2019/10/15 ニュース

【V40ファンに悲報】ボルボV40生産終了……”サヨナラ試乗”で見えたその魅力

直接の後継モデルがないってホント?

ボルボのSUV、XCシリーズと並んで売れているのがV40シリーズ。現行モデルは2012年に導入(日本は2013年)したが、流麗なスタイリングは相変わらず個性的で、登場7年の歳月を感じさせない。
●特別仕様車「T3クラシックエディション」
そんなV40が、プラットフォームの移行によって2019年限りで生産終了し、直接の後継モデルは一旦なくなるという。一旦、ということは少し間を置いて次期モデルが登場するのだろうと思われるが、聞くところによると2020年のデビューは期待薄。さらにV40ならではのコンパクトサイズは日本やフランス、イタリアあたりではすんなりと受け入れられても、背が高くて立派に見えるSUVに人気がシフトしている現在、次のV40はパッケージングをガラリと変えてくるかもしれない。
●特別仕様車「T3クラシックエディション」
クロスカントリーを含めたV40の生産終了のカウントダウンは始まって(もしかすると終わって)いて、ディーゼルエンジンを搭載したD4はすでに完売状態。残すはガソリンエンジンのみで、販売面での主力となっているのは装備を充実させた特別仕様車だ。価格は435万9259円。今回試乗したのはアマゾンブルーのボディカラーにブロンドの本革シートが組み合わされた特仕の「T3クラシックエディション」。すでに広報車両はなく、今回メディア向けに集められたのは都内もしくは近郊にあるボルボディーラーの試乗車とのこと。

もはや見慣れた感のあるV40だけど、モデル末期といった雰囲気はまるでない。乗り込んでもスカンジナビアンテイストのインテリアは国産Cセグメントとは趣の異なる上質さがあるし、本木目のフローティングセンタースタックのデザイン、本革内装の手触りや質感もプレミアム。標準装備のナビゲーションのモニター画面はやや小さめだが、この内装にはジャストフィット(あたりまえ)。オーディオはharman/kardon10スピーカー搭載のプレミアムサウンドシステムが標準なので、音楽好きにはうれしい装備と言える。さらに特別装備としてパノラマガラスルーフも備わる“フル装備”ぶり。安全装備の充実ぶりもさすがで、運転支援システムの「インテリセーフ」が標準。歩行者と自転車の検知機能や全車速追従機能付きACCアダプティブクルーズコントロール)、さらに世界初搭載の歩行者エアバッグなど、最新のライバルにも見劣りしない内容をそろえている。
 かつてのボルボの法則をおさらいすると「T4」は4気筒、「T5」は5気筒エンジンを指していたが、現在はエンジンパフォーマンスを数字で示している。試乗車のT3クラシックエディションには最高出力112kW152ps)/5000rpm、最大トルク250Nm/17004000rpmを発生する1.5リットル4気筒直噴ガソリンターボを搭載。組み合わされるトランスミッションはアイシンAW製の6AT最新のボルボではあまり見かけないパドルシフトが備わるのも美点だ。
高速道路では安全性にも寄与するACCが便利。6速でも100㎞/hクルーズでのエンジン回転数は18001900回転と低め。乗り心地は意外と穏やかで静粛性も十分なレベルにある。郊外路や山岳ワインディングでも安定感のある走りっぷりが印象的。攻めるような走りには向かないけれど、適度なペースを保ってクルージングという乗り方にはピッタリだ。キャビンはさすがにゆったりとはいかないものの、後席は大人が座っても十分な広さがある。ラゲッジルームもちょっとした旅行には不満のない容量が確保されていて、フロアボードを立てると荷室を分割することもできる。クーペルックのスタイルでも案外実用的なのだ。

●荷室の使い勝手のよさもV40の魅力。ボードを使ってアレンジ可能なのだ
そんなV40が間もなく販売終了となるのは残念。これだけの装備を盛り込んでいるのでさすがに安くはないが、上質なコンパクトを求める人にとって「T3クラシックエディション」は魅力ある選択肢のひとつだと思う。
〈文=一条 孝 写真=岡 拓〉特別仕様車「T3クラシックエディション」の詳細はこちら

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