2019/11/01 コラム

旧車購入ワンポイントガイド【いすゞベレット編】

「ベレG」の愛称でおなじみ


●「ベレGと言えばこの色!」という人も多いはず。写真はツインカムエンジンを搭載した「GTR」。

1963年、トヨタ・コロナや日産ブルーバードやに対抗する5人乗りの小型車として発売されたいすゞベレット。小型乗用車への参入が後発だったいすゞは、ラック&ピニオン式のステアリング、4速フロアシフト、バケットタイプのシート、4輪独立懸架サスペンションなどを与えるなど、スポーティなドライバーズカーとして差別化を図った。

スポーツバージョンとして1964年に登場したのが「GT」。「ベレG」の愛称で硬派なファンから愛され今でも根強い人気を誇るが、ここでベレットの豆知識をひとつ。日本で最初に「GT」の名を冠して発売されたのはベレットなのである。発表日ベースではスカイラインが1964年3月13日、ベレットが同年4月6日とスカイラインが先だが、発売日ではベレットが4月28日、スカイラインが5月1日とベレットが先だったのだ。

1966年にはファストバックの「GT」を登場させ、1969年にはツインカムエンジンを搭載しスポーツ性能をさらに強化した「GTR」を追加。最終的にベレットシリーズは1973年まで生産され、総生産台数は17万737台と言われる。


●1969年に登場した「GTR」のG 161型1600cc4気筒エンジン。ツインカムヘッドが与えられ120馬力を発揮した。エンジンはガソリンの1300cc、1500cc、1600cc、1800cc、ディーゼルの1800ccが展開された。

しかし、いすゞが日本国内では乗用車から撤退した影響もあるのだろう、現存する車種は決して多くはない。そうした状況ではあるが、今、ベレットシリーズを手に入れたいと思った場合、車両選びで気を付けたいポイントをまとめていこう。

ベレットシリーズのチェックポイント


●左は2ドアクーペである「1600GT」、右は4ドアセダンの「1500Dx」。写真はいずれも1964年式。ボディタイプは4ドアセダン、2ドアセダン、2ドアクーペ、ファストバッククーペを展開。ベレット・エキスプレスというバンモデルもあった。
ベレットシリーズ相場:約50万円~300万円台後半(2019年時点)

エンジンやミッションは基本的に頑丈なのだが、電装系、伝達系、ブレーキまわりの状態は要チェック。GT系は改造された車が多く、オリジナル状態を保っているのは少ない。定期整備車か否か、どういう保管状態だったかが重要になってくる。セダン系は意外にも専用部品が多く、オリジナルにこだわるなら予備知識が必要。メカニズムはオーソドックスなので致命的な欠陥は少ない。機能部品の供給は一部継続されているが、昨今製造廃止も増えてきたためあまり油断はできない。

ベレットのサビやすいポイント


●旧車全般に言えるが、ボディの状態をなるべく重視したい。

ステップ下部、ルーフ、ガラス周囲、フレームのフロントまわり下部はよくチェックしたいポイント。メンバーモノコック車なので、雨漏りなどあると腐食は急速に進んでしまう。外板に比べモノコック板は薄めで、新車当時の強度を保っているクルマは少ない。ベレットに限った話ではないが、腐食処置がずさんな車両、大事故を経験している車両はダメージが残り、酷い場合はまっすぐ走らないこともある。

ベレットの内装部品について

GT初期型PR90は一切供給無し。PR91/95は互換性があるが、年式によって細かい違いがある。なお、ダッシュボードの割れはほとんどの車両に発生するよくある症状だが、ダッシュボード、カーペット、天張は専門店イスズスポーツでは修理可能。



●GTRの運転席。スポーティなフロアシフトはベレットシリーズの大きな特徴のひとつ(バンを除く)。なおシリーズ全体としてダッシュボードは傷んでいるケースが多い。

値段はマチマチで、ハコスカのように超高額車にはなっていないが、初期GT、GTRは5~10年前くらいに比べると上昇中だという。「老後の楽しみに」「昔からの夢を叶えたい」と、価格は高めでも良い状態の車両を購入する人が多いとか。一方、傷んだ車を安く買って直して乗ろうという人はかつてに比べて減っている模様だ。

当記事は2019年オールドタイマーNo.167の記事を再構成したものです。(まとめ●オールドタイマー編集部 取材協力●イスズスポーツ http://www.isuzu-sports.com/https://driver-web.jp/articles/detail/22499/

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