2019/11/29 Q&A

スカイアクティブXはレギュラーもハイオクもOK。燃費もパワーも出る理由【ロングインタビュー】

自動車が19世紀後半に発明されて以来、ガソリンエンジンといえば点火プラグで混合気に火をつける火花点火(SI)が当たり前。その130余年に及ぶ内燃機関の常識を覆したのが、マツダのスカイアクティブXだ。
ガソリンでは不可能とされたディーゼルと同様の圧縮着火(CI)を世界で初めて実用化し、従来のガソリンエンジンより燃焼効率を大幅に高めることに成功。パワーの伸びが気持ちよく、振動・ノイズやクリーン性でも有利なガソリン。ハイレスポンスでトルクが分厚く、燃費にも優れるディーゼル。Xは両者の特徴を融合させた、革命的ガソリンエンジンなのである。それを可能にしたのが、マツダ独自の「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」だ。最大の特徴は、ディーゼルと違い点火プラグを使ってCIを行う点。CI寸前になった燃焼室の混合気をプラグの点火による膨張火炎球でもう一押しし、CIを促すという仕組みである。それは燃焼室の圧力や温度、吸排気や点火のタイミング、燃料噴射、排ガス再循環システム(EGR)など、極めて膨大かつ緻密な制御によって成立しているという。

それにしても、薄い混合気を燃やすリーンバーンのCIが高回転まで可能なのはナゼなのか? また、国内向けは販売開始を急遽2カ月遅らせてレギュラー仕様からハイオク対応に変更されたが、その真相は如何に?真打ちの販売開始を受け晴れて行われたマツダ3オールラインアップ試乗会で、執行役員・パワートレイン開発本部長の中井英二さんにXのナゾを直撃した。
まず、くだんのハイオク対応の件をあらためて確認させてください。そもそも欧州向けはハイオク仕様なのに、国内向けはなぜレギュラー仕様で開発を?
中井「(標準エンジンの)スカイアクティブGは欧州も国内もレギュラーです。ただ、欧州はレギュラーが96RONでハイオクタンなんですよね。それより下のガソリンは売っていません。だから、それに合わせて(圧縮比)14に設定して出しています。でも国内のレギュラーは91RONです。高い圧縮でレギュラーが入っちゃうと異常燃焼(ノッキング)が起こってしまうので、圧縮比もそれに合わせています(編集部注:ガソリンは、オクタン価が高いほうが燃えにくく、低いほうが燃えやすい)。Xも同じように、欧州は96RON用に圧縮比16.3で造って。国内は15に落として91RON用のエンジンにするということで進めていました。で、当初からトルクは96RON用とそんなに違いませんが、パワーは10馬力くらい下がりますよと。高回転になってくると、やっぱり圧縮比を下げてもノックしやすいんですよね。それはちょっと逃れられないので、パワーが下がっていきます」そして国内向けXの開発終盤、先行発売された欧州でメディア向け国際試乗会が行われた。中井「先に欧州でジャーナリストの皆さんに乗っていただいたときに、あのトルクカーブがとても気持ちいいとおっしゃっていただく方が多くてですね。今の世の中、この話は日本にもすぐ伝わって、欧州とパワーの差があるものを出すことに対して、少しどうなのかなというのがあって。話はいろいろありましたが、日本国内仕様でも欧州で気持ちいいと言っていただいた走りを実現してもらったほうがいいだろう。そうしようということになって、ハイオクガソリンに対応できるようなキャリブレーションを急遽やりました」
ハイオク対応の情報が国内に伝わると、ユーザーやメディアの一部にはハイオク専用と受け止める向きもあったようだが、それは誤解。国交省の認可は使用燃料としてハイオクかレギュラーのどちらかで受けないといけないが、Xはレギュラーも問題なく使える。ハイオク仕様ではあるものの、正確に言うならハイオク推奨なのだ。中井「そのとき圧縮比15でレギュラーを使った制御マップと言いますか、制御の動かし方はもうできていて、そこでリーンバーンなどもできますし。上のほうもちゃんとセットして、トルクも同じくらい出るようにして。そこに加えて、ハイオクタンを入れたときはハイオクタンのセットが出てくるように。