2019/10/11 ニュース

【東京モーターショー2019】トヨタのミライがヤバイ。次期モデルは後輪駆動で2020年末発売!

まったく違うクルマになる

トヨタは2019年10月11日、次期「MIRAI(ミライ)」の開発最終段階のモデル「ミライ コンセプト」を初公開した。現行型ミライは、水素と空気中の酸素を化学反応させて発電した電気で走る燃料電池車(FCV)として2014年12月に発売。2019年8月末時点(トヨタ調べ)で約1万台がグローバルで販売されるなど、FCVの普及に取り組んできた。今回公開された次期ミライは2代目となるモデルだが、写真を見てどう思われただろうか。もう、あのミライとはまったく違うクルマになってしまったのだ。
●大きなフロントグリルは、空気を吸って水素と反応させて発電させるFCVには必要なものだという。そういえば現行ミライも大きく口を開けている
ミライ コンセプトは、エコカーの枠を取り払い、走りのよさを予感させるダイナミックなフォルムを手に入れた。開発陣は、「誰もが思わず振り返るエモーショナルな美しさ」と表現。現行型はワンモーションフォルムに近いプロポーションが特徴だったが、次期型はAピラーをキャビン側に引き、まさにFRセダンのような出で立ちになった。またCピラーに注目すると、リヤエンドに向かってなだらかに下っていく……これはどこかで見たことがある。しかも6ライトウインドー。そうだ、現行型クラウンに似ているのだ。もはや現行型ミライのデザインエッセンスはどこにも感じられない。

※クラウンの写真は向きを反転しています
そんなフォルムは、「どう見ても後輪駆動」。そう、次期ミライは駆動モーターを後輪軸付近に置き、そのモーターで後輪を駆動させる「後輪駆動車」なのだ。もはやデザインも違えば、駆動方式も違う。受け継いだのは、車名だけか?
肝心の車台は、TNGAプラットフォーム。聞けばGA-L、すなわち現行クラウン系統のものを採用しているという。よって低重心で伸びやかなプロポーションを実現できたわけだ。公開された主要スペックは下記のとおり。

■主要諸元(トヨタ測定値)

・ミライ コンセプト全長×全幅×全高:4975mm×1885mm×1470mmホイールベース:2920mmトレッド:前1610mm/後1625mmタイヤサイズ:245/45R20乗車定員:5人航続距離:約30%延長(従来比)・現行型ミライ(参考)全長×全幅×全高:4890mm×1815mm×1535mmホイールベース:2780mmトレッド:前1535mm/後1545mmタイヤサイズ:215/55R17乗車定員:4人航続距離:約650〜700km(JC08モード)・現行型クラウン(参考)全長×全幅×全高:4910mm×1800mm×1455mmホイールベース:2920mmタイヤサイズ:215/60R16、215/55R17、225/45R18トレッド:前1550mm/後1550〜1560mm乗車定員:5人クラウンは日本市場に適合させるため全幅1800mmに留めているが、ミライはグローバルモデル。ミライ コンセプトは全長も5m間近で、ロングノーズ&ショートデッキ、そしてワイド&ローのかっこよさを追求しきれている印象だ。また、TNGAプラットフォーム採用による走りのよさや上質な乗り心地には自信があるようで、見掛け倒しではないとのこと。ここにFCVならではの静粛性も加わるのだから、これはかなり期待できそう。さらに、スタック性能の向上などにより、リニアで滑るような質の高い動き出しとレンスポンスの優れた気持ちいい加速感、高速域までトルクフルな走りを実現。ワインディングでは意のままのハンドリングを可能にするなど、「今までにない走行フィーリング」を目指して鋭意開発中とのことだ。
●室内も高級感に溢れていた。単なるコンセプトカーではなく、市販車といっていいほどの仕上がりだった
そして、エコカーとしての性能進化も遂げている。じつはFCスタックをはじめ、FCシステムを”すべて”一新することでFCVとしての性能を大幅に拡大。しかも水素搭載量拡大などにより、航続距離を従来比で約30%の延長を目標に開発が進められている。どうやって水素搭載を増やしているのか、そもそも水素燃料タンクなどはどう搭載されているのか?  その詳細は現時点で未公表とのことだった。

次ページでは「レクサスのあのクルマにヒントがあった」

「LF-FC」が次期ミライの原型?

