雪不足で開催が危ぶまれたラリー・スウェーデン。現地に着いてまず驚いたことが、東京と気温が変わらないこと。直前までいた旭川がマイナス10度℃以下だったので暖かく感じるほどでした。
ステージの下見に行ってみると、もっとも北に位置するノルウェー側のステージには、雪と言うよりはほとんど氷だけど一応はスノーロードっぽい路面が残っていて、それっぽい雰囲気ではありました。だけど、ほとんどのステージは地面が露出していて、まるでグラベルラリー。ただし、朝晩は冷え込むからガチガチに凍結している場所もあったり。なので、スタッドタイヤでも問題ないとのこと。ただ、タイヤへのダメージは大きそうだなあと感じました。
アイテナリーは大幅に変更されました。金曜と土曜はまったく同じステージをそれぞれ1ループする構成です。路面にわずかに残った雪と言うよりも氷は、1度走ると消えるだろうなあと思ってたけど、意外と2日目も残ってました。
元々平均速度が高いスウェーデン。グラベル路面になってしまったステージはまるでラリー・フィンランドのようでした。雪に覆われた特殊なラリー故に北欧出身のドライバーが強いことで知られていましたが、ここ数年はふたりのセバスチャンに代表されるフランス人ドライバーが勝ちまくってました。ところが今年はイギリスのエルフィン・エヴァンスが絶好調。外から見てると速そうに見えないんだけど速いってことは調子がいい証拠ですね。
逆にチームメイトのオジェは何やら調子が出ない様子で表情も暗めでした。同じくチームメイトのロヴァンペラはイケイケな感じ。前戦モンテカルロで大クラッシュ喫したタナックはクラッシュの後遺症もなくてひと安心。どんな精神構造してるんでしょうねえ。
ラリーの結果はエヴァンスが独走で優勝。タナックが手堅く2位。最終ステージでオジェを抜いたロヴァンペラが3位で、ノビコフが記録した最年少ポディウム記録を更新しました。とんでもない19歳だなあ。
さて、今回ボクが一番気になったのがWRC3の若いドライバー達。優勝したフィンランドのヤリ・フッツネンは昨年までヒュンダイの育成ドライバーとして参戦していたのだけど、今年はプログラムから外れてしまいました。そのフッツネンが鬱憤を晴らすように?快走。終わってみればWRC2優勝のベテラン、オストベルグのタイムを上まわる速さで優勝しました。
2位は同じくフィンランドの若手エミル・リンドホルム。彼もまたWRC2勢を上まわるタイム。若い選手達が格上の選手達をぶっちぎってひとつでも上を目指そうって走りは、そばで見ていても気持ちがいいし、「お前ら頑張れよ!」と応援したくなります。そんな将来のワークスドライバー達の走りにも注目してみて下さい。
ちなみに、WRC2と3のポディウムはフィンランド、スウェーデン、ノルウェーと北欧勢が占めました。やっぱり今でもラリー・スウェーデンは北欧の選手が強いんですね。
WRC2020 Rd.02
第68回 ラリー スウェーデン 2020
■最終リザルト
1. | E・エヴァンス | トヨタ ヤリスWRC | 1h11m43.1s |
2. | O・タナック | ヒュンダイ i20クーペWRC | +12.7s |
3. | K・ロヴァンペラ | トヨタ ヤリスWRC | +20.2s |
4. | S・オジェ | トヨタ ヤリスWRC | +23.6s |
5. | E・ラッピ | フォード フィエスタWRC | +32.4s |
6. | T・ヌービル | ヒュンダイ i20クーペWRC | +33.8s |
7. | C・ブリーン | ヒュンダイ i20クーペWRC | +1m00.9s |
8. | T・スニネン | フォード フィエスタWRC | +1m24.5s |
■ドライバーズ ポイントスタンディング
1. | E・エヴァンス | トヨタ ヤリスWRC | 42p |
2. | T・ヌービル | ヒュンダイ i20クーペWRC | 42p |
3. | S・オジェ | トヨタ ヤリスWRC | 37p |
4. | K・ロヴァンペラ | トヨタ ヤリスWRC | 30p |
5. | E・ラッピ | フォード フィエスタWRC | 24p |
6. | O・タナック | ヒュンダイ i20クーペWRC | 20p |
7. | T・スニネン | フォード フィエスタ WRC | 11p |
8. | 勝田貴元 | トヨタ ヤリスWRC | 8p |
■マニュファクチャラーズ ポイントスタンディング
1. | トヨタGAZOOレーシング WRT | 73p |
2. | ヒュンダイ シェル モビス WRT | 63p |
3. | Mスポーツ フォード WRT | 40p |
<文&写真=山本佳吾 text & photo by Keigo Yamamoto>
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