2019/10/24 コラム

1972年東京モーターショーに出展された幻の日産ロータリー車「NISSAN ROTARY」開発秘話

「ロータリーエンジン車を来年秋に発売する」──1972年1月、日産の川又社長の発表は大きな反響を呼んだだけでなく、同年10月に開催された東京モーターショーへサニーエクセレントのシャシーをベースとするロータリーエンジン専用車を参考出品した。


●参考出品されたモデルはその名もズバリ「日産ロータリー」。車体のベースにサニーエクセレントクーペが用いられたことから、「サニーロータリー」「サニーロータリークーペ」などと呼ぶ人もいた。

『日産は西ドイツのアウディ・NSU・アウトウニオン社から1970年10月にロータリーエンジンに基本特許を導入、実用化を進めているが、現時点でほぼ試作を完了。今年(1972年のこと)秋に開かれる東京モーターショーにこの試作車を出品する。実際の発売は技術的な問題も残っており、1年程度のテスト期間が必要なため来年秋になる。ロータリーエンジン搭載車は現在のサニークラスでスポーティタイプになるが、販売台数などはまだ未定』

と、かなり具体的な内容を告げた川又社長の発表通り、東京モーターショーの会場には黄色いロータリー搭載車のコンセプトモデルが登場する。しかし、このコンセプトモデルは決してハリボテなどではなく、日産が本気でロータリーエンジン搭載車の開発に取り組んでいたことを示す言葉が残っている。

それは上記の社長発表直後、当時の日産で新型車開発を取りまとめていた設計開発本部の真木次長に行ったインタビューで、「ロータリーの研究・開発は1960年代から進められていた」というのだ。残念ながら日産のロータリー市販車は世に送り出されなかったが、ロータリーを物にしようとしていた日産の“本気度”が伺える開発秘話を紹介する。

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