そこで後輪駆動+FCVに思いをはせると、今回のミライ コンセプトにつながる1台のショーカーがあった。それは、2015年の東京モーターショーにレクサスブランドから出展された「LF-FC」だ。

●LF-FCのレイアウト。フロントにはFCスタック、燃料タンクは縦に1本、横に1本搭載。駆動モーターは後輪軸付近に搭載されていることがわかる。ちなみにLF-FCでは、前輪もモーター駆動とした4WDも想定。となると次期ミライにも、設定されるかもしれない
LF-FCは、高出力のFCスタックとパワーコントロールユニットをボンネット下に納め、水素燃料タンクはキャビン側に「T字型」にレイアウト。最適な前後重量配分によって、優れた操縦安定性とエモーショナルな走りを実現する、と説明されていた。まさにこれが、ミライ コンセプトにそのまま当てはまるのではないかと思う。
●LF-FCの横からの透視図。縦置きは前席乗員の間を通過、横置きはちょうど後席の下に配置されているのがわかる
ミライ コンセプトの室内に乗り込むとわかるのだが、センターコンソールや後席中央のトンネルがかなり太い。エンジン車(FR)なら縦置きのトランスミッションやプロペラシャフトを通すために必要なそれが、モーター駆動のFCVには必要ないはずなのに。やはり、水素燃料タンクを縦に1本、横に1本配置する「T字型」レイアウトがしっくりくる。さらに水素搭載を増やすために、現行の2本から3本へと水素燃料タンクを増やしているようなのだ。その追加の1本は、現行型ミライと同じく荷室下に搭載されている模様。なぜなら、「トランクにはゴルフバッグが3セット入ります」と開発陣。このクラスのボディの大きさなら、いくら後席後ろに駆動用バッテリーを積んでいたとしても普通に4セットは入るはず。水素燃料タンク搭載によって、荷室はある程度侵食されているものと予想される(荷室は今回撮影不可だった)。
●前席間のセンターコンソールはやけに大きい

●現行は水素タンクの配置場所により後席は2人がけだが、次期モデルは後席3人がけとしたのもトピック。しかし、センタートンネルが太く足元にはあまり余裕はない

●現行型ミライ

●現行型ミライのシステム図。水素燃料タンクは後席下と荷室下にそれぞれ1本ずつ
なぜこんなに変わってしまったのか?と素朴な疑問を投げかけると、ありがちなのは「自分たちが欲しいクルマをつくりました」という回答。でも、今回は違った。「現行型にお乗りのお客様に話をうかがい、不満点などを徹底的にお聞きしました。まずは航続距離への不満。特に国土の広い、例えば北米のお客様からの声が多かったです。これを解決するためには燃料タンクを増やすしかない。そこで選んだのが今回のプラットフォームです。後輪駆動としたのは、走りのためもありますが、FCシステムをレイアウトしやすかったということも大きいです」。そのほかにも、デザインに対する不満、4人乗りであることへの不満…。それらを踏まえると、「エコカーです!」と訴求するより、かっこよくて、実用的で、走りがよくて、といったクルマ本来の魅力に重きをおいたミライをつくろうという方向性が決まった。課題をクリアしていく過程で選んだのが、今回の”大胆イメージチェンジ”というわけである。
現行型に続き、次期ミライのチーフエンジニア田中義和氏は、次のように語っている。「エモーショナルで魅了的なデザイン、乗っているだけで笑顔になれるダイナミックで意のままの走り。ずっと走っていたくなる、そんなクルマを目指して開発してきました。FCVだから選んだのではなく、こんなクルマが欲しかった、それがFCV ミライだったと言っていただけるクルマに仕上げ、そして、水素エネルギー社会の実現をこのクルマが牽引していければと思います。ぜひ東京モーターショーへ足を運んでいただき、会場で実車をご覧いただければと思います」水素インフラはどうするんだとか、確かに問題は山積している。だが、「乗ってみたい」と思わせるクルマが登場したこと自体、とても喜ばしい。なお今回のミライ コンセプトの市販モデルは、日本や北米、欧州などにおいて2020年末からの発売を予定している。ミライ コンセプト展示の場は、東京モーターショー2019のメガウェブ会場で開催されるFUTURE EXPO。〈文=編集部・柿崎 写真=山内潤也〉

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