2019/03/21 コラム

<積載性&走破性>スノーシーズン終盤だけどCX-8でゲレンデに行ってみた


5人乗車でスキー&スノボを積載できるか?

マツダがミニバンに代わる新たなファミリーカーとして世に問うた、3列シートSUVのCX-8。身長160〜170cm程度であれば余裕で座れる3列目シート、ミニバンより安定した走り、スタイリッシュな内外装、雪道でも林道でも安心の走破性など、見るべきポイントは多い。そんなCX-8に仲間5人で乗り込んで、雪山に行ってみた。最初の課題は、スキー/スノーボードが全部積めるか?結論から言うと、ばっちり積載できた。今回のテスト車は、XD Lパッケージ。2.2リットル・ディーゼルターボ、4WDだ。2列目は3人掛けのベンチシート仕様だ。ほかにも独立のキャプテンシート仕様もある。CX-8の3列目は、左右別々に格納可能。格納方法はシンプルで背もたれを前倒しするだけ。これにより、荷室フロアボードと3列目の背面はフラットになる。
3列目両サイドと、2列目片側を格納した状態

3列目を片側格納した状態。写真は2列目がキャプテンシート仕様

フロアボードの下にも空間がある
まずは、2列目に3人乗車で積載してみる。3列目は左右とも格納し、フラットで広大な荷室を確保した。ちなみに後席乗員は、成人女性2人、子供1人(チャイルドシート)だ。
150cmのスノーボード、154cmのスキー、130cm程度のショートスキー2本、100cmの子供のスキーという組み合わせ。比較的、短めの道具が揃ってしまった。そのほか、ブーツやウエアなど、レンタルなしですべてクルマに積んでいった

150〜160cm程度の板なら、斜めにすれば余裕。もっと長くても大丈夫

写真はギュウギュウに見えるが、意外と隙間があって、まだまだ積めそう
100〜130cmのショートスキーと子供用スキーは全幅方向に積載可能。長さ150cm程度のスキー&スノーボードも、斜めにすれば余裕で収まった。もう少し長くても大丈夫だろう。荷室床下にも深さ30cmほどの空間があるため、ブーツなどはそこに押し込む。そのほか、大きめのバッグなども積み込めた。しかも、2列目はかなり後方にスライドさせた状態でも問題なし。足元空間にもゆとりがある。CX-8の積載性、侮りがたし、である。 しかし、いくら女性と子供とはいえ、2列目に3人乗車はサイド方向に若干窮屈。そこで、シートアレンジを変更。2列目は余裕の2人乗車で、3列目を片方使用する陣形だ。最初のパターンより、ラゲッジスペースは3列目片側分、小さくなる。最大の問題と思われたのは、やはり150〜160cm程度のスノーボードとスキー板。しかし、実際に試してみればあら不思議。2列目を少し前方にスライドさせ、タイヤハウスと2列目シートバックの間にスノボの先端を突っ込めば積めてしまった。荷室の最大横幅も145cm程度あるので、ショートスキーなら進行方向に直角に置いても大丈夫だ。あとは隙間にバッグなどを詰めていく。ちょっとした荷物なら、2列目席の足元に余裕があるから、そこに置いてもいい。
3列目を片側だけ格納した状態でもスノーボードとスキーを積み込めた。でも、あと1枚が限界か?

3列目シートはこんな感じ。多少の窮屈感はあるが、身長168cmの乗員によると「意外と快適」だったらしい

3列目席の乗り心地だが、じつは筆者(ドライバー)の身長は183cm。事前に乗ってみたら非常に狭く、ここに他人様を乗せるのはちょっと悪いなぁ、と思っていた。しかし、実際に3列目に乗った168cmの女性によると「2列目に3人乗るより快適でしたよ」とご満悦。ただし、3列目へのアクセスはあまりよくなく、乗り降りはちょっと面倒だ。
最初の課題である積載性チェックでは、5人乗車でも160〜170cm程度のスキー/スノーボードの道具をしっかり室内に飲み込めることが判明した。とはいえ170cm以上の板となると、3列目に人が乗るのは難しくなる。2列目をかなり前方にスライドさせるか、思い切って格納しないと厳しそうだ。CX-8は、2列目をたたんでしまえば最大荷室長は2m近くになる。少人数での移動なら、どんなスキー/スノーボードでもほぼ完璧に格納できる。
2列目がキャプテン仕様の場合は、左右シートの間に空間がある。ここを使えば、長めの板も積めるか? 誰か試してみてください
  

フラットな乗り味はロングドライブで快適

首都圏からスキー場までは、まず高速道路をロングドライブだ。今回は早朝に出発したが、深夜に出かける人もいるだろう。これから始まる楽しいスキー/スノボのために、体力はできるだけ温存しておきたい。逆に帰り道は、疲れた身体での運転となる。どちらにせよ、快適で安心感の高いクルマのほうがありがたいのだ。
さてCX-8の走りはというと、高速道路のドライブでは欠点はほぼ感じられなかった。ミニバンより明らかに安定感がある。また、トルクフルなディーゼルエンジンは、多人数乗車&フル積載でも十分過ぎる加速で、合流や追い越しも余裕。静粛性に関しては、ディーゼルだからうるさいなんてことはなく、後席との会話も明瞭。快適なドライブを楽しめた。
さらに、先進安全技術も便利。全車速の追従クルーズコントロールとステアリング制御で、運転の疲れとストレスを軽減してくれる。ただし、ステアリング制御は最先端とはいえず、渋滞時にはカットされてしまう。巡航時も、もっとナチュラルにサポートしてほしい。マツダ車はハンドリングがいいから、この程度のサポートならいらないな、と感じた。cx-8の乗り心地は、2列目、3列目の同乗者からも「なんか揺れないですね(3列目)」、「シートがいい、インテリアが高級車みたい(2列目)」など、おおむね好評。子供がクルマ酔いすることもなかった。 