すごく手間隙かかっています(笑)。ベースにさらにハイオクタンが来たときに対応するようにしているので、とってもそれぞれ、皆たいへんな思いをしながらセットしたんですけど。そういうオクタン価の違い、90と100(国内のハイオク)、10違うとすっごく違うんですよ。だからもうまったく違うセットを造らなきゃいけない。ベースセットを変えたんですけど、その中で16.3の96RONというセットもあってですね、非常にそのへんはフレキシブルにできたかなぁと思っています」簡単に言うと、「元の日本仕様は圧縮比15のままいて、その上にハイオクを入れたときの仕様があって、2層になっている感じ」(中井さん)。ピストン形状は15専用で、欧州の16.3用とは異なる。中井「だから(開発を)2回やっているかんじですよね。欧州は1回、16.3のレギュラー(96RON)に合わせた1枚だけを造っているんですけど。国内はレギュラーに合わせたものとハイオクに合わせたものがあって、認可はハイオクで受けているのでハイオクを入れてくださいというお願いをしていて。燃費もよくしているので、ハイオクを入れても燃料代としてはそんなに変わりませんよと。それでいい走りができると思っています」開発を2回やった感じというほど手間隙をかけ、完成に漕ぎ着けた国内向けX。急転直下のハイオク対応は、むしろ、2カ月でよくできたと言ったほうが正しいかもしれない。中井「何でこんな短期間にできたかと言うと……。2カ月遅れたじゃないかといつも怒られて、返す言葉がないんですけど(笑)。Xは各シリンダーの中に圧力センサーを持っていて、ず~っとトラッキングしています。CIが起きると圧力がピュッと上がるんです。そのデータを見ていて、微分をとったらパッと上がるのがわかりますから、そこがCIしたところだと。で、CIしたところをピストンの一番力が出るところにもっていくコントロールをしています。そういった意味で言うと、ある程度のロバスト性が制御自体にもともとあって。状況が変わったり燃料が動いたりしても、ちょうど燃焼自体はちゃんといい位置でいきますよと。そういう仕掛けがしてあったので、やりやすかったというのはあります」各シリンダーに設けられた筒内圧センサーは、SPCCIでキモとなる技術の一つだ。センサーによる監視制御によってノッキングを回避するとともに、リアルタイムな補正で燃焼をつねに理想の状態へと導く。中井「最初から暖かい内部のEGR、前のサイクルで燃えたガスをそのまま閉じ込めておくと、熱いから早くCIしてくれます。その量と冷えた(外部のクールド)EGR、既燃ガスを入れて、(燃焼室の温度を)アクセルとブレーキみたいにコントロールしているんですよ。その中でも意のままの走りをやっていて。そういったアクセルとブレーキを使いながら、いろんなオクタン価に調整をしようと。で、『このオクタン価が来たらこう調整しよう』みたいなことはやったんです。けど、やっぱり10違うとベースセットを変えたほうがいいというので、それは違うものが埋まっています。基本的な考え方は変わらず、前に燃えた暖かいEGR、これ不活性ガスなので温度は上がるんだけど燃焼は抑えられる。それと冷たい、ホントにピシッと鎮静化してくれるEGR、その分量を変えながらうまくセットを進めていったと、そういうことです」圧縮比15のまま、ハイオクを使用すれば欧州向けと同じ180馬力・22.8kgmのスペックを確保。日本のレギュラーを入れた場合の性能も当初の狙いどおりで、パワーは10馬力ほど落ちるがトルクは変わらないという。以前、中井さんの前任にあたる「ミスターエンジン」人見光夫さん(現シニアイノベーションフェロー)から、XのCIはノッキングする性質を逆に利用したところがあり、オクタン価は低いほうがいい面もあると聞いた覚えがある。中井「そうなんです。ただ、マックスのトルクカーブは一緒なんですけど、実際はやはり少し細っています。立ち上がりのところと、そして上のところ。もちろん今のスカイアクティブGよりはトルクが出ていますけど」トルクカーブの両端、つまり基本的にはCIではなくSIの領域だ。ハイオクより10馬力落ちるパワーピークも、同じくSI。