2017/11/25 コラム

今から30年前のこばなし クラウン vs セドリック/グロリア〈2〉

セドリック/グロリアから遅れること3カ月。8代目クラウンは9月に登場。そのスタイリングは、圧倒的な人気を誇った先代のイメージを踏襲したコンサバ路線。前述のセドリック/グロリアの変貌ぶりとは対照的なものでした。ただし前者同様、スタイリングは丸みを帯び、先代で好評だった「クリスタルピラー(Cピラーの加飾)」を廃し、よりクリーンなシルエットに。でも、8代目におけるトピックは、3Lハードトップが3ナンバー専用の “ワイドボディ化” されたことです。
●1987年10-5号
先代の3Lハードトップ。ボディ自体は2Lと同じ5ナンバーサイズで、サイドプロテクションを厚くすることで、全幅1720㎜の3ナンバーサイズとしていました(ちなみに前出のY31セドリック/グロリアのボディ〈自体〉は、全車共通の5ナンバーサイズ)。新型の3Lハードトップは、ボディパネル自体を拡幅しトレッドも拡げたことで、先代より安定感のあるプロポーションを実現。そんな8代目は “クラウンらしい” スタイリングのモデルとして、今も中古車市場で根強い人気を誇ります。また、同車は日本初の「TRC」(トラクションコントロール)搭載車であり、ほかにもカーナビの前身といえる「CDインフォメーション」など、とにかく先進装備が満載でした。シーマに先んじた “3ナンバー専用” ボディ
●クラウン4ドアハードトップ3000ロイヤルサルーンG。190馬力/5600回転、26.0kgm/3600回転を発揮する7M-GE型を搭載。当時東京地区価格:443万2000円(フロアAT)
国鉄がJRとして民営化され、バブル景気の始まりに、日本全体がどこか浮き足立っていた、今から30年前の1987年。“クラウンに続け” と日産は、この年の東京モーターショーに、3ナンバー専用車の「シーマ」を出品。翌88年の1月に発売され、『シーマ現象』なる言葉が生まれるほどの、爆発的なヒットを飛ばしたのでした。……と、ここまでは日本国内における(向けの)高級車の話。グローバルでの本格的な展開は、89年登場の「セルシオ(レクサスLS400)」や「インフィニティQ45」以降となるわけですが、その予兆は、2年前のし烈なライバル争いからも、確かに感じられました。

RANKING