2019/10/24 イベント

【TMS2019現地詳報】次期型レヴォーグに搭載の新1.8Lターボはリーン燃焼。トルク重視で走りも燃費も爽快!

東京モーターショー2019の目玉のひとつが、スバルのスポーティワゴン、「レヴォーグ プロトタイプ」だろう。今回のプロトタイプはかなり完成度の高いもので、デザイン的にはほぼ決定版と思われる。残念ながらインテリアを見ることはできなかったが、搭載される新技術も含めて、かなり期待の高まるものだった。
 

コンセプトは「継承」と「革新」

現行レヴォーグ(2014年〜)の名称に開発陣が込めた思いは、「レガシィ エボリューション ツーリング」。つまり、国内最適サイズのツーリングワゴンだった4代目レガシィを引き継ぎ、進化させたのがレヴォーグということだ。その思想は新型も続いている。スバル360からスバル1000、レオーネ、レガシィと脈々と受け継がれてきたスバルのDNAを継承しつつ、さらなる革新を与える。初代レヴォーグを超えるグランドツーリング性能を持たせることが、次期型の使命だと、開発を牽引した五島 賢(ごしま さとし)プロジェクトゼネラルマネージャー(PGM)は言う。このグランドツーリング性能には、「より速く、より遠くに、より快適に、より安全に」と、さまざまな要素が含まれる。そのすべてにおいて初代レヴォーグを超えるべく、さまざまな新技術を用いて、革新的に進化させたのが次期型というわけだ。

新1.8Lターボは「トルク重視」

搭載される新技術で注目なのが、新型1.8L水平対向ターボエンジンだ。現行レヴォーグは2Lターボと1.6Lターボの2本立てだった。今回発表された1.8Lターボは、現行2Lターボのダウンサイズ版ではなく、1.6Lターボに置き換わるもの。上位グレードのエンジンはどうなるのか聞いてみると、「今日は1.8Lを発表しただけですので、上とか下の排気量については……」とつれない答え。これは予想だが、おそらくハイブリッドのeボクサーを搭載するのかもしれない?
新型1.8Lターボエンジンは、実用域での加速と燃費を重視して設計されている。五島さんは「どちらかというとトルクが重要。80→100km/hの追い越し加速でもアクセルの付きがよく、ぐ〜と加速してくれる。また、長い坂道を力強く上っていく。現行型を完全に超えているエンジンです」と、性能への自信を隠さなかった。燃費面では、「全域ではありませんがリーン燃焼(希薄燃焼)をしています。街乗りのゾーンでリーン燃焼しますので、燃費がよくなりました。CVTは金属チェーンのリニアトロニック。こちらにも進化はありますが、詳細はまだ後日……」ということだ。これまでのレヴォーグは、加速性能はいいものの、かなりアクセル操作に気を遣わないと、いい燃費が出なかった。はたして新型エンジンはどうなのか、非常に気になるポイントだ。この1.8L水平対向直噴ターボは第4世代。ちなみに第1世代はEA/ERエンジン(1966年〜)、第2世代はEJ/EL/EG/EZエンジン(1989年〜)、第3世代はFA/FBエンジン(2010年〜)となる。

次ページは「課題だった乗り心地をどう改善?」

フルインナーフレーム構造を採用乗り心地は一気に2ランクアップ

次期型レヴォーグのもうひとつのポイントが、2016年のインプレッサから採用が始まったSGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM、スバル グローバル プラットフォーム)の進化。さらなる剛性アップのために、「フルインナーフレーム構造」を採用している。
スバルのクルマづくりでは、まずピラーやフレームとボディ外板を溶接。それをベースとなるシャシーに溶接していく。しかし、この方式だとベストなポイントでシャシーとフレームをスポット溶接できていなかった。フルインナーフレーム構造は、シャシーの上に最初にピラーなどのフレームを溶接する。これだと、最適なポイントでシャシーとフレームをスポット溶接できる。骨格を強固に組み上げて、最後に皮(外板)を溶接していくのだ。外板を1枚剥がしても、クルマの格好をしているという。家の建築で例えれば、柱と外壁を一体化させた物を基礎の上に建てていくのが従来の作り方。フルインナーフレーム構造は、基礎に柱を建ててから、最後に外壁をつくるのだという。これにより、「ねじり剛性が上がっています。ハンドリング、乗り心地がよくなりました」と五島さん。現行レヴォーグは、特に初期型(A型)は乗り心地があまりよくなかった。次期型のA型はどうですか?と尋ねると、「乗り心地は2ランクアップしています。まったく違うクルマになっていると思ってください」とうれしい答え。これは期待できる!

次ページは「アイサイトのステレオカメラを一新。ガラスに貼り付ける!?」

安全性能も大きく変わった!渋滞時の手放し運転も可能に

スバルの先進性/安全性を象徴するのが「アイサイト」。次期型レヴォーグのアイサイトは、ハードのステレオカメラがまったく別物になる。新しいステレオカメラの特徴は、より画角が広角になったこと。同時にレーザーを前方に搭載し、検知できる範囲を拡大。さまざまなシーンで衝突回避を支援する。画角拡大のために、まずカメラの設置位置を変更。室内にぶら下げるのではなく、ガラスに貼り付ける構造とした。できるだけ前方にカメラを設置することで、画角を広げているという。
今回はレーダーをフロントにも入れた。このレーダーは、現在の「スバルリヤビークルディテクション」、つまり後方から近づいてくるクルマなどを検知して警報するのに使われているものと同じセンサー。これを前方に付けて、広角化したカメラのさらに外側から来る対象物を検知するのだ。これにより、ほぼ進行方向のほぼ直角から来るクルマも検知してブレーキをサポート。T字路や駐車場から出るときも作動する。交差点での出会い頭、右左折時の事故にも対応可能になっている。高速道路での「ついていく」機能も進化。高精度マップと現在位置を把握するロケーターを組み合わせ、カーブ前減速、やハンズオフ(手放し運転)を実現した。ハンズオフは、今回は安全が担保された渋滞時のみとのこと。もしかしたら、発売までに改良を重ねて、より広い範囲でのハンズオフも実現してきたらおもしろいのだが。
初代を完全に超えてきた次期型レヴォーグ。発売は2020年末とのことなので、今しばらく待ち遠しい日々が続きそうだ。〈文=編集部・太田 写真=久住伸之〉

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