中井「SIのところは燃料も多くて圧縮も高いので、何もしなかったらいっせいに燃えちゃうんですよね。まぁ低い負荷のところは一斉に燃やそうとがんばっているんですけど、高い負荷のところは一斉に燃えてしまいます。そこは不活性ガスを一生懸命入れて抑えて燃焼させることをやっているんですけど、レギュラーは(ハイオクより)“CIしたい”燃料なので。そういう状況になると、やっぱりパワーを抑えざるをえないんです」パワーを抑える目的は、もちろんノッキングの回避。圧縮比が欧州より低いといっても、15である。XDに搭載の低圧縮ディーゼル、スカイアクティブD(1.8Lは14.8)より高圧縮なのだ。中井「そうなんです。15でも高いんです。(欧州仕様よりも)圧縮比下げましたって言うと怒られるんですが、『15ですけど』と(笑)」燃費については、ハイオクとレギュラーの違いが影響するのだろうか。中井「軽負荷のところはすごくCI(=リーンバーン)しやすいので燃費いいんです。負荷が上がってくると今度暴れはじめるので、燃焼を抑えよう抑えようとしますから、ちょっとピストンが下がってから燃やそうとするんですね。そうすると仕事量が減るんです。それで馬力が下がる、トルクも落ちる」
例えば、ほとんど街なかしか走らない人(つまり軽負化領域の走行)は、レギュラーを入れてもデメリットを感じることはない?中井「ないかもしれません」ただそういう使い方だと、Xの旨みが十分出ないのかもしれませんが。中井「軽負荷の燃費をよくしようというのが最初の考え方だったので、そこはそれでいいのかもしれませんけど、上まで(パワーが)出るとやっぱり気持ちがいいですから。下から上まで気持ちいいという、その気持ちいいレベルが欧州と比べるとやっぱり見劣りしちゃうので、予定よりも2カ月いただいてそこを造りました」CIの領域をほぼ全域まで拡大、という広報資料の文言にウソはない。発進でアクセルを踏み込んだ瞬間から、それこそベタ踏みのまま5000回転まで、センターディスプレイの「システム作動状態」では「SPCCI」の表示が確認できる。
中井「そうですね。今回のCIのミソは、やっぱりプラグでうまく環境を作ったというところなんですよ。あれは何をやっているかというと、SIで燃える燃焼量とCIで燃える燃焼量、その割合をコントロールしている。CIを十分できるときにはSIの量を少なくして、CIをたくさんさせていい燃費にしてあげる。(エンジン回転が)だんだん上がってくるとSIを増やしてあげて、CIを減らしてあげる。そういうふうに割合を変えてあげています。最初にちょっと映像を見ていただきましたが、最後にバシッて燃えきった、あれくらいで半分くらいの量がCIしている感じです」SPCCIはCIとSIのどちらか一方に切り換えるのではなく、両者の割合を運転状況に応じて変化させる。だからアクセル全開でもSPCCIの表示がついているのだ。プラグの膨張火炎球によってCIを誘発するため、CIの割合は最大でも100%になることはない。ちなみに、100%が可能なのはHCCI(プラグを使わない予混合圧縮着火)。
中井「SPCCIのマークが出るのは、CIが2~3割くらいからかな。(設定を)どこで切ったかちょっと覚えていないんですけど、CIがわかるところまで。筒内圧センサーを付けているので、圧力がバシッと上がったらCIできているねと、そういう判定の仕方です。で、最後までスーッとSIになったら、CIはなくなりましたねということでマークが消える。 5000回転くらいのところでマークがついているのは、CIが2割くらいだと思います。2割くらいでも、燃費も出力も両方いいです。特に燃費にいいかもしれません。出力を出すには燃料の量を燃やせばいいので、ゆっくり燃やしても出力は出ます。だけどダラダラ燃やしていると、あまり効率はよくない。ピシッと燃やすといいんだけど、燃料の量が多いのでものすごく圧力が上がっちゃう。そうすると機関にダメージを与えてしまうので。そういうふうにCIとSIの割合をシームレスに変えて燃やせる技術があるので、広い範囲でCIができるんです」ということは、火球の大きさをコントロールできる?
