2019/08/26 コラム

10代目登場を目前に、昭和のアコードを振り返る【1976年 初代アコード ハッチバック】

シビックからのステップアップユーザーをねらって


2019年10月開幕の東京モーターショーで、10代目が日本初披露される予定のホンダ・アコード。今やアコードといえば“ホンダを代表するセダン”というイメージがあると思いますが、最初の最初は3ドアハッチバックモデルだったんです。(ホンダは「ハッチバック・セダン」と呼んでいましたが)

シビックより1クラス上の上級モデルとして企画された初代アコードは、1976年(昭和51年)5月にデビュー。しかし、当時ホンダはシビックの開発や、マスキー法に適合したことで有名なCVCCエンジンの開発などに資本を集中したため、新型車の開発に割く余力は多くないという状況でした。そのため、アコードはエンジン・車体ともにシビックとの部品共用化を前提とし開発はスタートします。


●シビックCVCCの1500ccをベースにストロークを6.5㎜伸ばし、1600ccに拡大することで開発されたアコードのエンジン。しかしストロークを拡大したことで、超ロングストローク型となってしまい、高回転時の振動面では不利に。そのためエンジン自体の熟成に加え、エンジンマウントや車体剛性などを見直し入念な振動対策が採られました。最高出力は80馬力を発揮。

そうした条件のなかで、アコードは「ゆとり」と「調和」をテーマにかかげ、1クラス上にふさわしい広いラゲッジスペースや快適な居住性能を見事に実現していました。またエンジン、サスペンション、トランスミッションはシビックのものより改良を重ね、走行性能もしっかりとアップグレードされました。特に欧米圏への本格的な輸出を前提とし、“130㎞/hで快適クルーズ”ができることが大きな目標とされたそうです。オートマチックトランスミッションはN360で開発された「ホンダマチック」を採用。シビックにも採用されていたものですが、Dレンジのかわりとなる「☆レンジ」(スターレンジ)という独特な名前のシフトポジションで、無段変速的な加速が可能でした。


●N360以来ホンダが追求してきた「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」というM・M思想(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)に基づき、ゆとりあるキャビンスペースを確保。駆動方式はシビック同様FFです。

●オートマチック車はシフトポジションに☆のロゴが描かれる「スターレンジ」でおなじみの「ホンダマチック」を採用。

グレード展開は下から、SL、GL、LX、EXの4種を設定、価格は90万6000円~112万円(東京地域価格)で、1500ccのシビック(CVCC)に比べおよそ1.3倍という値付けです。EXとLXはラジアルタイヤを採用するほか、5速マニュアルミッションが採用されました(SLとGLのマニュアルは4速)。というわけで、まずはそんな初代アコード・ハッチバックを写真とともに振り返っていきます!


●アコードGL。リヤには当時最先端の環境性能を追求したCVCCエンジンをアピールするように、「CVCC」のエンブレムがあしらわれています。

●後席を倒せば大容量のラゲッジスペースが。最もベーシックなSL以外は、運転席からリヤハッチの開口操作ができる便利なテールゲートオープナーが標準装備。当時このクラスのクルマでは先進的な装備でした。

●車体色に合わせ、室内はベージュ/黒/ブルーの落ち着いたトーンでまとめられた室内。写真はベージュ内装で、最上級グレードEXのもの。EXは車速感応型パワーステアリングが採用されました。ダッシュボード中央の時計がデジタル式となるのもEXのポイント。

●メーターやインジケーターを集中させたインストルメントパネル。スピードメーター下部にはエンジンオイル、オイルフィルター、タイヤのローテーションの時期を伝えるインジケーターが設けられています。

●グリルにも「CVCC」のエンブレムが入ります。写真は最上級グレードのEX。

●カタログで正面からのデザインを説明したページには「独自の超台形スタイル」とのコピーが。深く考えるとよくわからなくない言葉ですが、「超台形スタイル」……とにかく勢いだけは伝わってくるような。

●アコードLX。「シビックより1クラス上のクルマ」とはいえ、そのサイズは全長4125㎜(SLのみ4105㎜)、全幅1620㎜、全高1340㎜で、今の感覚ではかなりコンパクト。最新型フィットの背を少し低くしたようなサイズ感でしょうか。

●緑もあるよ。こちらはアコードSL、ミラーがメッキタイプとなります。車体色は銀、白、黄、茶、青、緑の6白が用意されました。

●アクセサリー装着車。フォグランプ、グリルガード、サイドバイザー、フェンダーモール、マッドガードなどが装備されています。

[アコード主要諸元]■寸法・重量全長:4105㎜(SL)、4125㎜(GL、LX、EX)全幅:1620㎜全高:1340㎜ホイールベース:2380㎜トレッド:前1400㎜/後1390㎜車両重量:835㎏(SL MT車)~875㎏(EX AT車)燃料タンク容量:50ℓ

■エンジン・トランスミッション型式:EF型 水冷直列4気筒OHC排気量:1599cc最高出力:80馬力/5300回転最大トルク:12.3㎏m/3000回転トランスミッション:4速MT(SL、GL)、5速MT(LX、EX)、オートマチック(SL、GL、LX、EX)

■サスペンション・ブレーキ・タイヤサスペンション:前後ともマクファーソン式ストラット独立懸架ブレーキ:前ディスク/後リーディングトレーリングタイヤ:6.15-13-4PL(SL、GL)、155SR13(LX、EX)

■1976年発売当時価格SL:90万6000円 GL:96万6000円 LX:102万6000円 EX:112万円(東京地域標準現金価格、オートマチック仕様はLX、EXが+2000円、SL、GLが+4000円)


●FFならではの安定感ある走りを試す!……ということでドライバー誌1976年7月5日号のテストではダートもズバッと走っちゃったり。
https://driver-web.jp/articles/detail/19667/(まとめ●オールドタイマー編集部・上野)

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