2019/01/21 ニュース

VW & フォードが商用車ビジネスで提携 今後、巨大な提携へと発展する可能性も?

1月15日、デトロイトショーのプレスデー2日目の早朝、VWとフォードが、新たな業務提携に関する発表をするという情報が飛び込んできた。ショー会場で朝8時半に発表されたのは、「広範囲にわたる国際的な提携について、最初の合意に達した」というもの。すでにサインされたという覚書の内容は、ミドルサイズのピックアップトラックおよび商用バンの共同開発・生産のほか、自動運転車やモビリティサービス、電気自動車に関する共同作業についても可能性を調査する、となっている。なお、今回の提携で両社間に資本関係は結ばれない。ミドルサイズのピックアップトラックは、フォードはレンジャー、VWは商用車部門アマロックというモデルをそれぞれラインアップしている。レンジャーは欧州市場でも販売。一方のアマロックは、中南米では販売しているものの北米市場には導入されていない。
●フォード・レンジャーは、ヨーロッパではアメリカではミドルサイズだが、ヨーロッパでは大型の部類。数少ないピックアップトラックとしてヨーロッパでも人気がある
 
●VWの商用車部門が生産するアマロックは、かつてのVWタロの後継モデル。後輪駆動プラットフォームを採用した本格派のピックアップトラックとして人気を博している
 商用バンも同様に、フォードはヨーロッパでトランジットを販売しているが、VWのトランスポーターやキャディは、北米では販売されていないのが現状だ。
●フォード・トランジット・カスタムおよびトランジット・コネクトがVWと共同開発のモデルに置き換えられる見通し
 

●(上)VWトランスポーター(T6)は、往年のタイプ2T1から60年以上続く同社の看板モデルのひとつだが、フォード・トランジット・カスタムと共通化される。(下)コンパクトバンのキャディは、トランジット・コネクトの兄弟モデルになる模様だ。
 共同開発は、ピックアップトラックはフォードが、商用バンはVWが主導する模様で、2022年には世界市場に投入される予定だ。両社の小型商用車の販売台数は、2018年に合わせて約120万台で、商用車分野では世界で最も大きな提携になる可能性がある。生産面における効率化のメリットも大きいだろう。またフォードは、ヨーロッパ市場向けとして、より大型の商用バンを開発/生産する意向を持っている。ちなみに、フォードはレンジャーを1994年からマツダにプロシード/BT-50として供給している。VWも、1989〜97年にトヨタと提携してハイラックスをVWタロの車名で生産・販売した実績があり、両社とも他メーカーとの商用車分野での提携に障害は少ないはず。さらには、1991に両社はミニバンの共同開発を目的に提携し、フォード・ギャラクシーおよびVWシャランを発売した過去もある。両社が今回の提携を発表した背景には、フォードにとっては、トランプ政権が導入に前向きな最大25%にもなる高い自動車関税に対するEUの対抗措置の回避が、VWには商用車の北米市場進出があると想像できる。また、商用車部門の効率化は、互いに将来に向けた投資により資金を回せるようになる、ということに繋がる。今回の提携が、もし自動運転技術やモビリティサービス、EV開発などにも拡大すれば、VW・フォード連合の技術が次世代のプラットフォームになる可能性も否定できない。文=竹花寿実

RANKING