安心感の高い雪道での走破性

最近のマツダは、4WDのレベルが驚くほど上がっている。スタッドレスタイヤを履いていれば、よっぽど乱暴な操作をしないかぎり、挙動を乱すようなことはない。CX-8に5人乗車&フル積載で雪道に挑んだが、まったく平穏。ワインディングの上りでも下りでも、安心して走行できた。
最低地上高は200mmを確保しているから、深めの雪でお腹ずりずり、なんてこともない。ちなみにノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンなどMクラスミニバンの最低地上高は、140〜160cm程度だ。まぁ、高速道路の除雪もしっかりしているし、スキー場の直前までほとんど雪道がない、なんてこともある。FFのミニバンでも、スタッドレスタイヤさえ履いておけば、困ることはまずない。それでも急に大雪が降ったときなどに、走破性が高いに越したことはない。楽しいウインタースポーツだからこそ、安心安全には万全を期したいところだ。その点、CX-8は合格点だと自信を持って言える。
ちなみに、今回のドライブは往復で557.9km走行。燃費計の数値は13.7km/L。WLTCモード燃費は15.4km/L。乗車人数&荷物が多めで、峠の走行が多かったことを考えれば、かなり優秀な結果と言える。ウインタースポーツはだだでさえお金がかかる。燃費がよく、さらに軽油で燃料代が安く済むのはとてもありがたい。
燃費13.7km/Lなら、満タンにすれば991kmも走行できる。途中でガソリンスタンドに寄る手間が省けるのもうれしい


スキー場に行くなら、ミニバンか、CX-8か?

最初の課題であった積載性、実際に試した結果、5人乗車でスノーボードを車内に積載できた。ただし、今回はショートスキーと子供用のスキー板が3組、150cm台のスキーが1組、150cmのスノーボードが1枚。160〜180cmレベルのスノーボードが増えれば、3列目に人が乗ったままでは車内に積み込むのは難しくなりそうだ。そうなると、やはり強いのはミニバン勢。2列目の足元に空間があるモデルもあるし、高さを生かして立てて積み込めるモデルもある。3列目の快適性は、車種によって勝敗が分かれそうだ。アルファード/ヴェルファイアなどのLクラス勢と比べると、CX-8は不利。ノア/ヴォクシー、セレナなどは3列目がしっかりしているからいい勝負。ステップワゴンの3列目は床下収納のため簡易的だから、CX-8有利だ。走りの安定感や疲労の少なさ、そして楽しさはCX-8が全方位で勝っている。やはり全高が低く、引き締まった足まわりのおかげでコーナーでも直進時でも揺れが少ない。また、ブレーキング時のノーズダイブもかなり抑えられているから、後席乗員も安心して乗っていられる。ディーゼルエンジンの力強さ、燃費のよさもありがたい。 トヨタ アルファード/ヴェルファイア

アルファード/ヴェルファイアの3列目は跳ね上げ式。力を入れずに格納可能。2列目席とフロアの間にも空間があり、ここにスキーなどを置けそうだ。2列目席を外側に配置すれば、センター部分にも長尺物を置いておける

アルファード/ヴェルファイアの荷室。ラゲッジボード下は深さ30cmほどの空間がある

アルファード/ヴェルファイアの3列目は成人男性が座っても快適
  

価格は高い? それとも安い?

CX-8の最廉価は2.5リットル自然吸気・FFの25Sで289万4000円から。これだと意外と安く感じるが、ディーゼルやターボになると300万円台後半になり、装備を充実させれば400万円台に突入する。Lクラスミニバンのアルファード/ヴェルファイアと比べれば、高価すぎるとは感じない。Mクラスミニバンと比べれば、ちょっと高いな、と思うかも知れない。また、3列シートのないCX-5とも比較してみると、CX-5が安く見えてくるから不思議だ。逆に言えば、CX-8はとても高い。同じXD Lパッケージで比べると、CX-8は446万400円、CX-5は355万8600円。 装備は完全にイコールではないし、細部の上級感も増しているので単純比較はできないが、CX-8のほうが90万円近く高い。3列目と広い荷室が必要ないなら、積極的にCX-8を選ぶ理由はなさそうだ。逆に、今回のように5人での移動ならば3列目があったほうが絶対にいい。3列目がときどき必要で、楽しい走りと大きめの荷室が欲しいならCX-8。3列目が必要ないならCX-5。3列目と積載量に重きを置くならミニバン系。このあたりが、ベストな選択の分かれ目だ。
CX-8全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mm2.5・FF……289万4000〜375万8400円2.2ディーゼル・4WD……360万7200〜446万400円2.5ターボ・4WD……374万2200〜424万4400円 
CX-5
全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mm2.0・FF……257万400〜280万2600円2.5・FF……301万8600円2.5・4WD……279万7200〜324万5400円2.2ディーゼル・FF……288万3600〜333万1800円2.2ディーゼル・4WD……311万400〜355万8600円2.5ターボ・FF……332万6400円2.5ターボ・4WD……355万3200円 
ヴェルファイア全長4945mm×全幅1850mm×全高1950mm2.5・FF……371万4120〜438万3720円2.5・4WD……396万4680〜463万3200円2.5HV・4WD……463万2120〜750万2760円3.5・FF……496万9080〜717万7680円3.5・4WD……516万2400〜737万2080円 
ヴォクシー
全長4710mm×全幅1735mm×全高1825mm2.0・FF……249万6960〜325万7280円2.0・4WD……270万2160〜299万1600円1.8HV・FF……301万4280〜326万9160円 <文=編集部>価格は消費税8%込みで掲載時のもの

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