中井「いい質問ですね(笑)。できます」点火の強さで?中井「違います。そこにいる混合気の比率みたいなものです。流動と。燃料の吹き方と空気の入れ方です。(吸気ポート内に)スワールコントロールバルブっていうのが付いている。それで流動を高めたり。例えばここにプラグがあるとすると、空気が入りますよね、スワールコントロールバルブを閉じていると(吸気が)回るんです。回るとですね、プラグの周りをかすめるんですよ、シュッと。で、ピュッと吹いたら、こう入ってきてかすめるんです。ここでパシッと(火を)つけると、けっこう燃えてくれるんですよ」それで火球の大きさが変わるということ?中井「そうですそうです」線香花火で風が吹くと火球が大きくなるイメージ?中井「そうです。フーッと吹くと火がバーッと燃えますよね。ああいう流動で。もう一つは濃度。周囲の空気と燃料の比率。それは吹き方で変えている?中井「そうです。流れを読んでいて、このスピードだったらこう流れるから、今吹いたらその流れがここにこの濃度で来るって計算して。それで火球の大きさをコントロールしているんです」スゴイ!広報本部長の土井 歩さん「あの~、次のプレゼンが始まるので、すいません(笑)。(とインタビューを止めようとしつつ)私もこのあいだ工場見にいったときに、プラグの向きまで全部コントロールしてあるって聞いて。中井「そうなんです。プラグの向きがポイントなんです。プラグの向きが間違っていると、その計算がずれちゃうんで」
土井「全部同じ向きなんですよ。ねじ込んだときに、あるトルクで締めたら同じ向きになるように設計がしてあるし、生産設備ができている」中井「向きと、突き出しと、位置」ハァー!(驚き)土井「ということで、すいません、次の組が」すいません、お話を全然聞き足りないので、待たせてもらっていいですかっ!?次ページに続く!中井「お待たせしました。え~っと、どこまでお話しましたっけ」火球の大きさをコントロールできるというところまでうかがいました。CIは火球が大きいときほど圧力が強くなるという理解でいいでしょうか?中井「そうです。ピストンが上がってきたときに圧力が上がりますよね。上がってきながら火球が膨らんできて、CIする圧力になったときにちょうどピストンが降りていくように」
火球の大きさが最大のときにCIしたときが、CIの割合が一番多い?中井「少ないです」え? SIだけに移行するとき、火球は作らない?中井「いえ、火球だけになります」あ~、そういうことか。SIは火球が燃え広がるわけですね。ようやくわかってきました(笑)。渦巻く流動や膨張する火炎球などによってほんの一瞬のうちに、そして連綿と繰り広げられる、小さな燃焼室の中の深遠なるSPCCIの世界。燃焼をここまで緻密かつ意のままにコントロールしている量産エンジンが、ほかにあるだろうか。
中井「早くから火をつけると燃えにくくても、時間がたてば(炎は)大きくなります。それとか、先程言いましたように濃度を変えたり、流動を変えたりして、火がついたらサッと燃えるようにする。そういういろんなコントロールの仕方があります。そのへんをうまく使ってCIのちょうどいいときに、1000ケルビン(K)とか言っているんですけど、700℃くらいですかね。700~800℃になるとガソリンは自分で火がつきはじめるので、そういう温度になるように仕込むんです」Xでは、高応答エアサプライも特徴的なアイテムだ。リーンバーンに必要な多量の空気を、スーパーチャージャーを使って強制的にシリンダーへ送り込む。
中井「NAの場合、2LでA/F(空燃比)30というと(燃料は理論空燃比14.7の)半分ですから、ラムダワン(λ=1、理論混合気)でいくと2Lと同じトルクは出ないですけども。(低負荷時など)2Lの半分のトルクでよければ、倍の空気が入れられます。また今までは、半分のトルクしか出さなかったらもうスロットルも半分閉めていて、ここでポンプロスをしていたんですけど、全部開いていて、バーッと空気を入れてもそのトルクを出すのにポンプロスが減るとかですね」単純に考えれば、空燃比30なら混合気はストイキの半分の薄さ。幅広い領域でこのリーンバーンが維持できれば、Xは燃費向上と排ガスのNOx低減に確実な効果をもたらす。中井「もうちょっといっているところあるんですが、だいたい30対1くらいにならないとNOxが減っていかない。(NOxを減らすには)燃焼温度が下がっていかないといけないので。それくらいのところですね。あとはEGRを入れても燃焼温度は下がるので、そういうこともやっています。気体の量と燃料の量ですね、その割合は30とか40とかそういったところで燃やせるレベルにはなっています」ただし、アイドリングやクリープでの燃焼状態はCIではなくSIだ。これは技術的に難しいのか、意図した狙いがあるのか?中井「Mハイブリッドを使っていますので、普通ならアイドリングはストップしています。アイドルの頻度がとても少なくなっています。それでもアイドル運転するときは静かに回す必要があるので、効率が多少悪くてもSIで燃やします。また、CIをするにしても少ない燃料で運転するので、空気量が少なく圧縮しても高い圧力・温度にならず、圧縮着火をするには無理がかかります。アイドルの燃料消費は少ないので、ここでCIをして燃費をよくしても、全体としての燃料消費改善にはつながりません。この場合は静かな火炎伝播燃焼(=SI)の方が優れた燃焼だと考えて適用しています」
