2020/01/22 コラム

WRXとBBSの深い絆【スバルWRX STI 栄光の軌跡とチューニングの基本】


他の追随を許さないクラフトマンシップで、高性能で美しいホイールを作り上げるBBS。なぜスバルはBBSを採用し続けるのか?WRブルーに金色のホイールが似合う理由を、長年、WRXの開発を務めた島村さんに聞いた。


SUBARU商品企画本部 主査 嶋村 誠氏
●スバルのモータースポーツとWRXを支えてきた人物。1990年のレガシィ参戦からWRC車両開発に従事し、現在は量産車WRX開発の取りまとめに携わる。BBSの開発陣との交流も深い


足元にはいつもBBS

1995年のWRC(世界ラリー選手権)で、マニュファクチャラーズ&ドライバーズの両タイトルを獲得した栄光のマシンが、インプレッサ555。強豪を相手に、WRCを席巻したインプレッサWRX STI(当時はSTi)の黄金時代を彷彿とさせる、555台限定でWRブルー・パールのボディカラーをまとう、VAB型WRX STIタイプSの特別仕様車「EJ20ファイナルエディション」の足元で輝くのが、ゴールド塗装を施したアルミ鍛造19インチのBBSホイールだ。

STIのコンプリート車に初めてBBSホイールが採用されたのは、92年に200台限定で販売されたレガシィツーリングワゴンSTiだが、それ以上にBBSとSTIのコンビを強く印象付けるのが、98年のインプレッサ22B STiバージョンだ。

スバルのWRC3連覇に貢献した、インプレッサWRカー97のイメージを再現した限定400台のロードモデルで、迫力あるブリスターフェンダーに収まるのがゴールド塗装のBBS鍛造17インチホイールだった。

STIのコンプリート車やスバルの特別仕様車、ディーラーオプションでは実績豊富なBBSホイールだが、WRCでの採用は04年から。

その経緯について、長年WRCに関わり、WRXの開発にも深く携わってきた、スバルの嶋村 誠氏は「レギュレーションの変更で、それまで使っていた鋳造マグネシウムホイールが使用不可になり、ビッグジャンプの着地や岩へのヒットに耐える強度、路面からの衝撃をしなやかに受け止める剛性を備えたアルミホイールは『鍛造のBBSしかない!』ということになり、お願いしました」と当時を振り返る。

求めたのは強度としなやかさ

スバルがBBSホイールに求めたのは「レース中にホイールが割れずにサービスパークまで戻ってこられること。しかも可能な限り軽く」だ。

試作ホイールの強度・剛性試験の結果は従来の鋳造マグホイールと同等。ところが、実車に付けて走らせてみるとタイムが出ない。「トライ&エラーを重ねた結果、横Gに強いだけでなく、前後の剛性も重要だということが判明したんです」と嶋村氏。

ラリーの場合、イニシャルの操舵に対する応答性、例えばハンドルを切ってスッと曲がらないと、ドライバーが自信を持ってアクセルを踏めず、タイムにつながらないという。

ポイントは剛性、強度、重量のベストバランス。「操舵に対する応答遅れはダメだけど、一瞬の溜めが欲しい。操舵からひと呼吸置いて、コーナリングパワーが立ち上がるのが理想です」軽さと強さに加え、入力を上手にいなすBBSホイールは、操縦性にもプラスに作用する。

「BBSを実戦で使ってわかったのが、強いダメージを受けた際に『曲がっても割れない』こと。強靭性が格段に向上しました」金属の塊に高圧をかけながら成型するので素材組織が密になり、高い強度が得られる。鍛造の優位性を物語るエピソードだ。

軽さが走りを変える

さらに、縦置きの水平対向エンジン、トランスミッション、ステアリングギヤボックスでフロントセクションがギッチリ詰まったスバルAWD独特のレイアウトも、BBS鍛造ホイールの利点を引き出せるという。

「構造上、スバル車のインセットは大きく(ホイールの装着面が中心線よりも外側になる)、ハブからインナーリムまでの距離が遠くなり、ホイール内側の剛性が保ちにくい。肉を盛ると重くなる。そこで、インナーリムの折れ点を減らしたり、タイヤと接する耳(フランジ)の形状を工夫して剛性を高めました」

鍛造後の素材にローラーで延圧加工を施し、リム幅を広くして反対側のフランジを成型するBBS独自の「スピニング」が、厚みを抑えながら、強くしなやかなリムを生み出す。

ちなみにファイナルエディションのBBS鍛造ホイールは、強度と剛性がSTIタイプSの鋳造19インチと同等で1本当たり2kg程度軽い。

嶋村氏はBBSアルミ鍛造ホイールの魅力について、「発進時の最初のひと転がりが軽い。クルマがスッと前に出るんです」と締めくくった。


ラリーでも割れずに帰ってこられる。
そんなBBSの耐久性に驚きました。



WRXとBBSはお互いに切磋琢磨!


●2006 インプレッサ WRX STI

●2010 インプレッサ WRX STI

●2014 WRX STI

〜ものづくりにかける情熱〜
BBSの「クラフトマンシップ」とは

繊維機械に使われる、糸巻き用のアルミ製大型ビーム(直径21インチ以上で、糸を巻くと100トン以上の側面圧力が掛かる)の製造で培われた独自の鍛造技術を生かし、83年に世界に先駆けアルミ鍛造ホイールの量産化を実現した。

BBSでは鍛造の優位性を最大限に引き出すために、複数のプレス機と高精度の金型を使い、ホイールの基礎から意匠面まで、すべてのセクションを鍛造で成型。その証が、ホイールの隅々まで流れる鍛流線(メタルフローライン)だ。


●ビレットと呼ばれる円筒型の素材を最大9000トンの高圧でプレスし、金型を取り替えながら鍛造を重ね、ホイールに成型する

●鍛造工程後、熟練の職人が1本ずつ検査を実施。表面のかすかな肌荒れや、機械加工で生じるバリなどを丁寧に修正していく

WRXに最適なBBSホイールはコレ!


●RI-D

RI-D

サイズ:19〜20インチ
価格:20万4000〜23万3000円

非常に優れた強度と耐性を誇り、航空機用金属としても使われる超超ジュラルミンの鍛造1ピースホイール。見た目も軽快感のある5本クロススポークだが、実際に持ってみると、その異次元の軽さに驚かされる。恐ろしいほどの軽さはWRXの走りにも絶大な影響を与え、タイヤのひと転がりで違いがわかるほどだ。


●RI-A

RI-A

サイズ:18インチ
価格:7万8000〜8万20000円

国内最高峰のレース、スーパーGTの実戦に投入されているホイールと同じ思想・造形で作られた究極のレース仕様。ホイールとタイヤの空転を抑制するアンチスリップペイントや、着脱時にホイールナット穴を傷めないようにブッシュをスチール製とするなど、極限領域の機能性と信頼性を余すことなく継承している。

〈文=湯目由明 写真(人物)=山内潤也〉

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