2019/08/07 ニュース

連載「密着! TCRジャパン」第3回 屈指のエアロマシン、ホンダ シビック タイプR TCR

2019年から日本でも始まったTCRのリポート連載「密着! TCRジャパン」。第3回目は前回のVWゴルフに続きマシン解説第2弾。TCRジャパンシリーズ参戦車両の中で唯一の日本車、ホンダシビックを、おなじみ高橋 学カメラマンが詳細写真とともに解説してくれるぞ。

じつはTCR車両としては2代目

すでに第2世代に突入しているシビックのTCRマシンは、先代FK2型も公認車両として登録されていて2017年のスーパー耐久シリーズ(S耐)にも参戦していましたので、その走りを目にした人もいるのではないでしょうか。2018年以降はS耐も現行のFK8型で参戦していますが、一部車両規定が異なるため同じTCR車両ながらそのままではTCRジャパンシリーズには出場できません。
●先代 FK2型のTCR車両

ホンダシビックのTCRマシンってこんな車です


正式名称はHONDA CIVIC TYPE R FK7/FK8 TCR。その名の通り現行型シビックハッチバックのタイプRがベースです。公認車両リストによると型式にFK7/FK8と併記されていますが今回紹介するモデルは日本で発売されているタイプと同じFK8。ちなみに、製造はイタリアのJASモータースポーツというレーシングファクトリーで行われ、日本では童夢が輸入販売元となっています。全車両、左ハンドルです。

●ベース車のメーターフードの凹凸まで造形に取り込んだインパネ。ステアリングのボタン以外はシンプルにまとまっていて、足元のペダルはまさにレーシングカー
 
●運転席の開口部に取り付けられたカーボンの隔壁はに乗員保護のためのものなので助手席にはない

●センターには各種スイッチ類。ローンチコントロールモードもある
 TCRジャパンの公式サイトに記載されているスペックは以下の通りです。排気量   :1984cc最大出力  :340hp/6200rpm最大トルク :420Nm/3800rpmギヤボックス:パドルシフト付き6速シーケンシャル最低重量  :1265kg(ドライバー込み)BoP:エンジンパフォーマンスレベル97.5%、バラスト 0kg、地上高80mm※BoP=バランス オブ パフォーマンスの略。マシンの性能差を減らすため、FIAが定めた性能調整インテグラのワンメイクレースをはじめ、さまざまなレースをホンダ車で戦ってきた塩谷烈州選手(No.62 全薬工業withG/MOTION’)によると、フィットをベースにした先代FK2型に比べボディ、足まわりともに、FK8型は大きくポテンシャルアップを果たしているそうです。また、セットアップの幅が広くセッティング次第で結果が大きく左右されるところが、このレースのおもしろさともコメントしてくれました。これは、前回話を伺ったVWゴルフの密山選手とまったく同じ意見。BoPにより厳密にマシン毎の性能調整が行われていながらも、誰が勝つかわからないTCRマシンによるレースのおもしろさの秘密はこのあたりにあるのかもしれませんね。 

→まだまだ続くよ!

 

ハイダウンフォースを生むエアロマシン

ちなみに、FK8型は前後オーバーフェンダーやフロント/サイドスプリッター、ウイングによる空力の効果が顕著で、強力なダウンフォースを生んでいるそうです。長年ホンダ車=FF車でのレース経験豊富な塩谷選手は、FK8型を「今までのFF車の限界を超えるレベルで4輪をしっかり使い切る究極のFF」と評しました。
●最大出力、最大トルクともにレギュレーションによって定められているのでほかのマシンと同一だが、その発生回転数が車両によって異なる。シビックは3800rpmで最大トルクを発生する

●空力効果の高い大きなサイドスプリッター

●ハッチゲートから見る室内

●マシンを解説してくれたのはホンダ車でのレース参戦経験も豊富な塩谷烈州選手
なお、今シーズン参戦しているHONDA CIVIC TYPE R FK7/FK8 TCRは以下の5台。第3戦(富士スピードウェイ)終了時点でSaturdayシリーズはNo.18 Matthew Howson選手(KCMG)、SundayシリーズはNo.5 金丸ユウ選手(TEAM GOH MODELS)が首位。どちらのシリーズもシビックが首位となっています。
●No.5 TEAM GOH MODELS(ドライバー:金丸ユウ)

●No.18 KCMG(ドライバー:Matthew Howson)

●No.22 KCMG(ドライバー:Paul IP/ジェントルマンクラス)

●No.62 全薬工業withG/MOTION’(ドライバー:塩谷烈州/ジェントルマンクラス)
 
●No.72 KCMG(ドライバー:YUKE TANIGUCHI/ジェントルマンクラス)
次戦は9月28日~29日、岡山国際サーキット(岡山県美作市)にて全日本スーパーフォーミュラ選手権と併催で行われます。※8月にツインリンクもてぎで開催される全日本スーパーフォーミュラ選手権との併催はありませんので注意してください。 <文&写真=高橋 学 text & photo by Manabu Takahashi> 
TCRジャパン オフィシャルサイト  

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