃が続くのか、オジェが巻き返すのか。楽しみです

逆にチームメイトのオジェは何やら調子が出ない様子で表情も暗めでした。同じくチームメイトのロヴァンペラはイケイケな感じ。前戦モンテカルロで大クラッシュ喫したタナックはクラッシュの後遺症もなくてひと安心。どんな精神構造してるんでしょうねえ。


●ノルウェー側のステージはかろうじてスノーラリーっぽい雰囲気。タナックは後遺症もなくてひと安心

ラリーの結果はエヴァンスが独走で優勝。タナックが手堅く2位。最終ステージでオジェを抜いたロヴァンペラが3位で、ノビコフが記録した最年少ポディウム記録を更新しました。とんでもない19歳だなあ。


●最年少ポディウム記録を更新したカッレ・ロヴァンペラ。まだ19歳ですよ。末恐ろしいなあ

●目まぐるしく変化する路面に苦労しながらも総合9位で完走した勝田貴元

若手のぶっちぎり具合がおもしろい!

さて、今回ボクが一番気になったのがWRC3の若いドライバー達。優勝したフィンランドのヤリ・フッツネンは昨年までヒュンダイの育成ドライバーとして参戦していたのだけど、今年はプログラムから外れてしまいました。そのフッツネンが鬱憤を晴らすように?快走。終わってみればWRC2優勝のベテラン、オストベルグのタイムを上まわる速さで優勝しました。


●WRC3クラス優勝のヤリ・フッツネン。育成プログラムからは外れてしまったけど、頑張ってほしいなあ

●いつも不機嫌そうで見た目がジャイアンっぽいフッツネンだけど、じつは笑うと可愛いんです

2位は同じくフィンランドの若手エミル・リンドホルム。彼もまたWRC2勢を上まわるタイム。若い選手達が格上の選手達をぶっちぎってひとつでも上を目指そうって走りは、そばで見ていても気持ちがいいし、「お前ら頑張れよ!」と応援したくなります。そんな将来のワークスドライバー達の走りにも注目してみて下さい。


●WRC3クラス2位のエミル・リンドホルム。マーカス・グロンホルムのいとこである父親は、フィンランドチャンピオンを8度獲得! ラリー一家に生まれた23歳です

ちなみに、WRC2と3のポディウムはフィンランド、スウェーデン、ノルウェーと北欧勢が占めました。やっぱり今でもラリー・スウェーデンは北欧の選手が強いんですね。


●WRC2優勝のマッズ・オストベルグ。もはやベテランですね

WRC2020 Rd.02
第68回 ラリー スウェーデン 2020
■最終リザルト

1.E・エヴァンストヨタ ヤリスWRC1h11m43.1s
2.O・タナックヒュンダイ i20クーペWRC+12.7s
3.K・ロヴァンペラトヨタ ヤリスWRC+20.2s
4.S・オジェトヨタ ヤリスWRC+23.6s
5.E・ラッピフォード フィエスタWRC+32.4s
6.T・ヌービルヒュンダイ i20クーペWRC+33.8s
7.C・ブリーンヒュンダイ i20クーペWRC+1m00.9s
8.T・スニネンフォード フィエスタWRC+1m24.5s

■ドライバーズ ポイントスタンディング

1.E・エヴァンストヨタ ヤリスWRC42p
2.T・ヌービルヒュンダイ i20クーペWRC42p
3.S・オジェトヨタ ヤリスWRC37p
4.K・ロヴァンペラトヨタ ヤリスWRC30p
5.E・ラッピフォード フィエスタWRC24p
6.O・タナックヒュンダイ i20クーペWRC20p
7.T・スニネンフォード フィエスタ WRC11p
8.勝田貴元トヨタ ヤリスWRC8p

■マニュファクチャラーズ ポイントスタンディング

1.トヨタGAZOOレーシング WRT73p
2.ヒュンダイ シェル モビス WRT63p
3.Mスポーツ フォード WRT40p

<文&写真=山本佳吾 text & photo by Keigo Yamamoto>

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