2020/02/20 ニュース

なぜ今さら復活? オペルが日本市場に再参入を決めた理由とは

コルサ、コンボライフ、グランドランドXから導入


2020年2月20日、日本市場でプジョーとシトロエン、そしてDSの3ブランドを展開するグループPSAジャパンは、都内で開かれた発表会においてオペルの日本市場再参入を明らかにした。実際にオペル車の販売がスタートするのは2021年後半となる予定で、2006年の撤退からじつに15年ぶりの復活となる。

2021年後半の再上陸時には、Bセグメント・ハッチバックのコルサ(CORSA)と、コンパクトMPVのコンボライフ(COMBO LIFE)、そしてミドルサイズSUVのグランドランドX(GRANDLAND X)の3車種が用意される予定。かつて日本では「ヴィータ」として販売されていたコルサは、日本国内の登録商標の関係で、来年の導入時には別の車名になる。



コルサ


コンボライフ


グランドランドX

2019年に発表された現行の6代目コルサにはBEV(電気自動車)、2018年に登場したグランドランドXにはプラグインハイブリッドの設定があるが、これら電動化モデルも他の仕様と同時に導入される。グループPSAジャパンは、今夏に新型プジョー208とともに、EVバージョンのe-208も導入する予定。日本市場においても電動化を積極的に進めるようだ。またこれら3車種以外のモデルも順次日本市場に導入される予定だ。

そもそもオペルとは?


ドイツ・リュッセルスハイムに本社を構えるオペルは、1863年にミシンメーカーとして設立され、1899年から自動車を生産する、長い歴史を持つ自動車メーカーである。だがドイツの第一次世界大戦の敗戦と1929年に始まる大恐慌で経営不振に陥り、欧州市場への進出を進めていたGMの資本を受け入れ、1931年にGMの完全子会社となる。

その後第二次世界大戦中はGMから離れたが、1948年にGMが経営権を回復すると、一貫してGM傘下のメーカーとして、ヨーロッパ市場で「手ごろな価格のドイツ製実用車」として存在感を発揮。1990年代には日本市場でも人気を博し、特に1996年には3万8000台を超える販売台数を記録している。しかし2000年代に入ると信頼性の低下と商品コンセプトの迷走、販売網の減少などで販売が急減。2006年5月に日本市場での販売中止が発表された。

2009年にはGMの経営破綻から売却が取りざたされるなど、厳しい状況に陥ったが、2012年に登場したアダムの大ヒットでヨーロッパのコンパクトカー市場を席巻。また同年にPSAと協力関係を結ぶと、プロダクトのクオリティが向上し、ラインアップの魅力も格段に増して、再びヨーロッパ市場におけるメインプレーヤーのひとつに復活。2017年にはPSAが買収し、PSAのブランドのひとつとなっている。


アダム

日本で成功できれば世界で成功できる


一方で、オペルはヨーロッパ市場が販売の大半を占めていて、海外市場には現時点でほとんど進出できていない。だがオペルの経営ビジョン「PACE!」の掲げる「持続的な収益」、「電動化」、「グローバル」に沿って、現在積極的な海外展開を行っている。日本市場への再参入もこの一環で、シンガポールに次いで、アジアで2番目の市場として日本が選ばれた。


●ミヒャエル・ローシェラーCEO

その理由を、オペル・オートモービルのミヒャエル・ローシェラーCEOは、「日本の自動車市場は、ユーザーの品質に対する要求レベルがとても高く、とても重要です。日本で成功できれば世界で成功できる、そういう市場だと考えています。オペルのグローバル戦略において日本での成功が重要なのです。中国への進出ももちろん計画していますが、現在はまだ市場を分析している段階です。日本では社会の中心にいてイノベーションに対してオープンで、ドイツで開発されたクルマであることを評価してくれる人たちにアピールしたいと思っています」と語っている。


今後オペルは、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸など都市部を皮切りに販売網を構築し、日本の輸入車市場における人口比で50%以上をカバーする予定。ローンチ以降も随時拡大して、2023年には80%以上をカバーする計画だ。ローシェラーCEOは、「今後は撤退しません!」と明言。これからは安心してオペルを選べるようになるはずだ。

〈文と写真=竹花寿実〉

ドライバーWeb編集部

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