2019/11/19 ニュース

【ニューカー試乗記】パリだけでなく東京にも最適! ルノー トゥインゴ

全体的にすっきりした印象

マイナーチェンジとはいうもののぱっと見のエクステリアデザインは、それほど変わったという印象はない。だがよく見るとヘッドライトにアイラインがひかれたようにみえ、表情がキリリとひきしまっている。
これはルノーブランドに共通するCシェイプLEDランプを採用したためだ。スモールとターン、デイタイムライトを兼ねたLEDランプで、ヘッドライトが大きくなったようにも見える。ヘッドライト自体の光源はハロゲンのままだが、200万円を切る車両価格を考えるとこれは納得できる。
リヤコンビランプもCシェイプに変更され、従来よりワイド感が強調されている。前後バンパーのデザインも変更され、フロントのロアグリル両側にはスリットが入れられ、フォグランプはバンパーからロアグリルに移設。リヤバンパーはライセンスプレート位置のエアアウトレット風ガーニッシュがなくなり、すっきりした印象になった。

トゥインゴ好きが喜ぶのが、リヤ左に付けられたリヤエンジンを象徴するエアインテーク。従来GTが装備していたものを標準車にも採用したわけだ。リヤエンジン、リヤドライブが現行トゥインゴのセールスポイントだけに標準車に装備したのは正解。
 

東京の道でも走りやすい!

試乗会は細い路地や急な坂道が多いパリの街に似ているということと、パリで人気が高い秘密を“東京”で体験してほしいということで、青山で行われた。国道246号で試乗車を受け取りそのまま赤坂方面に向かう。3車線の左側は相変わらず路上駐車が多いが、トゥインゴは全幅が1650mmと小さいためスイスイと横を通っていくことが不安なくできる。パリでは道路両側に駐車している狭い道もあるからAセグメントのコンパクトカーが人気なのもうなずける。
●外苑前を走るトゥインゴ
897ccのターボエンジンは最高出力が2馬力アップし92馬力、最大トルクは135Nmを発生。詳しい変更点は本社からルノー・ジャポン側に伝えられていないというが、出力アップを狙ったわけではなく、燃費向上のためにフリクションなどを少なくした結果、2馬力アップしたようだ。実際フルスロットルを与えても従来と動力性能が変わったようには思えない。もっとも変わったのは発進時のトルク感。従来は低回転域でトルクが細い感じがしたが、マイナーチェンジ後は低回転域から十分なトルク感があり、加速感が軽くなった。さらにゲトラグ製のデュアルクラッチトランスミッション、6速EDCの変速も洗練された。従来はシフトダウン時にスムーズさに欠ける場面もあったが、アップ・ダウンシフト共にスムーズになり、しっとりした走行フィールになった。
赤坂から渋谷に戻り、世界的な観光地となった渋谷のスクランブル交差点近くの宮益坂を走る。渋谷という地名どおり、この辺は坂が多く宮益坂も結構な急坂。ここでの信号待ちからの発進でRRのよさを実感した。スタートするとリヤタイヤにしっかりと荷重がかかり、リヤから押し出してくれる感じがわかる。さらにステアリングフィールはナチュラルなまま。FFでは操舵感が変わったりするモデルもあるが、トゥインゴはそうしたことがない。走行フィールがしっとりとして上質に感じるようになったのは、EDCを含めたドライブトレーン系を洗練させたことも一因。最小回転半径が4.3mと小さいため、パリだけではなく日本の道路にもマッチしている。「パリが仕立てたコンパクトカー」というキャッチコピーどおりの扱いやすさを渋谷で体感することができた。


インテリアでは新搭載のマルチメディア、イージーリンクが一番の変更ポイント。スマートフォンのミラーリング機能で7インチタッチディスプレイにナビを表示することが可能になった。現在では7インチはちょっと小さいと思うが、ルノーのディスプレイラインアップではちょうどいいサイズがなかったためだという。
これからのウインターシーズンにスノーロードをトゥインゴで走るのが楽しみだ。RRはトラクションがよく、アクセルで進行方向を変えられるのも楽しい。これはFFでは楽しめないドライブ感覚だ。
 <文=丸山 誠 写真=山内潤也 text by Makoto Maruyama  photo by Junya Yamauchi>
 

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