SPCCIで高トルク・低燃費を実現しながら、さらにISG(モーター機能付き発電機)によるMハイブリッドを採用している点も見逃せない。中井「Mハイブリッドは(アイドリングストップの)静粛再始動のところで一番使います。あとは少し高負荷になると、燃焼を抑えるのが難しくなるところがやっぱりあるんですね。燃焼を抑えて抑えてってやるので少し燃費が悪くなってくるんですが、そこの部分をMハイブリッド(のモーターアシスト)で助けてあげると抑えなくていいところで済むので、けっこういい燃費が出る。燃費の回収になるんです。あとはMTで、ちょっとクラッチを合わせすぎちゃったり、エンジン回転がブーッと落ちそうになったら、そこでグーッと助けてくれる」
しかも、ISGは日本車のマイルドハイブリッドで、現在もっともハイパワーだ。中井「24Vなので。(欧州勢の)48Vじゃないですけど(笑)。Mハイブリッドはエンジン回転が低かったら、けっこういいトルクが出るんです。エンジン回転が低くて負荷が高い場合。そこは(モーターアシストを)使ったほうが(エンジンの)燃費のいいところを使えたりするので」
XのMハイブリッド採用には、まず車両のベース技術を向上させ、そのうえで電動デバイスもベース技術として組み合わせていく、マツダのビルディングブロック構想が背景にある。中井「XでMハイブリッドがないとダメかっていうとそうではないんですが、ビルディングブロック戦略ですね。電動化を順にしていきますという計画をしていたので、ここにはそれを付けようということでセットでやってきました。ただ、2年くらい前に(初期の実験車両に)美祢(テストコース)でみなさんに乗っていただいたときは、付いているだけで何も働いていなかった(笑)。今回は滑らかに走る、意のままに走るという観点で、とっても使い勝手がいいやり方を見つけて、うまく進めてこられたかなと思います」
Mハイブリッドは国内ではXがマツダ初だが、欧州ではそれ以前から採用されている。中井「欧州では2LのスカイアクティブGに付いています。気筒休止も。徐々に電動化を進めていく。Mハイブリッドはブレーキで捨てていた熱を電気として回収するだけなので、安くできるんだったらリーズナブルですよね。私たちの考えは、回生できる分だけは回生するんだけど、それ以外にもアクティブに何かさらに大きいモーターを使ってということは考えていません(編集部注:今後のマツダの戦略にはより大きなモーターを使うであろうPHEVも入っているが、スカイアクティブXとの組み合わせは考えていない、という意味。スカイアクティブXは、ハイブリッド用のエンジンとは違い、燃費のいい部分が幅広いのが特徴)。それよりも、低い、力の少なくていいところまで燃費のいい燃焼をしてあげると。直接動かせるわけですから、そっちのほうがどう考えても得なんですよね。
1回充電して、電池に入れて、それを取り出してモーターで動かすっていったらもったいないじゃないですか。そんなことするよりも、そこの燃費が出るエンジン、だいたいハイブリッドに使うエンジンは一点くらいしか出ないんですが、そういったところがずーっと回転数の広い範囲で使えれば、直接車輪を動かしたほうが絶対得なので。だけど、ブレーキで消費する熱はもったいないから、それは回収すべきでしょうという考えで。内燃機関をしっかり造って、そこに電動デバイスを入れて賢く使うというやり方をしましょうというのを、われわれは最初から言っています。高負荷まで燃費のいいリーンバーンエンジンは、内燃機関を次に進化させようと思ったときにはどうしても必要になります」マツダが理想に向かって追求し続ける内燃機関の進化。スカイアクティブGの第2世代であるXは次世代技術導入プランのとおり2019年に上市されたが、その2020年にはまた新たな次世代エンジンが明記されている。第2世代のスカイアクティブDだ。中井「燃焼は(ガソリンもディーゼルも)同じところを目指しています。燃料は違いますが、燃える形態は一緒になるように。だいぶ似てきたんですよ、今回Xでリーンで燃やすようになったので。Dのセカンドジェネレーションは、ファーストジェネレーションでやっている予混合燃焼という領域があって、そこの部分をもっと広げる。ディーゼルはリーン燃焼で、予混合、圧縮着火をすでにやっているんです。そこの領域をもっと広げようというのがセカンドステップですね」
予混合の領域をもっと広げるというのは?土井「すいません、また次のセッションがあるので(笑)」アラ~!(残念)Xのナゾを文系人間にもわかりやすく解き明かしてくれる中井さんの話を聞いていると、時間の経過はあっという間! 内燃機関を究めようとするマツダの開発魂と同じく、そのモノ造りに対するわれわれの興味も尽きることはないのである。〈文=戸田治宏 写真=山内潤也&マツダ〉

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