2017/11/25 コラム

今から30年前のこばなし クラウン vs セドリック/グロリア〈1〉

今から30年前の1987年。昭和62年の日本において、オーナーカーの頂点に君臨するモデルがありました。そう、トヨタ「クラウン」と日産「セドリック/グロリア」です。両者は長らくメーカーの威信をかけたガチのライバル関係にあったことは、説明するまでもないでしょう。特に70年代後半から90年代中盤にかけては、モデルサイクルもまったく同じ。そしてこの年(87年)も、クラウンは8代目(130系)へ、セドリック/グロリアもそれぞれ7代目/8代目(Y31系)へと同時にフルモデルチェンジしました。
●セドリック4ドアハードトップ・V20ツインカムターボ・グランツーリスモSV(←長いっ!)。こちらは4速ATの前期型。当時東京地区価格:348万5000円
先手は6月のセドリック/グロリア。先代よりボンネットフードを60㎜ほど下げ、全体に丸みを帯びたボディは「とにかく大きく立派に見せる」という、これまでの高級車の常識を覆すものでした。その新型を象徴するグレードが「グランツーリスモ(GT)」です。ローノーズ&ハイデッキのプロポーションにフォグランプ内蔵のエアダムバンパーを組み合わせたボディは、CD値0.32(GT)と空力性能もハイレベル。搭載するエンジンも新開発の2L V6 DOHCターボとし(VG20DET型 *NAも設定)、サスペンションも歴代初の4輪独立へ進化。これらは、当時日産が “1990年代までに技術世界一を目指す”と取り組んでいた「901運動」の成果にほかなりません。
●RB20DET型よりも小型・軽量化したハイフローセラミックターボを組み合わせ、185馬力/6800回転、22.0kgm/4800回転を発揮したVG20DET型
そんなブラックの ツインカムターボ・グランツーリスモSV は、「あぶない刑事」の劇中車にも使われ、F31レパードの陰に隠れながらも確かな人気を博しました。また、テレビCMやカタログには坂本龍一や菊池武夫など、気鋭のクリエイターを起用。(バブル期の)時代も手伝い、アクティブな若者層をも振り向かせたモデルとして、日本の高級車の歴史に名を残しています。

一方、クラウンは

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