2020/01/23 コラム

セリカXXが、海外ではスープラを名乗った理由【本格成人映画をイメージさせちゃう!?】

Zカーに対抗するクルマ

長いフロントフードに付けられた濃赤字に白で浮かび上がる七宝焼の「XX」のエンブレム。ゴールドで縁取られたXの文字を2つ重ね合わせて、高級感と格調の高さを醸し出している。XXと記して「ダブルエックス」と読ませる、何ともカッコよく粋な名前ではないか。


1978年4月に発売されたセリカXXは、2代目セリカリフトバック(1977年8月デビュー)をベースに全長を190mm拡大(GT系比)。ホイールベースを130mm延長してフロントボディの延長に当て、6気筒エンジン(2L/2.6L)をノーズに収めたセリカの最高級シリーズだ。

当時、北米を中心とした海外市場では日産フェアレディZが「ダットサン280Z」としてスペシャルティカー市場を席巻しており、これに対抗できるクルマを求める声が強まっていた。そこで、2代目セリカは対北米輸出を意識して、1973年にアメリカ・カリフォルニア州に設立されたデザイン拠点「CALTY(キャルティ)」のスタイリング案が採用された。セリカ自体をアメリカンテイストでまとめる一方、ダットサンの”Zカー”に対抗しうる、ぜいたくな最上級車種として企画されたのがセリカXXであった。


●1981年8月のフルモデルチェンジでXXは2代目に移行。高級路線は同年2月デビューのソアラに任せ、スポーツ路線に特化した

●2世代目は大型バンパーやオールブラックのリヤビューなど迫力をテーマとしたデザインが見どころだ

成人映画をイメージさせてしまう?

車名を検討するにあたっては、当然主力となる北米マーケットの意見を参考にした。driver誌(1978年5-20号)の新車解説では、『セリカXXというネーミングは、ひじょうにユニークだが、アメリカではパッション、つまり”激情”を感じさせる言葉として流行している』と書かれている。


●第1世代セリカXXのエンブレム。”熱情”の行き着く先を考えると、これはもう自然の摂理だからしかたあるまい。言葉の意味はほんとうに紙一重である

そこで思い出すのが、巷間知られている”あの話”。XXにネガティブなニュアンスが含まれているというものだ。アメリカではXに対して「未知数」や「性、暴力」という2つのイメージがあり、XXとなると後者のイメージが強い。英語の口語では「勝負で負けると約束しておきながら勝つ裏切り行為」などの意味もある。さらにXを加えた「XXX(トリプルエックス)」となると、手紙やカードにおけるキスの印(×をたいてい3つ重ねる)として使われるほかに、「本格成人映画」を指すことがある。X、XX、XXXとXが増えるごとに、ハードさのレートが上がるというわけで、Xを羅列した名称は最終的に避けた。

こうして、海外市場ではセリカの上級車種であることを明快に示す「セリカスープラ(英語のスーパーのラテン語)」のネーミングになった。

日本では当初のアイデアどおり、XXを名乗った。アルファベットの第24字であるXは、「未知なるもの」、「未知数」を示す言葉として使われ、またスポーティでラグジュアリーな感覚をイメージさせる。このXを2つ重ね合わせることによって、スタイルや性能、装備などが未知・究極であることを表現。「考えられる限りの数々の豪華装備を備え、スペシャルティカーのグレードを極めたクルマ」といった意味が込められている。

国が変われば車名の受け取り方も違う。その好例かもしれない。

〈driver@web編集部〉※車名博物館PART1より(八重洲出版)

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